コンビニで買える真空パックのハンバーグが人気です。電子レンジや湯せんで温めれば、手軽に本格的な味が楽しめるからです。でも、缶詰博士は不満顔。
「あれは要冷蔵でしょ。それよりも常温のまま3年保存できる缶詰ハンバーグのほうがずっとエライ!」
確かにそうかもしれませんが、缶詰ハンバーグなんてあるんですか?
正統な存在
まず名前にほれたこの缶詰。缶入りハンバーグだから「缶バーグ」。ダジャレなんだけど、あまりにも正統な名付け方に、文句のつけようがない。パチパチパチ(拍手音)。
"レトルト"ハンバーグが人気と言われているが、誤解がまかり通っている。コンビニで売ってるパック入り冷蔵ハンバーグは、レトルト食品じゃないのだ。
レトルトというのは、ざっくり言えば加熱殺菌製法のこと。しかも常温で保存できるように加熱殺菌してあるものを指す(レトルトカレーがそう。缶詰もレトルト製法で造られている)。それに対して缶バーグはというと、きちんとレトルト製法で造られているのだ。そこに深い意味があるのですぞ!
ごろんと1コ
それにしても気になるのは中身だ。湯せんで温めてから、パカッと開缶!
ごろんと1コのハンバーグが収まっている光景が、なんだかおかしい。でも小さいサイズが複数入っているよりはずっといい。そうだ、これでいいのだ。
画像左はデミグラスソース味。ケチャップっぽい色合いだが、ケチャップよりもずっと複雑な香りがしている。
画像右は和風ソース味。こちらは肉と玉ねぎのシンプルな匂いだ。
湧き出す肉汁
代表して和風ソース味を切断。その断面は脂で輝き、肉汁がじゅわじゅわと湧き出てくる。テレビ番組だと、上から押してさらに肉汁が溢れる様子を撮るところだけど、そんなもったいないことはしません。
味の感想は以下の通り。
デミグラスソース味
→ソースに酸味、辛味があって濃厚。赤ワインも利いたかなり本格的な味で、ハンバーグ表層にしっかり絡んでいる。
和風ソース味
→てり焼きのようなこってり味じゃなく、澄んだ優しい味。粗挽き肉の食感と肉の味がよく分かる。
肉屋の矜持
かくのごとし。2種ともハンバーガーにしてみた(画像はデミグラスソース味。和風ソース味は画像なし)。
デミグラスソース味は、やはりソースが秀逸。粗挽き肉と連合を組んで攻めてくるからたまらない。ハンバーガーもいいけど、白ごはんにも合いそうだ。
和風ソース味は、荒々しい食感といい、香りといい、肉を食らう喜びがある。36%以上配合しているという松阪牛の甘い脂も味わえる。ハンバーグらしさを求めるならこっちがオススメ。
銀座の老舗肉料理店「吉澤」が、宮城の缶詰メーカー「木の屋石巻水産」とタッグを組んで開発したこの缶バーグ。店の人気メニューを商品化したわけだが、なぜ缶詰にしたのか。「災害などの非常時こそ、おいしい肉料理を食べて元気を出してほしい」。そのために、常温で長期保存できる缶詰にしたのだ。要冷蔵品ではいけないのだ。
この缶詰には、肉屋さんの矜持まで込められているのであります。
缶詰情報
吉澤商店/缶バーグ デミグラスソース味、和風ソース味 160g 900円(税別)
同社の精肉店やショッピングサイトで購入可