常温で長期間保存できる缶詰は非常食としても優秀です。もし電気やガス、水道が止まっても、缶詰なら冷蔵不要で、調理しなくても食べられるからです。
あとはどんな缶詰を選べばいいのかということ。さっそく缶詰博士に尋ねてみると「3つのキーワードを憶えておけば大丈夫!」との回答が。それはどんなキーワードですか、博士?
いざという時は非常食に
かつての非常食は「いざという時の食べ物」という認識があった。だから普段は食べない乾パンとか(個人的には好き)、氷砂糖、フリーズドライ食品などが多かった。缶詰にしても、いつもは食べないが「非常食として用意してる」という人が多かった。
そんな認識が変わったのは、「ローリングストック」(日常備蓄ともいう)という考え方が出てきてから。日持ちする食品をまとめ買いし、普段から食べていく。ある程度減った時に買い足せば、常に一定数のストックがあることになる。いつも食べている物が、いざという時は非常食に早変わりするわけだ。
その考え方に則って、「どんな缶詰が非常食に向くか?」を考察したい。憶えておくべきは「水分」「食物繊維」「タンパク質」の3つのキーワードであります!
食べながら水分補給
まずは「水分」だ。避難先が狭い空間の場合(車中やテントなど)、長時間足を動かせない可能性がある。この時、水分が不足していると血行不良が起こり、エコノミークラス症候群になりやすいと言われている。
そこで一助となるのがスイートコーン缶。実の中に水分が含まれているので、食べながら"ある程度"の水分補給が出来るのだ。
スイートコーン缶はいろんな種類が出ているけど、食塩や砂糖を加えていないものがおすすめ。喉が渇かないからであります。
冷たいままでおいしい
おかゆやリゾットなど、水分量の多い「ごはん缶詰」も水分補給の一助になる。味付けを一切していないおかゆ缶もあるし、伊藤食品「美味しい牡蠣リゾット」のように、しっかりした料理になっているものもある。
どれも冷たいままでじゅうぶんおいしいから、加熱調理のできない非常時には助かりますぞ。
食物繊維で便秘を回避
2つ目のキーワードは「食物繊維」。避難生活が続くと、老若男女を問わず便秘がちになると言われている。大腸を刺激して排便を促す食物繊維は、いつも以上に摂取すべきであります。
味の加久の屋「Mikataきんぴらごぼう」は、食物繊維を豊富に含むごぼう、人参、こんにゃくを甘辛く炊いた缶詰だ。ごぼうと人参は歯応えがしっかり残っていて、缶詰に入っていたとは思えないほどしゃきしゃきしている。
味がしっかり付いているので、ごはんのおかずにちょうどいい。
トマト缶のおかげ
3つ目のキーワードは「タンパク質」だ。血液や筋肉などを作る材料になるので、生きていく上で欠かせない栄養素であります。
タンパク質は魚や肉、大豆などに含まれているので、缶詰ならさば缶やツナ缶、肉類、ミックスビーンズなどの缶詰を選べばいい。
おすすめしたいのはホテイフーズの「やきとりたれ味」。というのも、優れた非常食を選ぶ「災害食大賞」という選考会が毎年あり、その2021年缶詰部門で、同缶詰が優秀賞を受賞しているのだ。
僕もその審査員を務めているのだけど、審査員のみんながひと言漏らしたのは「やっぱりおいしい。非常時に食べれば、一時でも日常を思い出せるはず」という感想だった。ストレスが溜まる避難生活では、心がほっとする缶詰も大事なのであります。
※紹介した缶詰は、あくまで非常食を選ぶ際のヒントとなるものです。
缶詰情報
いなば食品/食塩無添加コーン 200g 150円前後
伊藤食品/美味しい牡蠣リゾット 230g 4,044円(12缶セット)
味の加久の屋/Mikataきんぴらごぼう 60g 345円
ホテイフーズ/やきとりたれ味 75g 172円
一部のスーパーやネットショッピングなどで購入可