レッドのミニワンピースをまとった金髪美女「フライングレディー」をご存知だろうか? ヴァージン・アトランティック航空(以下、ヴァージン)の飛行機をよく見てみると、彼女が先頭にいる。そして9月1日には、「フライングレディー」にも負けない鮮やかな新制服が導入された。ヴァージンの過去3代の制服とともに、その歴史を振り返ってみよう。
初代からトレードカラーのレッドが登場
ヴァージンは1984年2月に設立、初代の制服は80年代に活躍した英国人デザイナーのアラベラ・ポーレンが担当した。写真がモノクロのため分かりにくいのだが、当時からヴァージンレッドが制服に使用されており、やや長めのスカートに2色デザインのベルトが印象的。また、大きくカッティングされた襟からも、80年代の流行を想起できる。
1991年からはエリザベス・エマニュエルによってデザインされた制服が登場する。同氏はダイアナ元皇太子妃のウェディングドレスもデザインするなど、女性らしく優雅で豪華な作品を世に出してきた。制服は気品を感じさせるシルエットで、ダブルボタンのスーツと同じ鮮やかなパンプスがポイントになっている。なお、制服の発表会はエマニュエル氏も出席し、ファッションショー形式の華やいだ雰囲気の中で行われた。
女性CA用にレッドの生地を1万4,500m使用
新しい世紀に向けて1999年に発表された3代目は、「ブリティッシュ・デザイン・オブ・ザ・イヤー」などの賞も受賞しているジョン・ロッシャがデザイン。なおこの時、CAのほかラウンジスタッフや地上職員、エンジニア、カーゴ、妊婦用スタッフなど、全てのスタッフの制服が一新された。
女性CAの制服は、ジャケットスーツにパープルとレッドのシルクスカートを合わせている。一方、男性CAの制服はチャコールグレーのスリーピーススーツに、パープル・レッド・チャコールグレーのネクタイをチョイス。全体的にクラシックなデザインに仕上げられている。
なお、女性CAの制服を製作するために、レッドの生地を1万4,500m、ボタンは4万2,000個使用されたという。また、シルバーを基調としたボタン、バッグ、バッジなどのアクセサリーには、Virgin Atlanticの頭文字である"VA"がデザインされている。
設立30年にふさわしい大胆さ
そしてこの9月1日には、設立30周年を記念して制服を一新。導入された制服は、2013年よりパートナーシップを提携しているヴィヴィアン・ウエストウッドがデザインした。また、3代目の時と同様に全スタッフのデザイン・合計22種類もの新制服が展開されている。
女性CAの制服は、90年代に発表した"Bettina"ジャケットにインスパイアされたエレガントな赤いジャケットを採用。シルエットをきれいに出すペンシルスカートの後ろには、ダーツをあしらうことでセクシーさも演出している。その上にはダブルのドレープコートを、足元には赤いクラシックなシューズ"アワーグラスヒール"を合わせている。一方、男性CAの制服には深みのあるワインレッドのウール素材を使用し、シャープなサビル・ロウスタイルのスリーピーススーツで仕上げられている。
CAや地上職員と違い、エンジニアやカーゴのスタッフにはなかなかお目にかかれないのだが、ヴァージンが拠点としているロンドン・ヒースロー空港を訪れる際は特に、周りのスタッフの姿にも注目していただきたい。
Virgin Atlantic Airways(ヴァージン アトランティック航空)
ヴァージン・グループを率いるリチャード・ブランソンが、ロンドン・ヒースロー空港を拠点として1984年に立ち上げた航空会社。日本路線(成田)は1989年に就航し、現在、毎日1便を運航しているが、2015年2月1日に終了となる。「世界を挑発する。」をキャッチコピーに掲げ、革新的なデザインやサービスを提供している。
10月にはボーイング社の最新機体787-9を受領。12月31日までのキャンペーンとしてプレミアム エコノミー往復航空券購入者を対象に、アッパークラスの付帯サービス「手荷物宅配サービス」と「京成スカイライナーまたはリムジンバス」無料乗車券をプレゼントしている。