ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第11回は「#わらび餅ドリンク」。

  • "NEXTタピオカ"はコレ!?「#わらび餅ドリンク」

    「京はやしや ラゾーナ川崎店」の「和ピオカ」(600円~)

もちもち食感の"和のタピオカ"ドリンクを自作する人も

未だ衰えを見せないタピオカドリンクブーム。その人気に続けとばかりにさまざまなドリンクやスイーツが登場しているが、その中でも“NEXTタピオカ”の呼び声が高いのが「わらび餅ドリンク」だ。

Instagramで「#わらび餅ドリンク」のほか、関連する「#わらび餅ラテ」「#わらび餅ミルクティー」などのハッシュタグを検索すると、投稿数は約2500件に上る(2019年9月現在)。数字的なインパクトはまだそれほど大きくないが、日付を見てみると2019年の春ごろから急激に投稿数が伸びており、今後も増え続ける可能性は十分ありそうだ。

わらび餅ドリンクとは、その名の通りわらび餅が入ったカップ入りドリンクのこと。緑茶やほうじ茶などの日本茶を使用している商品が多いことや、タピオカと同じく太いストローで吸って味わうのが特徴的だ。Instagramへの投稿内容を見てみると、店舗の壁をバックにカップを手に持って撮った写真が多い。コメントの内容は「新食感」「もちもちで美味しい」とわらび餅の食感に対するもの、「タピオカの次はわらび餅」「個人的にはタピオカより好き! 」などタピオカと絡めたもの、「日本人ならこれ」「抹茶に合わせるならわらび餅」と和を意識したものなどが目立った。

また、コンビニで材料を購入し、「自作わらび餅ドリンク」を楽しんでいる投稿も少なくない。2019年8月に、セブン―イレブンのアイスカフェラテとわらび餅で自作したわらび餅ドリンクの写真をTwitterユーザーが投稿。2万件以上の「いいね!」がつき、真似して自作する人が続出しているようだ。

ブームの始まりは新宿から 人気和菓子店からも続々登場

ブームの火付け役となったのが、東京・新宿に今年3月オープンした日本茶ミルクティー専門店「OCHABA(オチャバ)」。静岡産の茶葉をミルクでじっくり煮込んだ看板メニュー「日本茶ロイヤルミルクティー」(緑茶、ほうじ茶、玄米茶の3種。各税別550円~)をはじめ、すべてのドリンクに黒蜜入りのわらび餅が入っている。タピオカドリンクの激戦区ともいえる新宿にオープンするとたちまち話題となり、連日行列を成す人気店になった。7月には大阪・なんばに2号店がオープンし、Instagramには2号店で撮った写真の投稿も増えている。

  • 「OCHABA」の「緑茶ロイヤルミルクティー」(税別580円)

その他、特に投稿が目立つ店は東京・巣鴨の「わらびもち もとこ」、愛知・豊橋の「夢菓房 童庵」、大阪・堺の「本煉果子 炊蓮 isshin」、福岡・小倉の「菓匠きくたろう」など。いずれの店も今年5~7月の間にわらび餅ドリンクを新メニューとして発売している。特徴的なのは、これら4つの店はいずれもわらび餅の専門店や和菓子屋として地元で愛されてきた店であるということ。もともとその店の商品が好きだったというファンはもちろん、「和菓子の専門店が作っているわらび餅ドリンク」という期待値の高さから商品を購入する人が多いようだ。

京都の老舗茶屋が手掛ける「和ピオカ」

わらび餅ドリンクブームの波を、老舗も敏感にキャッチしていた。1753年創業、日本茶の販売や日本茶カフェの運営を行う老舗「京はやしや」は、今年7月から神奈川・川崎にあるラゾーナ川崎店にて「和ピオカ」を発売。同社で扱う豊富な茶葉の中から特に喉越しの良いものを厳選し、黒蜜で甘みをつけて角切りにしたわらび餅と合わせたドリンクだ。

  • 「京はやしや ラゾーナ川崎店」の和ピオカ「抹茶ミルク」(写真左、650円)、「ルイボスグリーンティー」(写真右、630円)

「今タピオカがブームですが、実はわらび餅も飲んでもおいしいということを知っていただきたいというところから、わらび餅の新しい食べ方の提案として『飲めるわらび餅』を作りました」と話すのは、京はやしや 東京オフィス&ファクトリー 販売促進 鈴木杏奈さん。ドリンクとして飲みやすく、かつ独特のもちもち感を維持するため、わらび餅の練り具合を調整してつるんとした喉越しに仕上げたという。購入客からは「時間が経っても(わらび餅が)ふやけないので最後までおいしい」といった声が届いているそうだ。

現在のバリエーションは抹茶グリーンティー、白桃ほうじ茶、ルイボスグリーンティーに加え、それぞれのお茶を使ったミルクティーの計6種。9月からは東京・晴海の直売所でも平日限定で販売を開始している。今後は「違う味のわらび餅を使ったドリンクも予定しています」(鈴木さん)とのことで、ますます楽しみ方が広がりそうだ。

わらび餅も抹茶入り! インバウンドにも人気の濃茶ドリンク

東京・浅草に今年3月にオープンした「雷一茶(かみなりいっさ) お抹茶体験店」は京都・宇治産の濃茶(抹茶の一種)を使用した濃茶スイーツ専門店。5月から抹茶わらび餅を使った「お濃茶わらびラテ」の提供を開始している。抹茶わらび餅は、京都の和菓子屋が同店のために専属で作ったものを使用。そこに抹茶の中でも貴重な宇治産一番茶を使用したお茶、さらに牛乳を注げば完成だ。

  • 「雷一茶 お抹茶体験店」の「お濃茶わらびラテ」(780円)。細かくクラッシュした抹茶わらび餅(写真右)が入っている

商品が生まれた経緯について、店長の木村政治さんは「お客様により親しまれるオリジナルメニューをと考えたときに、日本らしい文化を大事にしたドリンクを作りたいと思ったのがきっかけです」と話す。食材も日本らしさにこだわり、和のイメージと離れたタピオカではなくわらび餅を選んだそうだ。

抹茶わらび餅は細かくクラッシュしてあるが、しっかりとした弾力がある。噛むほどに抹茶本来の甘みが感じられ、すっきりとしていて渋みやえぐみのない濃茶との相性も抜群だ。1階はテイクアウトのみで初めからドリンクに甘みが付いているが、2階のカフェスペースではガムシロップを別添にして甘さを調整しながら楽しめるという。

「『わらび餅の弾力がいい』『抹茶が苦手でも飲める』という声をいただいています。海外のお客様も満足して帰って行かれる方が多いです」と木村さん。わらびラテをきっかけに、同店のコンセプトである「良質な抹茶は苦くない」を感じてほしいと語った。

日本茶のやさしい味わいと、もちもちとしたわらび餅の食感が楽しめるわらび餅ドリンク。果たして第二のタピオカとしてブームは来るか? 今後の動向に注目だ。

※表記のないものはすべて税込