あなたは、受け取ったメールがあいまいで困ったことはありませんか。メールがあいまいだと次のようなことが発生し、仕事がスムーズに進まなくなります。

・欲しかった回答とは異なる内容が返ってくる
・なかなか返信がもらえない
・繰り返し質問がくる

あいまいなメールになってしまう原因のひとつは、自分がわかっている内容を「相手もわかっている」と思って、情報が足りなくなることです。これは意外と「無意識に」相手もわかっていると思っていることが多いので、自分でも気づきにくいという特徴があります。

どこがあいまい?

下記は、打ち合わせに関する日程を記載したメールの文章です。どこが「あいまい」だと思いますか。

〇〇に関する打ち合わせは、明後日13時から、弊社3階B会議室で実施します。

上記のメールが「あいまいな点」は2つあります。

1.「明後日」というのは、具体的にいつなのか
2.13時から何時までを予定しておけばよいのか

「あいまいなところがある」という前提で文章を読むと、比較的見つけやすいかもしれませんが、普段私たちは「あいまいなところがあるという目線で文章を読まない」うえ、「無意識に相手もわかっている」と思っているため、文章があいまいになりやすくなります。

あいまいな記載によるデメリット

さきほどの例をもとに、あいまいな文章によるデメリットを考えてみましょう。

「明後日」というのは、具体的にいつなのか

自分がメールを書いた日と相手がメールを読む日が同じとは限りません。メールを読む日が1日ずれれば当然、「明後日」も1日ずれますね。

・メールを送った日:5月19日(火)17:30頃
・メールを読んだ日:5月20日(水)11:00頃

相手がメールを読んだとき、わざわざ送信日時を見て、「昨日[5月19日(火)]にメールを書いているから、『明後日』は[21日(木)]のこと」と判断するでしょうか。

もちろん、そういった判断をする方もいるかもしれません。しかし、メール本文の内容だけで判断する場合もあります。特に急いでメールを読んでいるときは、メールを読んでいる今、その瞬間を基準に、「明後日っていつだろう?」とカレンダーを見てしまうのではないでしょうか。そうすると、「明後日」は、「22日(金)」だと判断されてしまいます。

こういった誤解をなくすために、「明後日」とは、いつのことか、具体的な日程(年月日+曜日)で記載すると、お互いの誤解を防ぐことができます。

それでは、もうひとつ。下記のあいまいさは、意外と見過ごされがちな内容です。

13時から、何時までを予定しておけばよいのか

打ち合わせは、開始時刻も大切ですが、終了時刻も大切です。自分は「2時間ぐらいかかりそうだな」と思っていても、相手は「1時間ぐらいで終わるかな」と思っているかもしれません。

終わりの時間がわからないと、会議後の予定が立てにくくなります。会議後に予定を入れたいと思ったら、相手の方には「何時までの予定ですか」という確認のメールを送る手間が発生します。具体的な終了時間も記載することで、情報不足による相手の手間を減らすことができます。

基本は「相手の立場に立つ」こと

このように、相手と同じ前提で話ができていないと、すれ違いが発生します。ビジネスマンは、誰もが多くのタスクと向き合い、同時並行で仕事を進めています。打ち合わせの調整ひとつでも、似たようなタスクがあれば、どのタスクの日程調整なのか、判断がつきにくいこともあります。

「知っているはず」「わかっているはず」という「思い込み」を排除し、相手の立場に立ったメールを書きましょう。そのためには、相手が「メールに書いた内容だけで、本当に動けるか?」を意識しながら、読み返してみることが大切です。

いかがでしたか。ほんとちょっとの気遣いで、メールの内容はどんどんわかりやすくなります。「必要な情報が足りない」ことは、相手のストレスにつながります。

・欲しかった回答とは異なる内容が返ってくる
・なかなか返信がもらえない
・繰り返し質問がくる

こんなときは、まず自分のメールを見返してみることから始めてみてくださいね。

茨木ち江

一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師
大手企業様や官公庁様等で、WindowsやWord、Excel、Access、VB等の集合研修講師経験を経て、平成11年10月に株式会社グッドフィールドアンドカンパニー入社。外資系企業様で、3年間常駐ヘルプデスクとして勤務後、業務推進部に異動し、業務フローやフォーマットの作成など、社内文書の定型化と業務の可視化に貢献。実施していなかった中途社員研修を体系化し、必要なテキストや資料の整備と講師を担当。現在は中途社員研修を後輩に引き継ぎ、“わかりやすい文章表現"“わかりやすい説明"をモットーに、社員だけでなくお客様にも「ビジネスメールコミュニケーション講座」や「【Excel】ミスや情報漏洩を防ぐフォーマットを作成するコツ講座」などの研修を行いながら、新しい研修サービスの企画、実施に取り組んでいる。お客様から頂いた「説明時の機転の利き方がさすが」という言葉が宝物。

日本ビジネスメール協会

日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、これまでにメールに関する書籍を中心に28冊出版(内2冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,000回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信してきた。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行っており、本調査は、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。ビジネスメールに関する研修(講師派遣)や講演(公開講座)を実施。2時間でビジネスメールを学ぶ、「ビジネスメールコミュニケーション講座」は東京を中心に毎月開催。研修の問い合わせも受け付け中。