今回は「ずぼらレシピ」第2弾、さば缶で作る鍋料理です。缶詰博士によると、さば缶はうまみが豊富なので、鍋に使えば出汁がいらないとか。
「さばのうまみ成分は主にイノシン酸で、秋〜冬の脂が乗る時期が一番多くなる。ほとんどのさば缶が、その時期に獲れたさばを使ってるんですぞ」
そう語る博士は、いつにも増してドヤ顔。相変わらず缶詰愛が濃いですが、出汁も使わずに本当においしい鍋が作れるんですか?
ダブルのうまみで相乗効果
鍋。それは具材と汁が織りなす天上の楽園。それでいて作るのが簡単で、基本的には材料をブチ込んで火に掛ければいいという、元祖ずぼら料理でもある。
さらにずぼら度を増すのならば、メインの具は缶詰にしたい。例えば、さばの水煮缶である。加熱調理済みだから時短になるし、その缶汁はさばのうまみが溶け込んだ極上の出汁。何しろさばは「さば節」の原料になる魚なのだ。
さらに極上を追求するなら、うまみのダブル効果を狙いたい。さばのうまみ成分は主にイノシン酸なので、グルタミン酸を豊富に持つ食材を合わせれば良し。
良心的なさば缶
今日使うさば缶は、高木商店「寒さば水煮」だ。希望小売価格292円という比較的リーズナブルな設定にも関わらず、脂が乗った旬のさばしか使わないという、誠に良心的なさば缶である。
ちなみに、同社社長のT氏は、カラオケで歌えばハイボイスが美しい美男子。先代社長のT氏もハイボイスが得意で、特に演歌系が強い。大手缶詰メーカーの受託製造も引きうけていて、缶界でも信頼が厚いという、そんな造り手であります。
ぶなしめじはグルタミン酸が豊富
それではずぼら料理スタート! ぶなしめじとにんじんを食べやすい大きさにして、鍋の底に積み重ねる。ぶなしめじを選んだのは、グルタミン酸が豊富だからだ。
ちなみに、にんじんは皮をむかずに洗っただけで使うのが好みであります。生ゴミも減らせるし、栄養も損なわないのであります。
味付けは塩のみ
ぶなしめじ&にんじんの上に、寒さばを汁ごとぶっかける。さば缶を使った鍋は、このうま味がたっぷり含まれた汁が何より大事。味の基礎になるのだ。
あとは缶詰1杯分の水を加えて、塩小さじ1を振りかければ、それだけでOK。出汁の素とか、鍋の素なんか入れてはいけませんよ。そんなの使わなくても、ちゃんとおいしくなるんだから。
パック入り大根おろしを使うのも手
上から大根おろしをたっぷり掛ける。雪見鍋の名のごとく、具材が見えなくなるくらいたっぷりと使うのがよろしい。
ところで、大根をおろすのはなかなか大変な仕事である。なので、あらかじめおろしてあるパック入り商品を使うのもひとつの手。大手スーパーに行けば売っていますぞ。
あとはフタをして、弱火に掛けて、にんじんが柔らかくなるまで煮れば……。
一度に食べ切るべし!
かくのごとし。さば缶ときのこの雪見鍋の缶成であります。
塩だけで味付けしたとは思えないほど、味に深みがある。さばの魚介系うまみがベースで、にんじんとぶなしめじの野菜系うまみが融合し、全体を大根の澄み切った甘さが統一しております。
それにしても、さばがウマい。腹身にも背身にも脂が乗っていて、とろとろである。加熱が短時間だったから(ルクルーゼのホーロー鍋でおよそ7分)、身から脂が抜けてないのだ。
ところで……。この料理でもっとも大事なのは、一度に食べ切れる分だけ作ることであります。例えば、夜に作ったものを翌朝に食べると、さばから脂、味が抜けてパサつき、まったくおいしくないのだ。やむなく残す場合も、さばの身だけは食べ切ってくだされ!
缶詰情報
高木商店/寒さば水煮 190g 292円
大手スーパーやネットショッピングなどで購入可