あらためてご当地缶詰に注目しているという缶詰博士。この数年、地方発のユニークな缶詰がぞくぞくと登場しているそうです。
「このあいだ食べたのはノドグロの缶詰。ちょっとお値段が高かったけど、仕事を缶ばった後のごほうびにいただきました!」
さりげなく缶詰ダジャレを入れてきたのはスルーして、ノドグロといえば高級魚です。そんな魚まで缶詰になっているんですね。
缶詰売り場「カンダフル」をご存じだろうか。アイテム数日本一を目指して造られた売り場で、場所は秋葉原にある食品店「しょくひんかん」の一角にある。全国のご当地缶詰がずらりと並ぶ、それはそれはすごい売り場であります。
先日、そこで見つけたのが小浜海産物「のどぐろ綿実油漬」。書籍で知っていたけど、実物は初めて見た。1缶1,296円という高額に迷いつつ、でもでもどんな味か知りたいので購入。
(きりっと冷やした清酒に合いそうだなー)
と思っていたのだけど……
なぜか早足で家に帰り、焦る気持ちを抑えつつ、慎重に開缶(雑に開けると油があふれる)。むっ。美しいフィレに整えられたノドグロが整然と収まっております。それもそのはず、この缶詰の製造は京都の「竹中缶詰」なのだ。
オイルサーディンで知られる同社は、熟練の職人が1尾ずつカットし、わたを抜き、余分なヒレもはさみで切り取って手詰めするという、ていねいな製法を守る造り手なのであります。
缶内中央には四角く切った月桂樹が1枚。これも竹中缶詰さんだけの特徴だ。
身の柔らかいノドグロを、これだけきれいにさばいて詰める技術。素晴らしいです竹中さん。
使っている油は、コットンの実から抽出した高級油・綿実油。それだけでなく、ラー油をブレンドしているのがこの缶詰のユニークなところ。一体どんな味なのか?
かくのごとし。冷たい清酒に合わせるつもりで皿に盛りつけた。トッピングは大葉とみょうがの千切りであります。
ひと口いただくと、まずラー油のピリッとした辛みが来て、そのあとノドグロのうまみが来る。噛みしめると甘みがじわっと浮かんでくる独特のうまみだ。
ラー油の辛さに負けないよう、塩味は強め。トッピングした大葉とみょうがとの相性もよく、その味をかみしめていると、ふと思いついた。
(これ、おかゆに合うな絶対)
試しにおかゆ缶(以前紹介したこまちがゆ)を熱々に温めて丼に盛り、そこにノドグロを乗せて食べると、果たして絶佳。
油条という揚げパンを乗せて食べる中国式のおかゆがあるけど、それに近い感覚なのだ。
おかゆに乗せるなら、1人分でノドグロ4枚あれば十分。ということは、おおむね12枚のノドグロが入ったこの缶詰で、おかゆ3人分は賄える。
おかげで1,296円の元は取れましたぞー(ちょっとセコい)。
缶詰情報
小浜海産物/のどぐろ綿実油漬 75g 1,296円
カンダフルのほかネットショッピングなどで購入可。