缶詰博士の連載も6年目に突入! 博士には引き続き、たくさんの珍缶美味缶納得缶を紹介してもらいましょう。さて令和5年の最初の缶詰は何ですか、博士?
大胆すぎるデザイン
宮城県石巻市に行ったおり、「いしのまき元気いちば」で見つけたこの缶詰。顔立ちの整ったネコの写真に惹かれて、即、買い物カゴに入れてしまった。中身の確認は後でよし。これだけ愛らしいんだもの、ジャケ買いでいいのだ。
で、会計後にあらためて調べると、このデザインは愛らしいだけじゃない。大胆なのだ。 品名の代わりに「ねこの島 宮城 田代島」と書かれているし、田代島の紹介が地図入りで詳しく載っているのに、肝心の中身についてはほとんど書かれていない。あるのは「おでんにゃん」という表記と盛りつけ写真である。なるほど、これはおでん缶であったか。
缶内いっぱいに具
さあ本年も元気よく参ります、開缶! と、いきなり目に飛び込んできたのはさつま揚げらしきもの。その脇には糸コンニャクも見えている。
汁に沈んでおらず、こうして顔を出しているということは、この缶内いっぱいに具が入っているという証しである。年明け早々、嬉しいことになった。
具は7種類で9コ
具を取り出して並べるとこの通り。左上から時計回りに、焼きちくわ、コンニャク、糸コンニャク、ウズラゆで玉子、大根、小判さつま揚げ、豆腐小判さつま揚げと、7種類で9コという陣立てだ。予想は過たず、かなりの具だくさんである。
これらの具と汁を小鍋で温めると、魚介ダシのうっとりするような匂いが立ち昇った。おりしも正月である。雑煮風にして食べることにしよう。
歯触り良好
焼き餅を加えて、かくのごとし。汁がたっぷり入っているおかげで、思ったよりもきちんとした雑煮風になった。
汁をすすると、ほんのりした甘さがあって、塩気がきつくない。その汁が染みた大根がまず、ウマい。繊維質が感じられず、とろけるように柔らかいのだ。
焼きちくわと小判さつま揚げは弾力があるけど柔らかく、反対にコンニャクはプリプリと歯触りがいい。ウズラゆで玉子は外側の白身がプリプリ、中の黄身はとろりと溶け出てくる。それらのうまみを吸い込んだ餅も絶佳であります。
ちなみに、この缶詰の売上金の1割は、地域ネコの避妊去勢手術代として寄付されるそうな。いい話ではないか。
缶詰情報
阿部善商店/ねこの島 宮城 田代島 おでん缶 280g 700円
宮城県内の一部の店舗や、元祖ねこ商まるやま商店のサイトなどで入手可