何度もメールのやりとりが続くとき、毎回「いつもお世話になっております」と書いた方がいいのか、毎回書くと「しつこい」と思われてしまうのではないか? と不安に感じる方が多いようです。今回はこのテーマについて説明してみましょう。
別の言葉に言い換えるときは?
メールの基本型として、コミュニケーションを取るうえで挨拶は必要です。ただ、立て続けにやりとりしていて毎回「お世話になっております」という表現だと違和感を覚えることもあるでしょう。だからといって挨拶を省略してしまうと、なんだか失礼なような、さびしいような気がするかもしれません。
その場合は別の言葉に言い換えることで、より親しみのあるコミュニケーションにつなげられます。例えば、次のような言葉で言い換えることができます。
・ご返信ありがとうございます
相手から返信を受け取った後に、返信するときに使うことができます。
・ご確認ありがとうございます
相手にお願いしていたことについて、回答をいただいたときなどに使うことができます。
・たびたび失礼いたします
・立て続けのメールにて失礼いたします
相手からの返信を受け取る前に、自分から続けてメールを送る必要が出てきたときなどに使うことができます。
このように「お世話になっております」の代わりに、いただいたメールに関連した言葉を加えることで、違和感のないスマートなやりとりができるようになります。ただ、これらの言葉も繰り返されると、やはり「しつこい」という印象になるため、1~2回にとどめておくのがよいでしょう。
相手が失礼だと感じなければ、挨拶を簡略にすることができます
同じ日に何度もメールのやりとりをしていて、「相手の方とも信頼関係は築けている」「共通の理解がある」というようなときは、挨拶を簡略にすることができます。口頭での挨拶を考えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。
例えば、どこかのセミナー会場でお客様とお会いしたとしましょう。朝、セミナー開始前に会ったときは「お世話になっております」と挨拶をすると思います。お昼休みに昼食を食べに行こうとしたとき、同じお客様とエレベーター前でお会いしたら、あなたはどのように挨拶をしますか。
いろいろなパターンがあると思いますが「お世話になっております」だと、ちょっと違和感を覚えませんか。場合によっては「あれ? 朝、挨拶したのに覚えてないのかな?」という印象を与え、逆に失礼になってしまう可能性もあります。こういった場合、私の場合は笑顔で軽く会釈をしたり、「お昼はどちらに行かれるのですか?」と声をおかけしたりすると思います。
メールの場合も同じで、同じ日に何度もご連絡する場合は最初のメール以外は挨拶を変えたり、簡略にしたりすることで「しつこい」という印象を回避でき、よりスマートなコミュニケーションになります。
いかがでしたか。ケースに応じて、いくつか言葉のパターンを用意してくことで、メールでのコミュニケーションがよりスムーズになります。ぜひ、実践してみてください。
茨木ち江
一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師
大手企業様や官公庁様等で、WindowsやWord、Excel、Access、VB等の集合研修講師経験を経て、平成11年10月に株式会社グッドフィールドアンドカンパニー入社。外資系企業様で、3年間常駐ヘルプデスクとして勤務後、業務推進部に異動し、業務フローやフォーマットの作成など、社内文書の定型化と業務の可視化に貢献。実施していなかった中途社員研修を体系化し、必要なテキストや資料の整備と講師を担当。現在は中途社員研修を後輩に引き継ぎ、“わかりやすい文章表現"“わかりやすい説明"をモットーに、社員だけでなくお客様にも「ビジネスメールコミュニケーション講座」や「【Excel】ミスや情報漏洩を防ぐフォーマットを作成するコツ講座」などの研修を行いながら、新しい研修サービスの企画、実施に取り組んでいる。お客様から頂いた「説明時の機転の利き方がさすが」という言葉が宝物。
日本ビジネスメール協会
日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、これまでにメールに関する書籍を中心に28冊出版(内2冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,000回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信してきた。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行っており、本調査は、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。ビジネスメールに関する研修(講師派遣)や講演(公開講座)を実施。2時間でビジネスメールを学ぶ、「ビジネスメールコミュニケーション講座」は東京を中心に毎月開催。研修の問い合わせも受け付け中。