エンタメライターのスナイパー小林が、テレビドラマでキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。

第26回は俳優、モデルの清原翔さんについて。現在放送中の朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)に出演中の清原さん。今、まさに彼の波が来ているんだなーと感じさせるほど人気は上昇中。現役のモデルさんですから185センチと高身長で存在感=カッコ良さを惜しみなくアピール。でも対するように、彼のくしゃ笑顔はむちゃくちゃ可愛いじゃないですか。何かと未来のスターを約束された位置に立つ、清原さんについてスナイパー小林独自の視点を伝えていきます。

頰も花も真っ赤な、こってり道産子兄ちゃん

清原翔

『なつぞら』では主人公・奥原なつ(広瀬すず)とは血縁関係のない兄・柴田照男役として登場した清原さん。跡取りとして期待されている牛飼の仕事はいつも、なつに技術を越されてしまう不器用男。ただその性格ゆえの真っすぐさが功を奏したのか、惚れ込んだ娘・砂良(北乃きい)と結婚。

「砂良ちゃん……好きです。結婚してください!(中略)牛飼いの家に……酪農家の嫁に来てください。食べることだけは一生困らせない。おいしい人生を約束します! どうかオレと一緒に生きてください!」

澄んだ心の持ち主は、こんなときめくプロポーズを意中の彼女に伝えた。今はもうすぐ生まれる新しい命を心待ちしている日々だ。

私がこのドラマに出演する清原さんの何に驚いたかといえば、もっさり感である。彼については"2019年ブレイク俳優"として、このマイナビを始め、各所で名前を挙げた。メンノン専属モデルで、大手事務所所属なんてもう香ばしさしか感じられないじゃないか。

そんな期待を含めて、成長した照男兄ちゃんの放送日を楽しみにしていた。が、「あれ? 清原くん、どこ?」茶の間のシーンで彼を探した。よーく見ると、父親役の藤木直人さんの隣に、一言もしゃべらずに白飯をかきこんでいる男がいる。二度見ならぬ、三度見をしてやっと清原さんだと確認。浅黒く雪焼けした肌に、赤い鼻と頰。そこには完璧な道産子がいた。なんだかバターを落としたこってり味噌ラーメンのよう……。

よく芸能人が自分にスイッチを入れてオーラを消す、というけれどまさにその通り。人気モデルの清原翔はどこにもいなかった。照男兄ちゃんが笑っていた。

あっさりとアイドルの前に抜き出たトップモデル

清原さんは今年の春公開された映画『うちの執事が言うことには』に出演している。この作品で執事・衣更月蒼馬を演じた。昨今、執事役と俳優のブレイクや、人気上昇などの親和性は非常に高い。中でも多く執事を演じたのは、現在、芸能活動を控えていると言う水嶋ヒロだ。『メイちゃんの執事』(フジテレビ系・2009年)に映画『黒執事』(2014 年)の2作を経て、彼の人気がうなぎのぼりと化していったことを記憶している。そして『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系・2011年)では、嵐の櫻井翔が毒舌執事を演じて、嵐の人気をさらに後押し。『IQ246~華麗なる事件簿~』(TBS系・2016年)ではディーン・フジオカも演じたことがある。そして清原さんも……?

この映画の番宣として、主役の永瀬廉さんと神宮寺勇太さん(King & Prince)と3名で、ガールズアワードのランウェイを歩いている様子をテレビで見かけた。人気モデルとはいえ、今ぶっちぎりの人気を誇るキンプリとウォーキングするのはプレッシャーではないだろうか。知名度は圧倒的にふたりの方が上だ。

何度か同じようなシチュエーションを見かけたことがある。結果、アイドルに視線は集中、並ばされた俳優が公開処刑のようになっていた。今回も同じようなことが繰り返されるのだろうか。

が、映し出された結果は清原さんの圧勝だった。

アイドルふたりの人気をあっさりと超えて、存在感を醸し出している。高身長や、たくましい肩幅だけでは語ることのできない、いわゆる度胸の良さ。ジャンル違いは全く関係がない。清原さんが何かを期待させてくれる瞬間だった。番宣で出演した慣れないバラエティ番組では、他出演者に押されていたけれど、清原さんは自分が出るべき幕を始めから知っていたような気がするのだ。ちなみに誤解のないように伝えておくが、キンプリのふたりもむちゃくちゃかっこ良かった……。

と、彼について調べていくと公式インスタに会った。なんだか彼らしく、タグ付けもしないあっさりとした投稿が続いている。と、またしても二度見をしたのがアカウント名 “mrkiyotan”だ。

「ミスター、きよたん?」

そういうギャグも披露する人なんだと、迷子になりかける。これ"あっさり"?"こってり"? と悩んだけれど結果は出てくるわけがない。これは彼の可愛さとして置いていくことにしよう。

スナイパー小林

ライター。取材モノから脚本まで書くことなら何でも好きで、ついでに編集者。出版社2社(ぶんか社、講談社『TOKYO★1週間』)を経て現在はフリーランス。"ドラマヲタ"が高じてエンタメコラムを各所で更新しながら年間10冊くらい単行本も制作。静岡県浜松市出身。正々堂々の独身。