梅雨時になると、思いがけず身体が冷えてしまう日があります。外回りが続いたり、通勤時間に雨に降られてしまったり……。そんな日には温かい料理を食べて、身体も心も温めたいもの。
今回ご紹介するのは、ツナ缶を使った和食料理。穏やかで地味深く、見た目も美しいのでちょっとしたおもてなしにも使えますよ!
ツナは食べるダシ
ツナ缶といえば、缶詰の中でもド定番アイテム。なのにその使われ方はワンパターンになりがちだ。取りあえずサラダに入れるとか、取りあえず酢のものに入れるとか、取りあえずマヨネーズと和えるとか……。
でも、ツナ缶の底力はそんなものじゃない。実はツナ缶は"食べるダシ"なのだ。何しろ原料はマグロかカツオだから、うまみのかたまりのようなもの。いろいろと手を加えなくてもすでに美味しいのであります。
ゆえに、今回の料理は味付けナシで勝負してみたい。それでは缶たんクッキング、スタート!
今回は宮城県のご当地ツナ缶・ミヤカン「まぐろフレーク油漬」をチョイスした。ツナ缶は98%くらいが静岡県で作られるのだけど、残り約2%は宮城県で作られる。それがミヤカン製なのであります。
このレトロなデザインを見ていただきたい。一周回って、逆にカッコいいと思いませんか。
このツナ缶の原料はビンナガマグロだ。身が白くてうまみも濃く、ツナ缶原料としては最高峰といわれている。そのビンナガを、ざっくりとほぐして使っている。
これくらいの粗ほぐしだと味が分かりやすいし、歯応えもある。こういうの好きですなァ。
ツナ缶でできる缶たん「ツナ餡かけ」レシピ
まずはツナを鍋にあける。大事なのは缶汁も残さず使うこと。
油漬のツナは、何となく油を捨ててから使いたくなるが、こうしてあけてみると油の量はそれほど多くないのが分かる。それに、この缶汁には油以外にも魚の水分が含まれているし(つまりうまみだ)、商品によっては野菜スープなどを加えているものもある。ちなみに今回のツナ缶も、大豆油と野菜スープの混合液だ。
ツナをきれいにあけたら、そこに大さじ1の水を加える。
中〜弱火に掛けて、全体がふつふつとしてきたら一旦火を止める。あらかじめ水溶き片栗粉を大さじ1作っておくのがうまい手であります。
水溶き片栗粉を加えて、再び火に掛ける。全体を手早くかき回して、好みの固さにとろみがついたら出来上がり。あまり加熱時間が長いとツナの色が悪くなるので、あくまでも手早くやりましょう。
おっと、メインの材料を忘れてました。冷蔵庫の残り野菜をひと口大にカットして、レンジでチンするとか、茹でるとかして、温野菜にしておいてくださいマセ。
かくのごとし。ブロッコリー、にんじん、玉ねぎを温野菜にして器に入れ、上からツナの餡をたっぷりと掛ければ缶成!
温まってとろみのついたツナは、まるで煮魚をほぐしたような優しい味。それが温野菜を包みこんで、野菜がいくらでも食べられそう。味付けがシンプルなので、野菜それぞれの味も分かりやすいです。
舌も心もリセットされるような、そんなほっこり料理でありますぞ。
缶詰情報
まぐろフレーク油漬/ミヤカン
価格:24缶で税込3,900円前後
ミヤカンのオンラインショップや通販サイトなどで購入可
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。