本を読もう、と思い立ったその日が記念日。『今日はナニヨム?』は、あるキーワードをもとに関連本を紹介していくコーナーです。知っている人も、見慣れた風景も、本で読んでみるといつもと違って見えるかも。──そんな本との出会いを作れたらと思います。

3月8日は誰もが知っている国民的有名犬、忠犬ハチ公の命日です。飼い主が突然亡くなった後も、主人の朝出かける時間・夕方の帰宅時間に合わせて渋谷駅に通い、戻らぬ人を待ち続けたという話はあまりに有名ですが、11年という短い生涯のうち、飼い主と共にいられたのはほんの1年ちょっと。その上、駅前に行けばいつも駅員に邪険に扱われ、子供たちにはいじめられ続け、新聞に載って有名になったらなったで突然アイドルに祭り上げられるという波乱の人(犬)生。主人を思う忠実さより、人間の都合で運命を振り回されてしまった生涯に同情したくなります。

先週、ハチの死因が末期のガンであった可能性があると発表されたことがニュースになりました。ハチの亡骸は剥製にされ国立科学博物館に所蔵されましたが、臓器もまた標本として東京大学農学部に保管されており、それをMRIで調べたのだとか。ハチにとっては「だから何?」かもしれませんが、死後70年以上が経ち、街の面影が全く消えてしまっても、人々に忘れられることのない希有な存在だということは間違いありませんね。

『ハチ公物語 新装版』

出版:小学館
価格:1,155円

[内容紹介]
先生は、きっとかならず帰ってくる。天国へ行ってしまった飼い主を、いつまでも駅で待ち続ける犬のハチ。愛と友情と信頼の美しさについて教えてくれる、多くの人に読みつがれてきた感動のロングセラー。(「BOOK」データベースより引用)

『ハチ公物語 新装版』新藤兼人 著/ 岩淵慶造 イラスト

『きな子日和』

出版:双葉社
価格:1,470円

[内容紹介]
警察犬試験6年連続不合格、そのズッコケキャラが人気を博し、ついに8月14日より映画「きな子」全国公開となった見習い警察犬・きな子。担当見習い訓練士・川西智紗さんは念願だった警察犬訓練士としての独立を果たした。ひとりと一匹が夢に向かってひた走ってきた6年間を豊富な写真と文章でつづるフォトエッセイ。 (双葉社HPより引用)

『きな子日和』丸亀警察犬訓練所 著

『南総里見八犬伝』(ビギナーズ・クラシックス/ 角川ソフィア文庫)

出版:角川学芸出版
価格:820円

[内容紹介]
仁義礼智忠信孝悌の玉を持つ八犬士の活躍を描く、江戸伝奇小説の傑作! 不思議な玉と痣を持って生まれた八人の男たちは、やがて同じ境遇の義兄弟の存在を知る。八犬士が出会うまでの前半と母の国を守るために戦う後半からなる。完結までに28年、98巻106冊の長編をまるごと読む。 (角川学芸出版HPより引用)

『南総里見八犬伝』曲亭馬琴 著/ 石川博 編

『シブヤ遺産』

出版:バジリコ
価格:1,680円

[内容紹介]
普段はなにげなく通過したり、遊んだりしているシブヤだが、目を凝らして見ると、歴史の記憶が町のあちこちに残り、地層のように積み重なっている。ハチ公、109、渋谷川、急な坂、代々木体育館、古代住居跡、ライブの音、初デート、ギャル、苔生した階段、猫の家族、線路際の畑、お豆腐屋さん……そして道行くあなたまで。それらは、シブヤを拠点にする者にとっては、「世界遺産」にも匹敵する大切なもの。そんな「シブヤ遺産」を、JR渋谷駅を中心に、およそ1キロ圏内にわたって、徹底的に歩いて、探し観察してみた。2010年の今も歴史の通過点ではあるけれど、時間と空間のひとつの定点観察として、「シブヤ遺産」を記録する。(バジリコHPより引用)

『シブヤ遺産』村松伸・東京大学生産技術研究所村松研究室 著