酢の物がおいしい季節になりました。食欲が減退しがちなこの時期は、さっぱりした料理が地味にありがたいものです。
「そんなあなた! 缶詰を食べましょう。マリネの缶詰もあるんです!」と、通販番組のような台詞で登場したのは缶詰博士。「今日はすごいのを紹介しますからね。何とマリネ仕立てのさば缶です!」
エリック・クラプトンが歌い出す
この白く美しいパッケージは何と、さば缶であります。大阪の「アバランチ」という広告制作会社が開発したもので、コンセプトは「サバを贅沢に堪能する鯖缶」。1缶1,200円という高級グルメ缶でもある。
「えっと、その前に。どうして広告制作会社がさば缶を?」こう思われた読者諸賢もいらっしゃると思う。それについては後半で(覚えていたら)解説いたします。
それにしてもこのデザインよ。見た瞬缶に頭の中でエリック・クラプトンが「ホワイトルーム」を歌い出した。いや、歌詞はよく知らないけど、とにかくホワイト。でもサバだから「38」という品名なのだ。アバランチさんはダジャレ好きらしい。
中もホワイト
No.38は4品出ているが、そのうちの「風味爽やか彩りマリネ仕立て」は6月26日に発売されたばかりの新作だ。品名から推測するに、お酢を使ったマリネのさば缶ということになる。
それにしてもこのデザインよ(2回目)。箱の中の缶までホワイト一色であります。こういう徹底ぶりはけっこう好き。
ポルトガルを思い出す
さあ今日もご唱和ください、開缶!
さばは筒切りではなく、中骨に沿ってカットされている。この形状は皿に移すときに、きれいに盛りつけられるのでありがたい。
表面に見える赤いのはパプリカで、その合間には玉ねぎも見える。まるでポルトガルで食べたエスカベッシュのようだ。日本の南蛮漬けはエスカベッシュが元になったと言われているが、それがぐるりと一周回って(この表現すでに懐かし)、大阪の広告制作会社によって再構築されたのであります。
「えっと、どうして広告制作会社がさば缶を?」こう思われた読者諸賢もいらっしゃると思う(2回目)。あとで字数の許す限りご説明したいと思う。
コクと爽やかさが同居
かくのごとし。缶汁もおいしいので深皿に盛りつけた。
先ほど「きれいに盛りつけられる形状」と書いたが、このように皮目を上にして、交差するように重ねていくだけで、美しく盛りつけられるんであります。何となれば、通常の筒切りのさばも、中骨に沿って縦にカットすれば盛りつけしやすい。食べやすくもなる。
さて缶心(肝心)のお味でありますが、パプリカと玉ねぎのうまみも加わった甘酸っぱいマリネ液がさばに沁みこんでいる。加熱したさばにマリネ液(つまりお酢)を加えると身がパサつくのだけど、これはそうならず、しっとりジューシー。脂の乗ったノルウェーさばを使うことで成功したのだと思う。コクがあって、かつさっぱりと爽やか。身も心もホワイトになりそうであります。
※字数の缶係で「なぜ広告制作会社がさば缶を?」の疑問にお答えできず缶顔の至り。興味のある方は「アバランチ No.38」と検索して調べてくだされ。
缶詰情報
アバランチ/No.38 風味爽やか彩りマリネ仕立て 1,200円(税別)
同社公式ショッピングサイトなどで購入可