残業で夜遅くに帰宅して、そこから食事を作る元気なんてない…… でも、おいしいごはんが食べたい。そんなビジネスパーソンのために、日本缶詰協会認定の「缶詰博士」こと黒川勇人さんが、保存期間も長く、なんたって簡単に食べられる”缶詰”の世界を紹介する連載です。
さばみそカレー牛乳味/マルハニチロ北日本
さば缶ブームである。数年前に「健康にいい」「ダイエット効果も期待できる」とメディアで取り上げられ、以来ずーっとさば缶が売れ続けている。某メーカーに聞いてみたら「前年度比で120%、月によっては150%売れてます」という。おかげで工場はフル稼働だそうな。
今ブームになっているのは「さば水煮」という、塩だけで味付けしたさば缶だ。しかし本日は、ちょいと珍しいさば缶を紹介したい。「マルハニチロ北日本」で造っている「さばみそカレー牛乳味」であります。
「ん? 」とはてなマークが浮かんだ方、あなたは正しい。「さばみそ」まではよくあるが、そこに「カレー」が続き、さらに「牛乳味」とくる。結果「さばみそカレー牛乳味」である。モー、まるでわけが分からぬ。
とにもかくにも開缶!
とにもかくにも開缶。一見するとさばみそ煮のようだが、色合いはやや黄色寄り。つまりカレー色である。そこから立ち昇る匂いは確かにカレーっぽいが、エキゾチックなものではなく和の匂い。期待が高まる。
器にあけてみるとボリュームがすごい。大きな筒切りが3切れ、小さな筒切りが1切れ入っている。あらためてラベルを見ると「固形量140g」とあった。大人2人で食べてもちょうどいい量であります。
さっそく、ひと口いただくと……。むっ。このカレーは、アレだ。そば屋で出てくるカレーうどんのような、そういうお味だ。砂糖の甘さとみその塩辛さがしっかりあって、それを牛乳が柔らかくまとめている。かすかな渋みはカレーのスパイスでありましょう。
さばも脂が乗った立派な魚体だし、ややこしい商品名ではあるが原料・味付けともにバッチグーです(古いな)。
「さばみそカレー牛乳味ラーメン」にアレンジ!
で、かくのごとし。すなわち、さばみそカレー牛乳味ラーメンであります(途中で噛まずに言えたらエライ)。
どうしてラーメンにしたのか。実は青森には、津軽みそにカレーと牛乳を合わせて作る「みそカレー牛乳ラーメン」があるそうだ。それをヒントに開発されたのが、今回のさばみそカレー牛乳味の缶詰。製造元のマルハニチロ北日本・青森工場のY氏に教えてもらったエピソードであります。
ということで話は一回転し、このさば缶もネタ元であるラーメンにしてみたのだった。
作り方は缶たん。市販の塩ラーメンをいつも通りに作るのだが、付属のスープは半量だけ使うのが缶所。そのスープにさばみそカレー牛乳味を汁ごと加え、軽く煮れば缶成であります。みそカレー牛乳味は当然薄まるのだが、その魅力は失われていない。さばの出汁もスープにじわっとにじみ出てきて、きちんとしたラーメンが缶成するのだ。オススメですよ。
缶詰情報
マルハニチロ北日本 / さばみそカレー牛乳味
参考価格300円〜320円程度
青森市内のスーパー、道の駅かネットショップで購入可
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。