エンタメライターのスナイパー小林が、テレビドラマでキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。
第3回は俳優の中川大志さんのことを書いていきます。現在放送中のドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~(TBS系 毎週火曜 22:00~)(以下、『花晴れ』)では主役の音(杉咲花)の婚約者であり、桃乃園学院の生徒会長を演じている中川さん。彼がドラマや映画で度々主演をしていることは重々承知しておりますが『花晴れ』については、あくまでも"出演枠"……ということで今回は多くの女性を虜にしている中川さんの魅力について。
ミタ長男が王子様へと成長して迎えに来た……という妄想
高身長で資産家の跡取り息子、優しくて、かっこよくて、音を真っ直ぐに愛して……と中川さん演じる馳天馬の魅力を挙げていったら朝日が昇る。私の周囲のアラフォー女性たちも天馬くんの虜で、放送を繰り返し見ている人も多い。役名通り、天へ向かっていく馬に乗った王子様が登場したのだ。
「僕がそばにいて欲しいのは世界でただひとり、音だけ」 「音は僕にとってずっと特別だよ。もし音のとなりに僕がいてもいいなら、もう音を離さない」
毎回放送ごとに放たれる天馬くんによるロマンティックな名言の数々。矢は見事に命中して、聞いていると感動シーンでもないのに泣きたくなってしまう。これは私のときめき不足が原因か……。
小学生から芸能界で仕事をしていた中川さんを世間に印象付けたのは、やはり『家政婦のミタ』(日本テレビ系・2011年)(以下『ミタ』)の阿須田翔だ。母親の死、父親の不貞。家庭が揺れるなかでなんとか長男として、立ち上がろうとする姿に泣かされた。そして『夜行観覧車』(TBS系・2013年)『南くんの恋人~my little lover』(フジテレビ系・2015年)と出演作を重ねる。もちろんテレビドラマだけではなく、映画出演も多々。
彼の『ミタ』からつながる長男の成長は妙齢の心を打った。仮に天馬くんの役を神楽木晴役の平野紫耀くんが演じたら、毎週火曜の放送終了後、SNSのホットワード第1位は『天馬くん』になるほどの人気になっただろうか? 他に二十歳前後の俳優を当て込んでみてもハマる存在がない。
子役、10代から活躍している俳優は時として視聴者の期待を裏切るような成長を遂げるパターンがある。でも中川さんは期待5倍増しの王子様となって帰ってきたからこそ惹かれるものがある。女は生き物の成長に弱いし、愛でたいのよ。
『ミタ』出演時12歳、現在19歳。週イチで女性視聴者のホルモンを突き続けている、長男に感謝状を贈りたい。
ふだんの振る舞いまで天馬くんかよ(泣)とつい魂が湧き立つ
以前、TBSで放送された『CDTVスペシャル!卒業ソング音楽祭2018』でのこと。神楽木役の平野さんが属するKing & Princeの応援に中川さんが白の制服姿で駆けつけていた。その時に
「King & Princeの歴史が始まる瞬間を見られて、感動しちゃいました」
とコメントしていたことがある。この時点でまだ放送は始まっていなかったけれど、あの振る舞いと言葉選びは間違いなくソツのない天馬くんだった。
興味が湧いてきたので公式ホームページに掲載されていたインタビューを読む。彼は共演者の平野さんを「天才だ」とリスペクト、自分らしく生きることを「自分の気持ちに目を背けないこと」と語っていた。詳しくはできればホームページで確認してほしいのだけど、私は読中に目が丸くなり、読後にため息をつくしかなかった。19歳になった長男は心まで清々しく成長していたのだ。なんだろう、この敗北感は……。私が彼のインタビューを担当したら緊張しすぎて前夜は眠れないかもしれない。
長身と肩幅から推察すると研音の竹野内豊、速水もこみちらの高身長シリーズなのかと思っていたけれど、彼はスターダストプロモーション所属。おお、山田孝之が先輩にいると思うと別の意味で心が震えるではないか。そして先週の『花晴れ』第6話の放送ではその高身長を生かしたキスシーンが話題を呼んだ。杉咲花さんとの身長差がまた新たな女性ホルモンを刺激したのだ。
そしてこれから物語は佳境へ向かう。『花より男子』(TBS系・2005年)の続編なのだから、もうラストは分かっている。きっと天馬くんは音に振られてしまう。でもそのときは日本の全女子が彼のことを受け止める準備は万端なので、安心して振られてきてください、天馬くん。
スナイパー小林
ライター。取材モノから脚本まで書くことなら何でも好きで、ついでに編集者。出版社2社(ぶんか社、講談社『TOKYO★1週間』)を経て現在はフリーランス。"ドラマヲタ"が高じてエンタメコラムを各所で更新しながら年間10冊くらい単行本も制作。静岡県浜松市出身。正々堂々の独身。