辛いものは元気の元! ことに激辛を食べたあとは爽快な気分になれます。蒸し暑い時期にわざと大汗をかくのも悪くないものです。
「いやいや、ピリ辛という微妙な辛さにだって魅力はありますよ」と否定から入ってきたのは缶詰博士。「思ったより辛くない、でもやっぱり辛いかも、と辛さの度合いを探るんです。今日の缶詰なんか、その優しい辛さにきっと缶動(感動)しますよ」
相変わらず何を言っているのか分からない博士。でも、優しい辛さって何でしょう?
小缶というジャンル
京都の「竹中罐詰」といえば、真っ先に思い浮かぶのはオイルサーディンであります。京丹後の近海で獲れる小いわしを軽く干し、くん製し、ていねいに詰められた様子は、世界を見渡しても類がないほど美しい。いわしの鮮度がいいのはモチのロンで(古いな)、缶内に満たされる油も綿実油という高級油。
しかし、竹中さんの魅力はそれだけではない。かきのくん製もあるし、わかさぎやはたはた(!)もうまい。数年前からは「小缶」という新シリーズを展開していて、この「ピリ辛ベビーホタテ くん製油づけ」もそのひとつだ。
食べる前からみずみずしい
さあ、今日も元気にご唱和をお願いします。開缶!
小振りのホタテたちがぎゅうぎゅうに、かつ行儀良く並んでおります。ベビーとはいえ、どの子たちも貝柱にひもが付き(当たり前だけど)、見た目はもう立派なホタテ様。
この様子を見てまず思ったのは「何てみずみずしいんだ」ということ。油づけは通常「てらてらしてる」とか「ジューシー」とか思うんだけど、そうじゃない。表面のつやと、貝柱がぷっくりとふくらんだ様子を見たら、まず「みずみずしい」という表現が自然に出てきた。食べる前からそう思えたのだ。
くん蒸香が穏やか
こうしてフォークで取り上げてみると、身に厚みがあるのが分かる。それに身が割れているものがほとんどない。原料の選別と、詰めるときの気遣いがうかがえる。くん蒸香(くんじょうこう)はかなり控えめだ。
優しさが炭治郎級
かくのごとし。ちょうど昼時だったのでそうめんの具にしてみた。手順は
(1)そうめんを茹でて洗い、しっかり水切り
(2)そうめんに缶のオイルとそうめんつゆをまぶして盛りつけ
(3)刻んだ葉っぱ(ロメインレタス)とトマト、ベビーホタテを乗せて、黒こしょうを挽いて缶成!
まずはベビーホタテをいただくと、はじめは辛みを缶じない。ピリ辛の"ピリ"もない。しかし咀しゃくが進んでいくと「あ、すんません。すこ~し辛いかもしれへんです」と、唐辛子が顔を出す。飲み込む段階になって初めてしっかりした辛みとなる。
それにしても、その辛さが穏やかだ。きめが細かくて、荒々しいところがどこにもない。
何でしょうね、この竈門炭治郎のような、泣きたくなるような優しさは(分からない方はスルーしてください)。
その優しさは辛さだけでなく、味付け全体に通じている。塩味も控えめで、むしろ帆立の甘さを引き立てるような塩梅だ。
実はこの優しさこそ、竹中罐詰の全商品に共通する魅力なのだ。一般のスーパーではなかなか取り扱いがないけど、一度は味わっていただきたい逸品ですぞ。
缶詰情報
竹中罐詰/ピリ辛ベビーホタテ くん製油づけ 70g 500円程度
同社ショッピングサイトで他の商品とのセット販売あり。一部のネットショップでも購入可