暗くて寒々しく、メニューも少なくおいしくない――。社員食堂に対してそんなイメージを持つ人も少なくないだろう。しかし、最近の社食はちょっと違う。福利厚生の一環として、きれいでメニューも充実した社食が増えているのだ。なかなか外からはのぞくことのできない、あの会社の社食をここでは紹介していこう。
読者の皆さんもご存知であろう「カルピス」。東京・恵比寿にある本社の2階部分の日当たりのいい場所に、カルピスの社食はある。カルピスカラーの白を基調にした明るいスペースで、実に開放的だ。127席あり、1日200人弱が利用するという。
メニューは「ライブ」「定食」「パスタ」「カレー」「和麺」「中華麺」の6種類で、すべて内容は日替わり。ちなみにライブというのは、目の前でつくり上げるという意味で、注文ごとに仕上げてくれるメニューだ。
取材時の内容は、ライブが「若鶏のジンジャーソース」(450円)、定食が「豚肉とインゲンの炒め」(400円)、パスタが「ツナと大根おろしのソース」(350円)、カレーが「茹で卵とオニオンフライのカレー」(320円)、和麺が「きつねそば・うどん」(280円)、中華麺が「台湾辛味ラーメン」(300円)と、なかなかバラエティー豊かなラインナップだ。その他、選べる小鉢やサラダバー、デザート、ドリンクがある。
毎日内容がかわって飽きないので、特に男性社員は毎日通っている人も少なくないそうだ。一番高いメニューでも450円。メインディッシュに小鉢などをプラスしても、ほとんどは500円以内のワンコインで済ませることができる。ランチは毎日のことなので、おいしさだけではなく、価格がおさえられていることも重要だ。
そして、各メニューのカロリー・塩分表記はもちろんのこと、ごはんは雑穀米が選べたり、ドレッシングは調整できるように自分でかけるなど、健康面にも配慮されているのも嬉しいポイントである。
毎月7日はカルピスデー
さらに、カルピスならではの楽しいイベントが、毎月7日の「カルピスデー」だ。この日にはなんと、カルピスを使ったメニューが3、4品登場。トンカツや海鮮あんかけ焼きそば、ビーフストロガノフ、ちらしずし、麻婆豆腐など、思いもよらないメニューにまでカルピスが使われている。同社では元々オフィシャルサイト内でカルピスを使ったメニューを紹介していることもあり、カルピス発売90周年の2009年7月7日を記念し、毎月7日に社食でのカルピスメニューの提供を開始したとのことだ。
カルピスを使ったメニューが毎月7日に登場。写真は「トンカツ カルピスソース」(450円)と「ベーコンとモッツァレラチーズのトマトソースパスタ」(350円)。「カルピス」はトマトソース系とも相性がよく、酸味が抑えらえて深みが増すとのこと。「フルーツポンチ」(100円)には、シロップとしてカルピスが使われている。フルーツの酸味がマイルドになり、シロップ部分にも果汁がしみだしておいしくなる |
取材時に試食した「トンカツ カルピスソース」(450円)は、ソースにカルピスを加えたもの。カルピスの酸味が感じられ、トンカツもあっさりいただける。「ベーコンとモッツァレラチーズのトマトソースパスタ」(350円)も、カルピスを加えることで味に深みが出て美味。和洋中問わずカルピスを使えるといい、ただただ驚くばかり。社員からもかなり好評で、昨年にはカルピス使用のレシピ集「カルピス社員のとっておきレシピ」(池田書店・定価809円)まで発売された。
同社も以前は、定食2種類とカレー程度とメニューが少なく、シンプルな食堂だったという。2004年に本社ビルを建て替えた際に食堂についての検討を行う委員会を立ち上げ、「社員が楽しく昼食をとり、リフレッシュできるように」と、改革を進めていまの形の社食になった。コミュニケーションの場にもなり、仕事の効率アップにも役立っているという。