缶詰博士の黒川氏の周囲には、同じような缶詰大好き人間がたくさんいるそうです。仲間がいることで缶詰の情報も集まりやすくなり、博士は嬉しくてしょうがないとか。
「缶詰専門店が増えたのもありがたい。友人がやっている『カンダフル』という店は、レアな缶詰が揃っていて最高なんですぞ!」
今回はそのお店で見つけたフムスの缶詰を紹介してもらいます。それにしてもフムスって、どんな食べものでしたっけ、博士?
新橋で見つけた新たな缶詰
東京はJR新橋駅の日比谷口を出て、SL広場を前にして後を振り返ると、高架下に缶詰を並べた小さな店が見える。その名は「カンダフル」。缶とワンダフルを掛けた店名は、一度聞いたら忘れないと思う。
経営するのは鈴木正晴という、素晴らしいお名前をもった人物であります。僕の缶詰仲間であります。
カンダフルの経営方針は、全国のローカル缶詰を扱うこと。だから見たこともないような珍しい缶詰がそろい踏みしている。この店のおかげで、急にローカル缶詰が必要になった時(番組の収録とか)には、うんと重宝している。
さて、そのカンダフルで見つけた新たな缶詰が、アイロムの「ひよこ豆のフムス」である。パッケージには鱒らしき魚のイラストが描かれているし、「サカナバル」という表記もある。
しかし、フムスは豆などから作られた100%植物性の料理である。魚は使われていないのに、一体どういうことだ?
柑橘のような爽やかな匂い
疑問はあとに回して、さっそく開缶! おお、黄金色に輝くオリーブ油がたっぷり入っている。その下にはひよこ豆とゴマを味付けしてすり潰した、紛うかたなきフムスが見える。
フムスは食べる前にオリーブ油を掛けるのが通例だから、こうしてあらかじめオリーブ油まで入れておいてくれるのはありがたいではないか。
全体から漂うのは、オリーブ油の匂いと、わずかな酸味を思わせる匂い、それに柑橘を思わせる爽やかな匂いだ。原材料を見てみると、コリアンダーが入っているのが分かった。きっとその香りであろう。
モロモロ食感がよし
スプーンで持ち上げるとこんな感じ。フムスは家庭料理でもあり、すり潰し方にはそれぞれ好みがある。この缶詰はわりとモロモロ感を残してあるようだ。
ひと口ほおばると、レモンの酸味が心地良く、モロモロした粒のおかげでほどよい歯触りも楽しめる。たっぷり入ったオリーブ油も、モロモロといっしょに食べていると、ちょうど良さそうな量であります。
味のバランスがいい
かくのごとし。缶の中身をオリーブ油ごと、そのまま皿に盛りつけた。辛味が欲しかったので、レッドペッパーをパラパラと振りかけた。
そうしてあらためていただくと、このフムスは味のバランスがいい。とくに酸味が利いている点が、ぼくの好みにぴったりである。それでいて酢酸臭いことはない。あくまでもレモンの爽やかさなのだ。コリアンダーの香りも、それにいい作用を加えている。
さて、最後になったが、製造者のアイロムをネットで調べてみると、魚介を中心にした「サカナバル」という飲食店を運営していることが分かった。それだけでなく、オリジナルの缶詰を製造するための工場も持っているようだ。
このフムスの缶詰は、きっとサカナバルのイメージに合わせた商品なのでありましょう。
缶詰情報
アイロム/ひよこ豆のフムス 120g 650円
同社の直販サイトやカンダフルなどで入手可。