「こんな大粒のカキが入った缶詰、今まで見たことがない……」缶詰博士が絶句しています。手にしているのはカキ水煮の缶詰。のぞいてみると、本当に大きなカキがごろりと入っています。
「カキは身の7割~8割が水分と言われているから、加熱すれば縮むもの。縮んでもこの大きさということは、元の大きさはどれだけ……」
えーと、分かりました博士。呟き続けるより、文章でちゃんと教えてください!
桜の時期に旬を迎えるブランドカキ
これから冬が訪れようというこの時期に、僕の頭の中では桜が満開に咲いております。なぜなら、目の前にあるカキ水煮缶が「桜満開牡蠣」という名前なのであります。
岩手県釜石市で生産されているこのカキは、桜の時期に旬を迎えるブランドカキだ。カキは一般的に真冬が旬だと思われているけど、本当においしくなるのは年を越して春に向かう頃。同じ旬の内でも、終わりに近い「名残」の頃だ。
コロナ禍により初の缶詰化
では、あらためて缶詰を紹介申し上げたい。釜石の室浜漁港で、たった2人の生産者が育てているのが桜満開牡蠣。それを同じ岩手県にあるタイム缶詰が水煮缶に仕立てて、かまいし水産振興企業組合が販売している。
実は、桜満開牡蠣が缶詰になったのは初めてのこと。というのも、生産量が少ないから、すべて生鮮で売り切っていたのだ。
しかし、昨年はコロナ禍で出荷がストップした。生産した1万5,000個のカキのうち、2,500個は生鮮で出荷し、残りの1万2,500個を缶詰にすることにした。
そもそも、釜石市といえば2011年の東日本大震災で壊滅的な被害に遭った地域だ。生産者たちのご苦労、奮闘には、本当に頭が下がる思いであります。
持つ手が震えるほどの重量感
1粒をフォークに乗せてみると、この大きさ。持つ手が震えるほどの重量感がある。缶には3~5粒が入っているとのことで、この缶には5粒入っていた。どれも大粒であります。
缶を満たしている缶汁(塩水)には濁りがなかった。原料が新鮮だった証拠だ。匂いも清々しいし、これならカキの匂いが苦手な人でも食べられそうだ。
食感のみずみずしさに驚く
かくのごとし。耐熱容器に缶汁ごと入れて温め、エクストラバージンオリーブ油、黒コショウを掛けた。黄色く色づいてきたスダチを添える。
ではでは、いざ試食! 大きく口を開けて、がぶりっ。
むっ。食感がみずみずしいです。缶詰のカキは、加熱によって食感がもっちり、もしくはモソモソしがちなのに、それがない。
夢中で噛み、飲み込むと、口中に残った香りがフレッシュなカキのようだ。僕は磯臭いのが苦手なんだけど、そうではなく、心地良い潮の香りがある。そして、舌の上に残るミルキーなうまみ。これもこってりしてはおらず、どちらかといえば爽やか。今まで味わったことのないタイプだ。
このカキ缶は今年3月から販売が始まった。売れ行きは好調で、来シーズンも製造予定というから嬉しい。買って食べて、被災地を応援しましょうぞ!
缶詰情報
かまいし水産振興企業組合/桜満開牡蠣 水煮缶詰 160g 3缶セット5,400円
同組合のネットショッピングなどで購入可