コーラ。そうよ、あのスッキリ、爽やか炭酸飲料よ。だけど私にとってコーラは苦い思い出がつきまとう忌々しいものになってしまったわけよ。今日はコーラにまつわる失敗談についてお話しするわ。
ある日の日本へ向かうフライト。外国人クルーが多く乗務している中、日本人CAが乗務していることにホッとされた様子である日本人のお客様が色々と話しかけてくるわけ。笑顔で対応しているうちに話が盛り上がっちゃって。
そこまではいいのよ。
話に花を咲かせながらもちゃんとドリンクサービスは行っていたんだから。お客様1人ひとりに好みのドリンクを聞いて、おつまみと紙ナプキンを一緒にお渡ししていく。そんな中、話が盛り上がっていたお客様の隣の方が「コーラ」とリクエスト。「かしこまりました」と返事をしつつドリンクカートからコーラを手に取り、なぜか上下に振り始めてしまったのよ。そして開けた瞬間……
プシュッ! シュッバッーー!!
振られたコーラは、ビックリするような勢いで噴出。こっちは唖然。機内の気圧は地上より低い関係で、ちょっと振っただけでもすごい勢いで噴出するの。
自分がしでかしたことに気つき、そのお客様に「申し訳ございません」と平謝り。周りのお客様にも頭を下げたわ。言い訳にもならないのだけど、前のお客様がリクエストされたカクテルを手に取っていると勘違いして、振ってしまったわけ……。お客様とのお話に気が行っていて、後から考えると意味不明な行動を取ってしまったのね。その時のお客さま、本当にごめんなさいっ!
イラスト: 伊東ぢゅん子
著者プロフィール
pこ
今から、ん年前、外資系某エアラインに客室乗務員として入社し、5年間国際線勤務。月のうち2/3はフライトのために海外へ。ロングステイのフライトでは、観光やグルメ、ショッピングにいそしむ日々。ファーストフライトとラストフライトで、コックピットのジャンプシート(補助席)からみた着陸の光景は忘れられませぬ。