コロナ禍で生活様式がすっかり変わった2020年。不安もたくさんありましたが、缶詰博士はなぜかニコニコ顔。聞けば、今年は缶詰業界が大いに盛り上がったそうです。
「各メーカーの売上げもよかった。それにさば缶がやっぱりすごかった! 面白い新商品がどんどん出た年でしたよ!」
小倉名物ぬか炊き
北九州・小倉の名物に「ぬか炊き」がある。青魚をぬかで煮る料理で、しょう油煮よりも味がぐっと深いのだ。で、このさば缶がそのぬか炊きを再現したもの。再現というより、小倉で三代に亘ってぬか床を守ってきた「宇佐美商店」が出してるから"本物"なんであります。
代表して「本味」を開缶! 見た目と匂いはみそ煮に似ていて、缶汁は甘辛い。でもわずかにうまみを含んだ苦みがあるのがぬかチック。その味が中まで沁みたさばは身が柔らかく、とてもジューシー。脂の乗ったノルウェーさばを使っているのだ。
アウトドアメーカーのさば缶!
ペットボトルをリサイクルしてフリース衣料にした最初のメーカーがパタゴニアだって、知ってました? 数あるアウトドアメーカーの中でも、環境問題をかなり真剣に意識している企業なのであります。
環境への配慮は食品でもなされている。さばを選んだのは個体数が多いから。しかも網で獲ったさばは使わず、漁師さんが糸と釣り針で釣ったさばを使う。
網漁は必要以上に獲れるし、さば以外の魚も混ざってしまう(混獲問題)。そういう事態をパタゴニアさんは「許せん!」と思ってるのだ(たぶん)。
脂乗ってないのにうまー!
代表してスパニッシュパプリカ味を開缶! 日本のさば缶よりもずっと小型の魚体を使っている。ということは「脂が乗ってないだろうなー」と思いつついただくと、予想通り脂は乗ってない。でもでも、驚くほどうまみが濃い。
釣り魚が美味しいのは、魚好きなら誰でも知っている。網で獲った魚は、暴れる際にまわりの魚や網とこすれ、魚体が傷んでしまうのだ。それに対して釣り魚はストレスが少ない。ゆえに小型でもおいしいという理屈であります。
今までなかった味
この連載の119回でも紹介した「ご飯がススムさばのキムチ煮」も忘れられない。キムチ味のさば缶なんて、今までありそうでなかったのだ。おまけにキムチ界の大御所(?)、ご飯がススム君とのコラボであります。
甘いからイイ
パタゴニアのさばと比べると、いかにこっちのさばが大きいかが分かる。日本人は脂の乗った大きなさばが大好きなのだ。
キムチ味とはいえ、かなり甘めの味付けで、辛いのが苦手な子供でも食べられると思う。その味がなぜかさばに合う。キムチのおかげでさば特有の臭いも抑えられている。
ということは、キムチもさばも、両方が苦手な人でも食べられるということか?! すげえなススム君!
缶詰情報
宇佐美商店/百年床のぬか炊き缶詰(梅肉、本味、辛口) 各195g 3缶セット税込4,800円
パタゴニア/サントーニャ・サバ・オリーブオイル漬(レモンケイパー、スパニッシュパプリカ、ローストガーリック) 各120g 3缶セット税込2,376円
信田缶詰/ご飯がススムさばのキムチ煮 190g 300円(税別)
ショッピングサイトや直販サイトなどで購入可