食べたことのない料理を想像だけで作っちゃうシリーズ、第2回です。今回はペルー料理「カウサ」を再現します。一見するとケーキにしか見えず、インスタ映えすることでネットでも話題のカウサですが、例によって缶詰博士は食べたことがないそうです。果たしてどんなお味に仕上がるのか、楽しみですね!
ついにその時がやってきた
知人S氏は奇特な人である。海外出張のたびに、珍しい缶詰や料理を撮影して送ってくれる。おかげで僕は日本にいながら各国の食文化を知ることができるのだ。ありがたいことであります。
そのS氏が2年前に教えてくれたのが、ペルーの「カウサ」という料理。味付けしたツナの上下を黄色いマッシュドポテトで挟んであるのだけど、そう説明されなければ絶対ケーキにしか見えないくらい可愛い。
いつか作ってみようと思っていたが、ついにその時がやってきたのだ。
やっぱり正解が分からぬ
今回もネットでレシピを検索してみた。プロの料理人のレシピがあり、ペルー関係者が書いたレシピもあったが、共通しているのはマッシュドポテトにレモンの酸味を利かせるということ。そこで前出のS氏にメールしてみた。
「現地で食べた時、どれくらい酸味が利いてました?」
「あまり憶えてないですが、そんなに酸っぱくなかったです」
はて。酸っぱいのが正解なのか、そうでないのが正解なのか。いやいや、ここは現地特派員S氏の意見を優先すべきだろう。
それにしても、そもそも酸っぱいマッシュドポテトというのが想像できない。カウサは妄想の限界を超えてきたのだ。
このツナ缶で勝負!
今回ご登場願ったのはオーシャンプリンセス「ホワイトツナ 国産唐辛子入り」というやつ。ツナ缶原料では最高峰の夏ビンナガマグロ(それも一本釣り)を使い、高価な国産の赤唐辛子でピリ辛にしてある。
カウサの具はツナだけでなく、鶏肉や貝類も使うらしい。しかし味付けはどれもピリ辛らしいので、このツナ缶にご登場いただいたわけだ。
マッシュドポテトは「インカのめざめ」を使用。鮮やかな黄色がきれいだし、ペルー料理にインカはきっと正しいと思う。茹でて皮をむき、よく潰したところにレモン汁とオリーブオイルを混ぜこむ。ちょいと味見すると、意外と悪くない。なるほど、レモンの酸味とマッシュドポテトは相性がいいようだ。
ツナは油ごとボウルにあけ、マヨネーズにヨーグルトを加えたソースを入れてよく混ぜた。ヨーグルトを使うレシピはなかったが、単純なマヨ味がイヤだったのだ。ツナにしっかり味がついているから、これでいい缶じになると思う。
セルクルという型を皿に載せ、マッシュドポテトを底に詰め込む。スプーンで押し固めるようにした。セルクルを使うことで仕上がりが丸くなり、よりケーキっぽくなるのだけど、使わないレシピもあるようです。
中間層にツナを詰める。これはあまり強く押すとツナから脂が抜けてしまうので、それよりも隅々まできちっと詰めるようにした。
ツナの上に再びマッシュドポテト。これも強く押さず、均等に詰めるようにした。最後に表面を整え、フォークで抑えながらセルクルを抜く。緊張する瞬間だけど、意外と楽に抜けるので拍子抜けする。
あとはアボカドの皮をむいてスライスし、隣に並べる。残しておいたマヨ&ヨーグルトソースをかければ缶成!
かくのごとし。とりあえずS氏が送ってくれた写真の通りに再現してみた。早速ひと口いただいてみる。
Oh。想像したよりずっと素朴な味。マッシュドポテトのモクモクした食感が最初にあって、次にピリ辛のツナが顔を出す。両者が混ざり合うと、辛かったり酸っぱかったり、ツナのうまみがあったりと賑やか。そこにアボカドが入ると脂っこさで全体がまとまる缶じだ。
もっとも手間が掛かるのはじゃが芋を茹でて潰すことだが、面倒ならばインスタントのマッシュドポテトでもいいと思う。とにかく見た目が命のカウサ君。連休に仲間と集まったときに出してみようかな。
缶詰情報
オーシャンプリンセス / ホワイトツナ国産唐辛子入り(90g)
参考価格 350円(税別)
同社のネットショッピングなどで購入可
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。