ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第38回は「#アップルパイ専門店」。

  • RINGO「焼きたてカスタードキャラメルナッツアップルパイ」(1個486円)

増えるアップルパイ専門店

アップルパイは、パイ生地に砂糖で煮詰めたリンゴを詰めて焼いたアメリカやイギリスの伝統菓子。現在は定番スイーツの一つとして、日本でも人気がある。Instagramでは「#アップルパイ」のタグの付いた投稿が70万件以上あるが、最近増えているのが「#アップルパイ専門店」のタグで、こちらの投稿は約1.3万件見つかる。

家庭で作られることも多いアップルパイだが、専門店のものはリンゴの品種にこだわっていたり、ナッツやチーズと組み合わせていたり、ひと味違う仕上がりだ。近年は地方発のアップルパイ専門店も登場し、じわりとブームになっている。

おばあちゃんの味「グラニースミス」

日本におけるアップルパイ専門店の先駆けともいえるのが、東京・神奈川に9店舗を展開している「グラニースミス アップルパイ&コーヒー」だ。Instagramで「#グラニースミス」のタグが付いた投稿は約3万件に上る。ちなみにグラニースミスはリンゴの品種名でもある。

  • グラニースミス アップルパイ&コーヒー「イングランド カスタード」(カット税別420円、ホール税別3200円※イートインはカット税別650円<バニラアイス・ソース付き>)

同店のアップルパイは“おばあちゃんの味”がコンセプトで、青森と長野の提携農家から直接仕入れているリンゴを大ぶりにカットしてたっぷり使っているのが特徴。定番のレギュラーメニュー4種のほか、店舗限定や季節限定メニューなど常時8種類ほどのアップルパイがそろう。

一番人気は、イギリスをイメージした「イングランド カスタード」。やさしい甘さの自家製カスタードクリームと柔らかく煮たリンゴを合わせており、SNSでも「リンゴの酸味とカスタードの甘さがおいしい」と好評だ。お酒やシナモンを使っていないので、子どもやお年寄りにも人気がある。

1号店の東京・三宿店が誕生したのは2012年のこと。2020年はCIAL横浜店と新宿店が新にオープンした。グラニースミスPR担当の寒河江麻恵さんは、アップルパイの専門店をオープンした理由について、「北米では日本でいう“おふくろの味”の代名詞とされるポピュラーなデザートですが、当時日本では気軽に買えるアップルパイだけの専門店があまりなく、老若男女が楽しめるアップルパイはもっと日本でも親しまれるチャンスがあると感じていたからです」と話す。

シルバニアファミリーとのコラボも「RINGO」

焼きたてカスタードアップルパイ専門店「RINGO」は、2016年に東京・池袋駅に第1号店をオープンしたのを皮切りに店舗を拡大中。今年も東京・豊洲の商業施設「ららぽーと豊洲3」に店をオープンしており、現在全国各地に14店舗がある。

  • RINGO「焼きたてカスタードアップルパイ」(1個399円、4個1512円)

真っ赤な紙袋や箱がかわいらしく、Instagramにもパッケージを一緒に撮った写真の投稿が多い。

今年は人気のおもちゃ「シルバニアファミリー」とのコラボレーション商品を期間限定で販売しており、12月14日からは第2弾として、くるみリスのキャラクター“ラルフくん”おすすめの「焼きたてカスタードキャラメルナッツアップルパイ」(本記事冒頭写真)を販売している(※なくなり次第終了)。カリカリとしたアーモンドと濃厚なキャラメルリンゴフィリングに、なめらかなカスタードが好相性。シルバニアファミリーとのコラボでは、箱やパイの包装紙にキャラクターがプリントされており、かわいさも倍増だ。

コラボレーション商品を除くと、商品は「焼きたてカスタードアップルパイ」1種類のみ。144層にも重なったパイ生地は、サクサク食感がやみつきに。たっぷりと入ったカスタードクリームがリンゴの酸味をやさしく包んでいる。

同店を運営するBAKE Inc.は「1ブランド1商品」のブランド・商品開発を基本としている。RINGOについても「1商品にこだわることで、『良い原材料を使うことができる』『手間暇をかけた商品を作ることができる』『店頭で焼き上げるので、最良のタイミングでお客様にお届けすることができる』と考えています」(同社広報担当 新井沙織さん)

生のリンゴをのせて焼く「信州アップルパイ研究所Q」

地方発のアップルパイ専門店もある。全国2位のリンゴ生産量を誇る長野県に2019年10月に誕生した「信州アップルパイ研究所Q」(長野県上田市)はアップルパイとリンゴジュースの専門店だ。リンゴのロゴが描かれた店頭ののれんがかわいらしく、SNSでは外観写真の投稿も多い。

  • 信州アップルパイ研究所Q「アップルパイ」(330円/約2インチ<5cm>~※品種によって価格は異なる)

一般的なアップルパイはリンゴを砂糖で煮たコンポートを詰めるが、同店は生のリンゴをパイ生地にのせて焼き上げているのが特徴。パイ生地でフタをせず、底生地のみというのもユニークだ。

メニューはリンゴの品種違いで常時3~4種類。品種は季節等で変わり、1年間で約25品種が使われる。地元の人が好むのは「秋映(あきばえ)」という品種。もともと甘みも酸味も強いが、焼くと甘みがさらに強くなり、生とは違う味わいを楽しめる。観光客がよく注文する品種は、シナノゴールドやシナノスイート。信州らしい名前に加えて、甘みが強いのが人気の理由のようだ。

「長野県は寒暖差が大きくリンゴの栽培に適した地域。加えて、上田市は降水量が少ないため、日照時間が長くおいしいリンゴができます。そんな信州のリンゴ、特に上田産のリンゴを知ってもらいたいと思い、リンゴの魅力を最大限に引き出せるアップルパイとアップルジュースの専門店をオープンしました」と同店を運営する豊上製菓 総合管理部の服部一登志さん。

おいしさを模索・追求し続ける「研究所」として、店名の最後に探求(クエスト)の頭文字であり、葉っぱ付きのリンゴを逆さまにした形にも似ている「Q」の文字を付けたという。

日本らしい味、鎌倉発祥の「あっぷるぱい考太郎」

今年6月に神奈川・鎌倉に新たに誕生したのが「あっぷるばい考太郎」。10月には東京・丸の内に丸ビル店もオープンした。洗練された日本独自のケーキのようなオリジナルアップルパイ作りを目指しているそうで、SNSの投稿を見ると「ちょうどいい甘さ」「くどくない」など日本人好みの上品な味わいが人気の様子だ。

  • あっぷるぱい考太郎「カスタードクリームのアップルパイ」(460円)

メニューは「カスタードクリームのアップルパイ」「アーモンドとシナモンのアップルパイ」「シェパーズパイ」の定番3種類に加えて、季節限定や入れ替え商品が4~5種類。一番人気は、甘く柔らかく煮詰めたりんごに カスタードクリームを合わせ、パイ生地で包んだ定番の「カスタードクリームのアップルパイ」だ。

同店を運営しているのはネット専門の最高級パン専門店ルセットなどを展開するイコールコンディション。アップルパイはパンと同様に焼いて完成させるため、ベーカリーを主業とする同社と親和性が高かったことがオープンのきっかけになったそう。

同店の伊藤裕也店長は「パイ生地やフィリング、リンゴ煮など全て手作りです。リンゴはその時期に美味しい品種を青森県や長野県から取り寄せてリンゴ煮にしています」と話す。

素朴な味わいにほっとするアップルパイ。専門店のこだわりの味で、自宅でのおやつタイムを充実させてみては。

※価格は特記がない限り税込