主な仕様  [CPU] Intel Core 2 Duo P8600(2.4GHz)  [チップセット] Mobile Intel GM45 ExpressW  [メモリ] 2GB  [HDD] 320GB  [ディスプレイ] 16型ワイド(1,366×768ドット)  [サイズ/重量] 約W385×D276.5×H36.9~49.4mm/約3.4kg  [OS] Windows Vista Home Premium  [直販価格] 249,800円

富士通から3波デジタルチューナーを搭載したフラグシップAVノート「FMV-BIBLO NW/C90D」が発売された。水冷システムやタッチ操作が可能なサブディスプレイを搭載するなど、個性的な機能を多数備えているのが特徴。すでにニュースや総合的なレビュー、さらに中身のレポートは掲載したので、ここではその全貌を4回に分けて紹介していこう。

タッチ操作可能な4型ワイドのサブディスプレイ

キーボード上部に、タッチスクエアと呼ばれるサブディスプレイが搭載されている

「FMV-BIBLO NW/C90D」(以下、NW)のトップカバーを開けて、まずびっくりしたのがキーボード上部にある小さな液晶ディスプレイだ。予備知識がまったくない状態だったので、「なんでこんなところに?」と思いながら電源を入れると、Windows Vistaの起動ロゴが表示されたので、さらに驚いた。起動後は、いったんメインディスプレイと同じ壁紙が表示された後で「スタートモード」と呼ばれるランチャー画面が現れる。

サブディスプレイというと、Windows Vistaのサイドショーを思い浮かべる人も多いと思うが、NWの場合はマルチモニタとして認識されており方向性も機能もまったく異なる。たとえば、メインディスプレイからカーソルを下に動かせば、そのままシームレスにサブディスプレイに移動して表示される。あくまでも通常の外付けディスプレイと同等の扱いであり、サイドショーガジェットなどを表示することはできない。

富士通では、このサブディスプレイを「タッチスクエア」と呼んでおり、その名からも分かる通りタッチパネル式の液晶が採用されている。そのため、液晶面を直接指で押して操作できる。液晶の解像度は480×272ドットで、画面サイズは4型ワイド。ただし、Vistaの「画面の設定」などでは960×544ドットとして認識されている。スケーリング処理で実際の解像度に合わせているのだ。

Vistaの「画面の設定」ではマルチモニタとして認識されており、解像度は960×544ドットとなっている

タッチスクエアで利用できる5種類の表示モード

Vistaの「画面の設定」でメインディスプレイに設定すれば、このようにタッチスクエア上にデスクトップ全体を表示することもできる

タッチスクエアはマルチディスプレイとして認識されていると書いたが、通常は表示できる画面は限定されている。ただし、メインディスプレイからウインドウをドラッグすればタッチスクエア上で表示することができるし、「画面の設定」でメインディスプレイに設定すれば通常のデスクトップを表示することができるのもおもしろい。

タッチスクエアでは、「スタートモード」、「ミニリモコンモード」、「コンパクトテレビモード」、「コンパクトDVDモード」、「フォトビューアーモード」の5種類の表示モードを切り替えて使用できる。このほか、表示モードを切り替えるメニューや設定画面などを直接タッチスクエア上に表示可能。また、メインディスプレイと連動してスクリーンセーバーも表示される。

「スタートモード」は、簡易的なランチャーで、画面に表示されるアイコンをタッチすることで目的のアプリを起動したり、フォルダを開いたりすることができる。登録するアプリやフォルダはユーザーが自由に設定できる。今回試用した評価機の場合は、デフォルトの状態でInternet Explorerやテレビ視聴ソフト、番組表ソフト、マニュアルなどがあらかじめ登録されていた。なお、登録可能なアプリは最大で15個となっており、今のところそれ以上は追加できない。アプリのほか、Internet Explorerのブックマークの登録も可能となっている。

スタートモードの画面。表示されているアプリアイコンをタッチすると、そのアプリが起動する

スタートモードの設定画面。最大15個までのアプリやフォルダをユーザーが自由に登録できる

「ミニリモコンモード」は、テレビやDVDなどの操作パネルを表示できるモード。画面上のボタンを押すことで、再生/停止や一時停止、録画、早送り、巻き戻し、ボリューム調節、チャンネル調節、ミュートなどを操作できる。個人的には、テレビやDVDをフルスクリーンで鑑賞中に操作パネルをその前面に表示させるのはわずらわしいので、この機能はかなりありがたい。

ミニリモコンモードの画面。再生/停止や一時停止、録画、早送り、巻き戻し、ボリューム調節など、一通りの機能が備わっている

「コンパクトテレビ/DVDモード」は、テレビやDVDの映像そのものをタッチスクエア上に表示可能なモード。フルスクリーンで観ることができるため、画面が小さいといってもそれなりに楽しめる。テレビはフルセグの映像を表示しているので画質は非常に精細で美しい。メインディスプレイで別の作業をしている際に「ながら観」するには、ぴったりの機能だ。もっとも、ながら観する場合は視線を上下に移動させなければならないので、正直なところあまり使い勝手がいいとは感じなかったが、おまけの機能としては十分楽しめる。なお、5種類のモードのうち、「ミニリモコンモード」と「コンパクトテレビ/DVDモード」は、現在のところ対応アプリがプリインストールされている「DigitalTVbox」と「WinDVD」に限られているようで、Windows Media Playerなどほかのアプリで使用することはできなかった。

コンパクトテレビモードの画面。このように操作ボタンを表示することも、フルスクリーンで表示することもできる

コンパクトDVDモードの画面。テレビモードとの違いは、チャンネル調節ボタンの代わりに再生/停止、一時停止ボタンなどがあるところ

「フォトビューアーモード」は、静止画像を表示できるモード。iPhoneなどのように指をスライドさせることで写真を切り替えて表示できるのがおもしろい。気に入った画像があった場合は、「Main」ボタンをタッチするほか、指を上にスライドさせることで、メインディスプレイにすぐ表示することができる。スライドショー方式の再生も可能で、画像の切り替え間隔は5秒から1時間までの間で変更できる。また、縦画像の表示方法を設定することも可能だ。

フォトビューアーモードの画面。画面上を指でスライドさせることで画像を切り替えながら表示できる

フォトビューアーモードの設定画面。画像再生時の表示切り替え間隔や、縦画像の表示方法などを設定できる

もっと機能が広がってほしいタッチスクエア

発想としては非常にユニークなタッチスクエアだが、現在のところこの機能を活用できるアプリが少ないのが少々残念。たとえば、スタートモードは複数のランチャー画面が持てるようになると使い勝手もあがるはず。また、テレビやDVDを視聴中にメールの受信状況やRSSの更新状況をチェックできるような機能があるとおもしろいのでは、と思う。各モードの設定はあくまでもソフト的に行っているようなので、機能追加自体は不可能ではないはず。今後の動向に注目したい。

なお、今回はあくまでも試作段階の機材を試用して評価しており、製品版では記載内容と異なる場合も考えられるので留意してほしい。

次回は、ノートパソコンとしては珍しい3波デジタルチューナーを採用したテレビ機能を中心に本機の特徴を紹介していく。

■仕様
型番 FMV-BIBLO NW/C90D
CPU Intel Core 2 Duo P8600(2.4GHz)
チップセット Mobile Intel GM45 Express
メモリ 2GB
HDD 320GB
光学ドライブ Blu-rayディスク
グラフィックス Intel GMA 4500MHD(チップセット内蔵)
ディスプレイ 16型ワイド(1366×768ドット)、4型ワイド(480×272ドット)
オーディオ HDオーディオ、ステレオスピーカー
ネットワーク IEEE802.11b/g/n、10/100/1000BASE-T
インタフェース ミニD-Sub15ピン×1、USB2.0×4、IEEE1394、HDMI、eSATAコネクタ、アンテナ入力、B-CASカードスロット、ヘッドホン出力(ステレオミニジャック)×1、マイク入力(ミニジャック)×1
拡張スロット ExpressCardスロット×1、SD/メモリースティックカードスロット×1
サイズ/重量 約385(W)×276.5(D)×36.9~49.4(H)mm/約3.4kg
OS Windows Vista Home Premium
ソフトウェア Microsoft Office Personal 2007、DigitalTVbox、おすすめコンテンツメニュー、マイフォト、DVD MovieWriter for FUJITSUほか
付属品 ACアダプタ、マニュアル、USBレーザーマウス、B-CASカード、リモコンほか
直販価格 249,800円