魚の缶詰と比べると種類が少ないお肉の缶詰。思い浮かぶのはコンビーフとか焼き鳥とか、そのままつまんでおつまみにするイメージしかありません。
「いやいや、ポーク・ランチョンミート缶だけは別です!」とドヤ顔で語り出したのは缶詰博士。「煮たり焼いたりして食べるのが当たり前という、実は珍しい立ち位置にある缶詰なんです」
あ、確かにそうかも。ということは、今日はレシピメインの話ですね博士?
なぜかギョニソと似てる
このあいだ魚肉ソーセージを食べていて、ふと思った。この肌色のような色合いとフニフニした食感は、他にそっくりなものがあった気がするぞ、と。
「さて何だっけ?」と3秒考えてすぐに判明。ポーク・ランチョンミートであります。
豚肉を細かく挽いて味付けし、でん粉で固めるのがポークランチョンミート(略してポーク缶)。「スパム」とか「チューリップ」とか、ブランドはいくつかあるものの、肌色&フニフニ食感はみな共通。それがなぜか、魚でソーセージを目指したギョニソとそっくりなのが面白い。
今では貴重
今回取り上げるのはデンマーク産のポーク缶、チューリップだ。最新型の容器はプラカップになったが、この金属缶もまだ流通している。
何となれば、その開け方はくるくる方式である。缶界で言うところの巻き取り鍵式なのだ。ノザキのコンビーフが巻き取り鍵式から撤退した今、このチューリップ缶は貴重な存在であります(ちなみに申せばスパムはフルトップ式)。
肌色がステキ
本日もご唱和をお願い致します。開缶!
こうして中身を崩さず美しく開けるには修行が必要で、早くても5年、長ければ10年は掛かるとされている(ウソです)。
この淡いピンクがかった肌色には、何かこう、命の息吹のようなものを感じてしまう。ギョニソも同じような色合いだが、こんなに生々しくはない。ひょっとして「これ、生きてるのか?!」なんて思ってしまう(生きてません)。
ポーク缶のマイルール
ポーク缶といえば下茹でするのがマイルールであります。カットしたポークを沸騰した湯に入れ、1分茹でる。このひと手間で、塩気とポーク臭がかなり抜けるから、そのあとの料理に使いやすくなるのだ。食感もふわりと柔らかくなるんですぞ。
魚缶登場!
ここで満を持して魚缶が登場。さかな君ではありません、さかな缶です。
ツナ缶(80g フレーク油漬け)に白炒りごま、ゆず胡椒をよく混ぜればそれでOK。あとはパセリがあれば刻んでおいてください。仕上がりで映えます。
僕の悪いクセ
かくのごとし。ポークを並べて、ツナのペーストとパセリを乗せれば缶成!
この料理の元になったのは、北イタリアのゆで豚料理だ。ゆで豚を薄くスライスして皿に広げ、ツナのペーストを塗るという肉&魚ミックス料理なのであります。
ツナのおだやかな風味が、ポークの強烈なキャラクターを優しく包み込んでいる。それでいて主役はあくまでもポーク。食欲をぐいぐいそそる強引さもちゃんとある。
どんな料理でも缶詰に置きかえて作ってしまうのが、僕の悪いクセ(水谷豊風に)。みなさんもぜひ、見知った料理を缶詰で再現してみてください。
缶詰情報
チューリップ(デンマーク)/ポークランチョンミート200g 350円前後
一部のスーパーやネットショッピングで購入可