前回はポルトガル風缶詰で海外気分を味わった缶詰博士。今度は日本に目を向け、滋賀県を(空想で)旅するそうです。
47都道府県ある中で、なぜ滋賀県を選んだのか。そこに缶詰がどうやって絡んでくるのか。博士の空想世界にしばしお付き合いください!
居酒屋で出てきた〆メニュー
話は5年前にさかのぼる。そうめんを愛し、そうめんの素晴らしさをさまざま々なチャネルで発信しているソーメン次郎さんと、そうめん&缶詰のコラボレーションイベントをやったことがある。
イベント終了後、打ち上げでとある居酒屋に入ったのだけど、そこで〆に出てきたのが「焼きさばそうめん」だった。
焼きさばを甘辛く煮付け、茹でたそうめんをその煮汁で味付けし、皿に盛りつけたそうめんの上に、煮付けたさばをどーんと乗せる料理であります。
ソーメン次郎さんによると、焼きさばそうめんは滋賀県長浜市の名物料理だという。甘辛い味といい、盛りつけの豪快さといい、僕はすぐに焼きさばそうめんのファンになってしまった。
それから幾星霜。秋葉原にある缶詰専門店「カンダフル」を徘徊していると、何と。あの焼きさばそうめんを再現した缶詰を発見したのだ。
僕は売り場で缶詰を手にしたまま、5年前のイベントのことを思い出した。
「あの頃はコロナ禍なんてなかった。お客さん同士、かなり密で楽しんだっけ」
「長浜といえばびわ湖の北、日本海に近いほうだ。かつては福井のさば街道から、新鮮なさばがやって来たのだろうなァ」
などなど空想にふけりつつ、パッケージにある表記を読む。さばめんの"めん"はMenではなくて麺だ。しかしそうめんではなく「こんにゃく麺を使用」とある。
正しい。小麦粉由来のそうめんを缶詰にしたら、汁を吸い込んでフニャフニャになるだろう。
家に帰って、さっそく開缶。むっ、何というか、実にユニークな内観であります。麺の上に煮付けたさばの身が乗っている。確かにこれは焼きさばそうめんの様子なのだけど、それが缶に入っていると、実に奇異な様子に見えるのだ。早くお皿にあけてあげよう。
かくのごとし。彩りにみょうが、大葉の千切りをトッピングしたが、それ以外は缶詰の中身そのままであります。
さばを頬張ると、脂が乗った身が砂糖&しょう油で煮付けられており、誠にウマい。その甘辛~い煮汁が隅々まで染みこんだこんにゃく麺がまた、ウマい。
これ、そうめんではありません。だから本来の焼きさばそうめんでもない。でも、これはこれでアリ。
こうして味わっていると、広大なびわ湖と、その湖畔の美しい景色が頭に浮かんでくる。
もっとも現地に行ったことはなくて、旅番組で見た景色なんだけど。
缶詰情報
小浜海産物/鯖街道さばめん 150g 500円
ネットショッピングなどで購入可。