缶詰博士の黒川氏によると、お店の缶詰の品揃えには地域差があって、比較するとかなり面白いそうです。
「例えば九州はフルーツ缶の種類が豊富。柑橘類だけ見ても、ミカンに甘夏、デコポンなど、驚くほど多彩なんです。九州人はよほどフルーツ好きなんでしょう!」
缶詰を見ただけで言い切るのはどうかと思いますが、今回はそんな九州で製造されているフルーツ缶を紹介するそうです。本州では滅多に見られないレア缶だそうですよ!
東日本ではまず見かけない
まず品名に惹かれてしまった。「金太洋こんにゃくフルーツ」って、いったい何者?
「金太洋」は長崎にある太洋食品のブランド名だ。九州・四国や関西圏の人なら「知ってる知ってる!」と声が出ると思うが、東日本ではまず見かけない。
僕は金太洋のミカン缶が大好きで、かつて著書「缶詰博士が選ぶ! 「レジェンド缶詰」究極の逸品36」でも詳細に紹介している。ざっくり申せば、甘味と酸味の輪郭がはっきりした味なのだ。
こんにゃくフルーツもその金太洋ファミリーの一員ということになるが、いや、こんにゃくフルーツっていったい何者?
鮮やかなミックスフルーツ
まずは開缶。アルミフタを取り去ると、目にも鮮やかな色彩が散らばった。パインの黄色に、ミカンのオレンジ、桜桃の山吹色。要するにこれはミックスフルーツ缶じゃないか。 しかしその合間にゼリー状の物体が混ざっている。これがこんにゃくということか?
こんにゃくの匂いナシ
皿に取り出すと、こんな感じ。手前の2つがゼリー状の物体であります。1つは無色透明で、もう1つは薄紅色。鼻を近づけてすんすんしたが、こんにゃくの匂いはしなかった。また、触った感じもこんにゃくのような弾力がない。
あらためて缶の表記を見ると、品名の下に「こんにゃくゼリー」と書いてあった。こんにゃくを原料に作ったゼリーということか?
謎は深まるばかりだが、この見た目はすごくいい。ダイヤ型にきっちりとカットされております。
かくのごとし。パイン、ミカン、桜桃、こんにゃくゼリーは器に盛りつけ、シロップはヨーグルトに混ぜてラッシー風ドリンクにした。
まずは気になるこんにゃくゼリーを、ひと口いただく。ふむ、ふむ。こんにゃくのような固さはなく、ゼリーほど柔らかくないけど、噛むとわずかな抵抗感がある。
例えて申せば、寒天に似ているかもしれない。ほんのりした甘い味がして、鼻から抜ける匂いには清涼感がある。何というか、上品なデザートを食べているようだ。
パインは甘さ控えめで、ミカンは金太洋らしいくっきりした味。桜桃は酸味がほどよく、舌の上で溶けそうなくらい柔らかい。
結論。こんにゃくゼリーがウマい。これだけ詰めてほしい。
缶詰情報
太洋食品/金太洋こんにゃくフルーツ 210g 265円
通販サイトなどで入手可。