本を読もう、と思い立ったその日が記念日。『今日はナニヨム?』は、あるキーワードをもとに関連本を紹介していくコーナーです。文学界にまつわる出来事だったり、いまメディアを騒がせている出来事だったり、本を読むきっかけはなんでもアリ。いままで触れたことのない本たち──そんな本との出会いを作れたらと思います。

3月5日は、米マサチューセッツ工科大学の名誉教授・ジョセフ・ワイゼンバウム氏の命日。人間と会話をする「ELIZA」というプログラムの生みの親として知られています。いえ、より正確には"会話をしているような言葉を返す"と言った方がいいのかもしれません。ELIZAは、心理セラピストとして患者と対談する自然言語理解プログラムで、患者の回答を返答の構築に使っていることが特徴です。構文解析を行って抜き出したキーワードを決まったパターンの文章にあてはめて機械的に返事を返しているにすぎず、患者の心情や会話の内容・流れを理解しているわけではありません。しかしこれを真に受ける人が数多くいて、氏はショックを受けたそうです。

なんか似たような話を最近聞いたような……そう、Twitterでフォローしたアカウントが実は『ボット』だと気付かずに毎日会話をしていた、という話を。逆に、人間にはできないセンスの文章を構築させてボットの発言そのものを楽しむ人たちもいます。ELIZAのコンセプトが違った方向に育てられているワケですね。ワイゼンバウム教授は後に人工知能の発展に批判的な立場を取ったそうですが、ネットの海をゆるく漂う今時の人工無脳たちを見たら、一体なんと言うのでしょう……。

『Twitterボット プログラミングテクニック』

出版:C&R研究所
価格:2,100円

[内容紹介]
本書では、プログラミング言語のPHPを使って、Twitterボットの作り方を解説します。ボットを知らない読者でも理解しやすいようにボットの基礎から解説しています。また、単純につぶやくだけの簡単な機能から、リプライを返す、ボットに感情を持たせる、文章を自動生成する、Webと連携するなど、高度なテクニックまで、詳しく解説します。本書で作成するボットは、それらの機能を順に実装する形で解説しています。(C&R研究所HPより引用)


『Twitterボット プログラミングテクニック』蒲生睦男 著


『入門 自然言語処理』

出版:オライリー・ジャパン
価格:3,990円

[内容紹介]
自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)の実践的な入門書です。「自然言語」とは、英語や日本語など人々が日常のコミュニケーションで使う言語のことで、NLPに基づく技術は、モバイル端末におけるテキストの予測や手書き文字認識、検索エンジンにおける統一されていないテキスト内の情報取得、機械翻訳においてはある言語で書かれたテキストの分析と多言語への変換など、広範囲に活用されるようになってきています。本書では、NLPの理論的な基礎、理論、応用をバランスよく解説。本書の例から学び、実際のプログラムを書き、そして実装することを通して、読者はNLPを始めるための実用的な知識と技術を得られるでしょう。(オライリー・ジャパンHPより引用)


『入門 自然言語処理』
Steven Bird、Ewan Klein、Edward Loper 著/ 萩原正人、中山敬広、水野貴明 訳


『考える脳 考えるコンピューター』

出版:
 ランダムハウス講談社
価格:1,995円

[内容紹介]
パームコンピューティング社とハンドスプリング社を設立し、数々のPDAを世に送り出してきたジェフ・ホーキンス。IT業界で大成功を収めるかたわら、彼はもう一つの情熱を追い続けてきた。脳を知りたい、脳と同じようにはたらく機械をつくりたい。そして今、大脳新皮質の「記憶」と「予測」の機能から、“真の知能”の姿が描きだされる。脳科学、コンピューター科学を揺るがす新たなビジョン。(「BOOK」データベースより引用)




『考える脳 考えるコンピューター』
ジェフ・ホーキンス、サンドラ・ブレイクスリー 著/ 伊藤文英 訳