今回はねぎのお話です。缶詰博士の黒川氏によると、缶詰にちょい足ししておいしくなる食材の代表各がねぎだそうです。

「生でも使えるし、火を通してもおいしい。大抵の家にあると思うので、ぜひ缶詰のパートナーとして使ってやってください!」

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  • コンビーフと一緒に炒める

    コンビーフと一緒に炒める

匂いをマスキング

ねぎは偉大であります。生の時には鮮烈な匂いと辛みで食欲をそそり、加熱すれば一転して甘くなる。スーパーやコンビニでいつでも買えるし、比較的長持ちするのもありがたい。

例えば、玉ねぎ。コンビーフと一緒に炒めれば、ねぎ類に含まれているアリシン(硫化アリル。目や鼻を刺激する成分)がコンビーフ特有の匂いをマスキングし、甘みも加えてくれる。あとは黒コショウを掛ければ、どんな酒にも合う万能おつまみに変身!

  • 魚には生の玉ねぎ

    魚には生の玉ねぎ

食べた後の口中をすっきり

魚の缶詰なら、玉ねぎは生で使いたい。オイルサーディンでカナッペを作る時などに、薄切りにしていわしの下に敷くのだ。

ピリッとした辛みと匂いが魚臭さを打ち消し、食べ終えたあとの口中をすっきりさせてくれる(玉ねぎの匂いは残るけど)。

トルコのイスタンブール名物「さばサンド」にも、スライスした生の玉ねぎがたっぷり入っていましたぞ。

  • 貝の炊き込みごはんに小ねぎ

    貝の炊き込みごはんに小ねぎ

  • いわしのみそ煮に九条ねぎ

    いわしのみそ煮に九条ねぎ

どんな味付けでも喧嘩しない

小ねぎ(万能ねぎ)や九条ねぎなどの葉ねぎは、とくに魚貝缶に最適であります。貝を甘辛く煮た缶詰に加えれば、茶一色の世界がとたんに鮮やかになる。しゃくしゃくとした葉ねぎ特有の歯触りも、むちむちした貝類の歯応えと好対照で心地良い。

いわし缶やさば缶との相性も抜群だ。水煮、みそ煮、しょうゆ煮など、どんな味付けと一緒になっても喧嘩をしない。加熱しても歯触りは残るので、さば缶を使った鍋やみそ汁に使うと、最後までしゃくしゃくした食感が愉しめる。

最後は長ねぎであります。根深ねぎや下仁田ねぎなどの関東を代表する長ねぎは、白い部分が長いのが特徴。切った時に出てくるぬめりが、甘さと柔らかさのもとであります。

例えば、さば水煮缶と一緒に煮るとどうなるか。加熱によってねぎはとろとろに柔らかくなり、同時にさばのうま味を存分に吸い込んでくれる。一方、さばのほうにもねぎの甘い風味が移って、ただの煮付けが上品な煮付けにランクアップするのだ。

葉ねぎも長ねぎも、刻んでパックに入ったものがスーパーやコンビニで買えるから嬉しい。使い切れなかった分は、空気を抜きながらラップに包んで冷凍すれば、だいたい1ケ月くらいは持ちますぞ!