缶詰博士によれば、定番缶詰も時代に合わせて少しずつリニューアルしているそうです。味付けは健康志向に合わせて減塩傾向になり、缶も安全性と利便性を考慮した形に変わっているとか。
「地味な変化ですが、消費者のことを第一に缶がえて(考えて)のリニューアルなんです。地味ですが!」と力説する博士。ではその"地味"な変化を語っていただきましょう。
わたしたちのポーク
沖縄の人たちは豚肉大好き。「鳴き声以外は全部食べるよ~」とは、沖縄県人の有名な言葉であります。その好き度合いは美ら海よりも深く、缶詰のポークランチョンミートだって大好きなのだ。
ポークランチョンミートは長らく輸入品しかなかったが、県民は「どうせ食べるなら沖縄産が食べたい」と缶がえた。その意をくみ取った「沖縄県物産公社」と「沖縄ホーメル」が2002年に開発・発売したのが「わしたポーク」であります。
"わした"とは"わたしたちの"という意味。「スパム」や「チューリップ」などと比較してやや高めの価格だけど、売り上げは堅調だそうな。
なぜ鶏肉?
原材料を眺めると、豚肉の次に鶏肉と書かれている。
(あれ、豚肉大好きなのになぜ鶏肉?)
そう思われる方もおいでだろう。実はわしたポーク最大の特徴が、この鶏肉ブレンドにあるのだ。
淡泊な鶏肉を豚肉に混ぜることで、脂っこくなりがちなポークをすっきりとした味に仕上げている。でもでも、商品名はあくまでも「わたしたちのポーク」なのだ。そのユルさが好き。
開け方をリニューアル
今回のリニューアルは開缶方式にある。従来は巻き取り鍵式(かつてのコンビーフ式)だったのを、イージーオープン式に変えたのだ。
従来の巻き取り鍵はフタに半田付けしてあり、それをはがすのがなかなか面倒だった。それがプルタブを引っ張るだけになったのだ。パチパチ(拍手音)。
原料など中身の変更はナシ。しかし内容量は20グラム増量して200グラムになった。パチパチ(拍手音)。
小技を習得
イージーにオープンしたあとは、缶側面の角を対角線上にぐいぐいひねるように押してやると、内側に貼りついていたポークがはがれる。
それをまな板の上で逆さにし、何度か振れば、中身がずずっと出てくる。これはポークランチョンミートを開けるときの小技なのであります。あとは包丁でスライスして……。
油ひきます
魚焼きグリルに油を少々ひき、スライスしたわしたポークの両面を焼く。スパムやチューリップの場合は油をひかなくても焼けるのだけど(わしたポークに比べて脂分が多いから)、わしたポークは淡泊なので油を使うのがよし。
しょう油も合います
かくのごとし。わしたポークを焼いたあとで野菜類も焼き、一緒に盛りつけた。ポークランチョンミートといえばジャンキーなイメージが強く、お味も確かに濃厚かつしょっぱいのだけど、わしたポークは違う。
塩分が少ないし、原料がとてもシンプルだ。豚肉と鶏肉はどちらも沖縄産で、ほかにじゃがいも由来のでん粉と塩、沖縄産黒糖、こしょうだけなのだ。
ゆえに、子どもにも食べさせられるという安心感から、わしたポークは定番缶詰になったのであります。
といいつつ、このあと食べるときにはしょう油を掛けてしょっぱくし、それで白ごはんを2膳いただきました。ウマかった!
缶詰情報
沖縄県物産公社/わしたポークレギュラー 200g 507円(税込)
わしたショップオンラインほか一部のスーパー、ネットショップなどで購入可