■スコティッシュフォールドの歴史
折れ曲がった耳の愛らしい風貌で抜群の人気を誇るスコティッシュフォールドは、スコットランドを原産国とする猫種です。スコティッシュフォールドの「フォールド(fold)」は、英語で「折りたたむ」を意味します。
1961年、スコットランドの農家で1匹の雌の白猫が誕生します。「スージー」と名付けられたその子猫は、突然変異で前方に折れ曲がった耳を持っていました。「スージー」は2年後、複数の子どもを産み、その中に同じく耳の折れた子猫が2匹含まれていました。
子猫の1匹を譲り受けた研究家のウィリアム&メアリー・ロス夫妻は繁殖計画を立案、ブリティッシュショートヘアと交配し、少しずつ折れ耳猫の数を増やしていきます。しかしイギリスでは当初、近親交配や奇形であることを理由に敬遠され、公認されることはありませんでした。
1971年、耳の折れた猫はアメリカの遺伝学者の手に渡ります。アメリカンショートヘアなどと慎重に交配され、やがて猫種として確立。1978年に公認を受けて以降、世界的な人気を得るに至ります。日本でも、もっとも人気の高い猫種のひとつとなっています。
折れ耳のスコティッシュフォールド同士を交配させると、100%の確率で折れ耳の猫が産まれますが、骨格や内部奇形などの先天性疾患、または死産をもたらすことが多いため、現在はアメリカンショートヘアやブリティッシュショートヘアとの交配が推奨されています。その場合、折れた耳の猫が生まれる確率は30%程度であり、その他の通常の耳の猫もスコティッシュフォールドと認められます。
また、祖先である「スージー」が長毛の遺伝子を持っていたため、アメリカでは長毛種も誕生し、公認されています。
■スコティッシュフォールドの特徴と性格
スコティッシュフォールドの特徴は、なんと言ってもその独特の耳にあります。前方に折りたたまれた小さめの耳は、とてもユーモラスでキュート。耳は生後2~3週間ほどで徐々に折れ始めます。ただし前述の通り、折れ耳の発現確率は約30%で、それ以外は通常の立ち耳の猫となります。
しばしば「フクロウのよう」と称される外見は、やや小柄で筋肉質。丸顔で垂れた頬、大きな丸い目、短い首や丸みを帯びたボディーなど、全体的な印象は「とにかく丸い猫」です。
性格は、のんびりと穏やか。人なつこく、愛情深い猫です。物事に動じず、とても楽観的で、行動もどこかお間抜けでユーモラス。鳴き声もほとんど出さないので、とても飼いやすい猫種です。
■飼うなら…
耳の手入れが難しそうに見えますが、定期的に内耳炎などのチェックをすれば、それほど神経質にならずとも大丈夫です。温和な性格で犬などとも仲良くでき、かつ健康的ですので、ペットとしては理想的な資質の持ち主といえます。
運動量も多くなく、特別な飼育環境は必要ないでしょう。食事も通常のものでOKですが、成猫は太りやすいので注意が必要です。まれにストレスや体調により、成長の途中で耳が立ってきてしまうこともあるようです。
■画像提供元
ペットショップ「COO&RIKU」