1通当たりのメールにかかる時間を1分でも減らしたい。誰もがそう思っているでしょう。なのに「このメール、返信にちょっと時間がかかりそうだな」と読んだだけで、少し構えてしまうメールがありますよね。こうしたメールに「効率も印象もよく」対応できる、基本的な方法をご紹介します。

こみいった案件・ややこしい案件メール

先方の希望や、条件次第で回答が変わるような返信が面倒ですね。誤解のなく伝わるよう、不快を与えないように配慮しながら、様々なパターンを想定して書いている間に、文章が長くなりがち。そして読み直すと、くどく感じ、また書き直して、誤解のないように見直して……とループにはまり、完成に時間がかかります。書いている間の集中力と気遣いから、メール一本にとても疲れてしまうことでしょう。

あっという間に時間が過ぎている

「このメールに、今から返信をしてください」と実際のメールが届き、それに返信をするビジネスメールセミナーがあるのですが、20分を経過しても一生懸命書いている方は多く「もう20分たったの?」「まだ見直す時間が欲しい」とおっしゃいます。

書き始めると集中しているからこそ、30分くらいあっという間に過ぎてしまっている恐れは十分にあります。一度、メールを書く時間を計ってみましょう。

電話を有効に使う

時間効率性からみた1番良い対応方法は、電話をかけること。電話なら声のトーン、会話の流れで、先方の意向を確認したり、汲んだりしながら進めていくことができるため、メールより断然早くすみます。「あーかも、こーかも」と思いめぐらせていたことが杞憂に終わるケースも多いでしょう。30分集中して出来上がった渾身の1通も、電話なら10分程度で済んでしまいます。メールの方が好ましいケースでなければ、電話が有効です。

また普段メールをメインでやりとりしているからこそ「わざわざ電話をくれた」「大事な場面では電話をくれる人だ」「この件は重要だと思ってくれている」と喜ばれる場合もあります。

メールで連絡が来たからと言って、絶対メールで返信する必要があるとは限りません。時短の視点からメール以外のツールを使うのは、業務効率化を考えるなら、当然の選択肢です。

電話の後には、確認メールを

電話終了後は、電話をかけるきっかけになったメールに対して、返信のメールを書きましょう。これは、相手から非常に喜ばれます。こみいった質問に対して、確定事項がまとまった返信が来るからです。

「先ほどはお電話ありがとうございました。お電話で確定した事項については以下の通りです。A案件については、〇〇〇と決定。ただし、ご依頼の時期が1カ月以上先になった場合は△△△とする。以上の内容で承りました」と決定した事項について書いて返信します。

もちろん自分自身が、メールで返信をしないと記録に残らないことが不安、という方は、これで解決できます。また、電話で解決済みとはいえ、質問のメールが手元に置いたままになるのは気持ち悪いという方も、これで「本メールの対応終了」とすることができるでしょう。

最後のメールは相手への配慮の気持ちからも

電話の後、このまとめメールを送っておけば、後日「あの件結局、どうなったっけ?」といった記憶違いや、コミュニケーションのずれによる行き違いやミスを減らすことにつながりますし、双方の記録に残せます。お互いに安心して仕事を進められるための、ひと手間です。込み入った案件メールも対応次第では、信頼関係を築く大きなチャンスになります。

長野ゆか

長野ゆか

一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師。元大阪府八尾市職員。情報システム部門に在籍し、市役所内部や自治体間、教育機関、大手IT企業のSEや営業の担当者等とのやり取りやりとりを行う中で、電子メールを主なツールとして利用。また市民からのメールに対して、返信を行う総合窓口業務経験をもち、これまでの電子メールの送受信実績は、10万通を超える。整理収納アドバイザー1級認定講師(全国24名)、情報資産管理指導者等の資格をもち、オフィスの片付け・コンサルティング等を実施しており、オフィスファイリングシステムの構築を基本とし、データや電子メールの効率的な管理・共有・分類も得意分野としている。自治体、青年会議所、税理士事務所から一般の状況企業まで、ビジネスメール・ビジネスマナー・オフィスの整理収納・ファイリングセミナーなど、多数の企業研修を実施。一般公開講座としては、毎月大阪・奈良にてビジネスメールコミュニケーション講座を開催。著書に『この1冊で安心!!新人公務員のメールの書き方』(学陽書房)がある。

日本ビジネスメール協会

日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、これまでにメールに関する書籍を中心に27冊出版(内2冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,000回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信してきた。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行っており、本調査は、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。ビジネスメールに関する研修(講師派遣)や講演(公開講座)を実施。2時間でビジネスメールを学ぶ、「ビジネスメールコミュニケーション講座」は東京を中心に毎月開催。研修の問い合わせも受け付け中。