「メールで依頼をしたのに、期限までに対応してもらえない」こうした悩みをよく聞きます。必要な書類が提出されない、アンケートをとっても回答がないなど、社内での依頼事項に対して特にその傾向が強い印象も受けます。取引先からの依頼と違い、社内ではもしかしたら油断や甘えが生じやすいのでしょうか。「厳しく言われていないから大丈夫だろう」「本当は期限までに余裕があるはず」などと勝手な解釈をしているのかもしれませんね。
必要な書類や回答が揃わなければ、自身の業務が停滞したり、事後の対応に遅れが生じたりしてしまいます。催促をするにも気が引けることもありますし、なにより対象となる人が多くなればそれだけ時間と労力がかかります。互いに顔を合わせられる空間にいればさりげなく確認することもできますが、テレワークの普及によってそれが難しいということも。催促することなく期限までの対応が得られたら、どれほどスムーズに業務が進むことか。それを実現するためのコミュニケーションについて考えてみましょう。
強い言葉よりも大切なこと
まずは、メールを送った相手と依頼者とが、期限に対して共通の認識を持つことが大切です。もし相手が「本当は期限までに余裕があるはず」と誤った解釈をしている可能性があるならば、その誤解は解消すべき。それには、期限がそのタイミングである理由を伝えることが効果的です。
アンケートの結果について、9/20(火)の企画会議で検討いたします。
そのため、9/16(金)の15時までにご回答ください。
過去に期限を守られなかった経験のある人ほど、期限に対して過敏になりがちです。メールで依頼をする際、期限を赤文字にして強調したり、「期限厳守!」のような強い言葉を使用したり。見た目や言葉のインパクトの強さが、必ずしも相手の行動に結びつくとは限りません。むしろ相手が不快感を覚えることさえも。何も相手は、依頼者の業務の進行を阻害したいわけではありません。期限に対する理由や背景が伝われば、きっと相手も協力的に対応してくれるのではないでしょうか。
予想できることは事前に対処
期限が守られない原因としては、ただ相手が忘れてしまっただけということも十分考えられます。忘れられた記憶を呼び起こすには、リマインドメールを送ることが最も単純で効果的な手段。「リマインドメールを送るなんて面倒」と思われるかもしれませんね。しかし、不思議と「期限までに対応してもらえない」と悩む人の多くから「期限を守らない人がいることは予想できていた」という声も聞かれます。相手を期待して待った結果、対応が得られなかったときのいら立ち、その後、催促をする労力などを考えたら、一通のリマインドメールを送る方が、よほど労力や精神的な負担は軽いはずです。
期限が守られない可能性をあらかじめ予想できるのであれば、事前にリマインドメールを用意しておくのも一つの方法です。依頼のメールを書くと同時にリマインドメールを作成し、下書きに保存。あるいは予約送信機能を持ったメールソフトであれば、その時点で送信予約をしても良いでしょう。それによって自身の手間は最小限に、適切なタイミングでリマインドメールを送ることができます。何より、リマインドメールを送ることは、期限を大切にしていると相手に示すことにもつながるのです。
催促のタイミングが未来を左右する
残念ながら、こうした手を尽くしても期限までの対応が得られないこともあります。ここで「やっぱりだめか……」と諦めてはいけません。相手の心情を察すると催促するのは気が引けるかもしれませんが、それでも、期限を越えたら速やかに次の一手を打つことが大切です。仮に期限の翌日、翌々日のように催促までの間が空いてしまえば、「本当は期限までに余裕があるはず」という誤った解釈がより深く根付くことになってしまいます。今回は望む対応が得られなかったとしても、将来的に相手と期限に対する共通の認識を生むことができるのか。催促のタイミングこそが、その行方を左右します。
期限を越えることが常態化してしまえば、円滑な業務の進行は望めません。とはいえ、一方的に都合を押し付けるようなことになれば、互いの信頼関係が傷ついてしまうこともあります。仕事に期限はつきものですが、期限だけにとらわれてはコミュニケーションがうまくいかないことも。時には、期限に対する理由や背景を伝えることが、相手を尊重することにもつながります。ただ用件を伝えるだけではなく、互いの認識を共にすることが、真のコミュニケーションと言えるのではないでしょうか。