年末年始に何かと話題になる高級食材。本マグロにズワイガニ、タラバガニなどの値段は、ツナ缶に慣れている者からすると異次元の世界です。
「いやいや、ツナ缶だって驚くほどお高いのがありますぞ!」と、鼻息も荒く語るのは缶詰博士・黒川勇人氏。でもツナ缶といったら庶民の味方のはず。そんなに高額なものがあるんですか?
製造量で価格が決まる
ツナ缶が世に登場したのは1860年~70年頃で、最初に造ったのはフランス人といわれている。それが世界中に広まり、特にアメリカ人に好まれて、大量製造されるようになった。手軽にタンパク質が摂れるし、どんな料理にも使えるから、まさに庶民の味方であります。
その価格は製造量で決まる。大量に造れるのならお安くなるし、少量しか造れないならお高くなる。希少な原料を使ったり、製造に手間が掛かったりするツナ缶は高いのだ。
ポルトガルのラミレス社が造る「プレミアムツナ オリーブオイル漬けブロック」は、1缶約541円。血合いや血管などを取り除いたカツオの身を、ブロック状に切り出してあるのが特徴で、思わず「ハムかよ!」と突っ込みたくなる。
すっきりしたうま味(カツオ節と同種のうま味)が後を引きますぞ。
静岡産のお茶を使用
静岡の伊藤食品が造る「美味しいまぐろ・とろ油漬~お茶のかおり~」も、1缶約462円となかなかお高い。高級部位のトロを使っていることと、油が米油&茶の実油という凝ったものであること、茶葉まで加えてあるという凝りようから、その値段になった。
脂が乗った身は柔らかく、かつ酸味を含んだうま味もたっぷり。でも脂が乗っているわりには、飲み込んだあとがすっきりしている。きっとお茶の効果でありましょう。ちなみに、茶の実油も茶葉も静岡産だ。さすが静岡のメーカーであります。
高知ならではのツナ缶
高知県の西端近く、もうちょっと進んだら足摺岬という場所にあるのが黒潮町缶詰製作所。ここの缶詰はすべて7大アレルゲン(エビ・カニ・小麦・ソバ・卵・乳・落花生)不使用で造られている。
さらに、うま味調味料も使わないので、味の微調整は出汁や塩麹などの天然素材で行う。うま味調味料を使えば一発で味が決まるのに、それをやらないのだ。ハードルの高い製造方法であります。
そんな黒潮町缶詰製作所の造る「黒潮オイルのごろっとカツオ」は、黒潮町産の1本釣りカツオが原料だ。
荒くほぐした身を菜種油&オリーブ油に浸けてあり、風味付けには名産のゆず皮を使っている。そのナチュラルな味わいは他にないもので、高知ならではのツナ缶と言える。このこだわりで475円なら安い!
思わず2度見する価格
さて、いよいよ今日のラスボスであります。これまでのツナ缶とはお値段がひと桁違いまして、1缶で5,400円であります。
思わず2度見してしまうこの値段は、僕の知る限り世界で一番高い。内容量90gなので、1gあたり60円だ。
その名は「マグロトロ ブラックレーベル」という。漆黒の箱の中には説明書とクロモジの楊枝も入っていて(しかも2本)、手書きでシリアルナンバーが記されている。
これがその中身だ。原料は夏ビンナガマグロという、ツナ缶原料では最高峰といわれるマグロを使う。
部位にもこだわっていて、大トロだけを切り出して使っている。単純なトロじゃなく、"大"トロであります。何となれば、この1缶を造るために夏ビンナガマグロ3尾が必要になるそうな。まあ、控えめに申し上げてもクレイジーなことをやってます。
お味はまさにスーパー。舌の上に乗せても、重量を感じないほど滑らかだ。スペイン製の最高級オリーブ油「ブラックレーベル」の香りもよく、その身は加熱したとは思えないほどレアな風味。死ぬまでに一度は体験してほしいツナ缶であります。
缶詰情報
三幸貿易/ラミレス・プレミアムツナ オリーブオイル漬けブロック 120g 12缶6,500円
同社のヤフーショッピングサイトなどで購入可
伊藤食品/美味しいまぐろ・とろ油漬~お茶のかおり~ 70g 12缶5,540円
同社直販サイトなどで購入可
黒潮町缶詰製作所/黒潮オイルのごろっとカツオ 90g 475円
同社直販サイトなどで購入可
モンマルシェ/マグロトロ ブラックレーベル 90g 5,400円
同社直販サイトで購入可