寒波が次々とやって来るこの冬。とくに寒い日には、辛いものを食べて体を温めたくなります。
「そんなあなた! 麻婆豆腐の缶詰なんていかがですか。辛口も甘口も揃ってますよ!」と、まるで通販のような口調で語るのは缶詰博士の黒川氏。麻婆豆腐の缶詰って珍しいですが、一体どんな缶詰ですか?
石狩の缶詰工場だからイシカン
北海道石狩市は聖地の一つであります。なぜなら、日本で初めて缶詰の商業生産が行われた土地なのであります。それは明治10年10月10日のことで、その日は「缶詰の日」として認定されている。
そんな石狩市で2020年に生まれたのが「イシカン」という缶詰メーカーだ。石狩という土地に誇りを持って、地元食材を活かした缶詰を製造している。今回はその中の「マーボー缶」を紹介したいのであります。
紛うかたなき中華の匂い
マーボー缶には「辛口」と「甘口」の2種があるので、両方を開缶した。
とたんに台所が中華料理店の匂いで満たされる。それは何の匂いかと申せば、おろしニンニクとか、ネギとショウガを炒めた匂いとか、甜麺醤(テンメンジャン)とか、そういう匂いの複合体であります。
辛いものが比較的苦手な僕は、この匂いを嗅いだだけで汗が出た。と同時に、猛烈な食欲も出た。ちなみに時刻はまだ朝の10時。困ったものである。
豆腐好きに嬉しい
麻婆豆腐といえば豆腐が大事。そこで缶から豆腐を取り出してみると、この有様である。デカくて長くて、かなり珍しいカット方法といえる。
(ひょっとして、もう半分にするつもりだったのを切り忘れたのかな?)
そう思って他の豆腐を取り出すと、やはり同じ形である。よほどの豆腐好きがカットしたのでありましょう。僕も豆腐大好き人間なので、このカットは缶迎(歓迎)したい。
豚ひき肉のうま味
かくのごとし。炊きたてごはんに乗っけてマーボー丼にした。あとは漬け物と汁があれば、昼飯には十分であります。
辛口のほうをいただくと、本当に辛い。舌が痺れるような辛みがあり、直後にショウガやネギ、ニンニクなどの中華的香味野菜群の風味が襲ってくる。辛みが強いから塩味も強め。圧倒的なパンチ力でごはんが進む。
一方の甘口は、辛みと塩味を抑えてあるものの、香味野菜群のパンチは強い。
両者に共通するのは、豆腐の濃厚さと、豚ひき肉のうま味である。豆腐はねっとり食感で食べ応えがあり、豚肉は小粒でもうま味が味わえる。石狩市で育つ「望来豚(もうらいとん)」が使われているそうだ。
缶詰情報
イシカン/マーボー缶 辛口と甘口(各180g 石狩市外756円 市内648円)
同社ECサイト(Yahoo!ショッピング)などで入手可