皆様こんにちは、マネックス証券の益嶋です。「目指せ黒帯! 益嶋裕の日本株道場」第3回をお届けいたします。本コラムでは、「これから投資を始めたい」「投資を始めてみたけれどなかなかうまくいかない」といった方向けに、投資家としてレベルアップするための色々な知識をお伝えしていきます。今月もまずは最近のマーケット動向を簡単にご紹介します。
日経平均が1996年以来の高値に!
先月の当コラム(10月13日掲載)で日本株が非常に好調であるとご紹介しました。その時点で日経平均は9日続伸していましたが、そこからさらに連騰記録を伸ばして結局10月2日から24日まで16日連続上昇という日経平均史上初の記録を達成しました。日経平均は11月に入っても上昇の勢いを強めて11月7日に2万2,937円と終値ベースで1996年につけた高値を上回りました。
筆者はこの日本株の大幅上昇には大きく2つの要因があると考えています。それは「与党の選挙戦圧勝」と「企業の好調な業績」です。先日の衆議院総選挙で与党が圧勝し、今後も「アベノミクス」の継続可能性が高まったことを好感した投資家の買いが株価上昇の原動力になり、その「アベノミクス」の成果(かどうかは議論の余地があるでしょうが……)により企業の業績が非常に好調であることが株価上昇の背景になっていると考えています。企業が10月下旬から行った決算発表は業績予想を上方修正する会社が相次ぎ、絶好調と言っても差し支えないものでした。
株価が大きく上昇するとメディアではすぐに「バブルか!?」というような論調が強まりますが、足元の株価上昇は企業の利益増加という実体が伴ったものであることは押さえておいたほうが良いでしょう。
企業の長期的な業績をチェックする
さてここからは、コラムの本題に入っていきましょう。先月のコラムで、「中長期的に企業の業績と株価は連動する」ことをご紹介しました。ということは、「将来株価が上昇する銘柄」を探すためには、「将来利益をもっとたくさん稼ぐであろう銘柄」を探せば良いということになります。それが1番難しいわけですが(笑)、1つの方法論として「過去の業績が長期的に拡大している」銘柄を投資対象とすることは有効な方法ではないかと考えています。
もちろん将来の株価を決めるのは将来の業績なので、直接的には過去の業績に意味はありません。ただ、以下3つの理由から過去に継続的に業績を伸ばしている企業は注目に値すると思います。それは、
(1) その企業のビジネスが社会的に必要とされているものである可能性がある
(2) その企業が商品・サービス・人的リソースなどの面で他社と比べて高い競争力を持っている可能性が高い
(3) 過去に不景気などを乗り越えてきた経験を持っている可能性がある
ということです。もちろんすべての銘柄がそうであるとは言いませんが、5年、10年と長期的に業績が拡大している企業にはその理由があるはずです。例えば以下の図は、ファッション通販のZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイという会社の10年間の業績推移を示しています。スタートトゥデイの業績は10年間一貫して伸び続けており、今期も大幅な増収増益が予想されています。様々な人気ブランドの洋服がお店に行かずとも通販で買えるという、社会的なニーズを取り込んで成長を続けている会社です。
スタートトゥデイの株価の推移をご覧いただくと、10年前に100円を割り込んでいた同社の株価は今や3,000円を上回っており、10年間で30倍程度になっています。こうした銘柄を探すことは簡単ではありませんが、株式投資の非常に面白い部分でもあると思います。
なお、筆者が全面プロデュースしてこの10月から提供を開始した「マネックス銘柄スカウター」を活用すれば企業の業績を10年分簡単にチェックできます。同ツールは、マネックス証券に口座をお持ちであれば無料で利用可能です。
来月もより具体的な銘柄選定の方法をご紹介します。最後までお読みいただきありがとうございました。ではまた次回!
執筆者プロフィール : 益嶋 裕
マネックス証券 マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー
早稲田大学政治経済学部政治学科卒。2008年4月にマネックス証券に入社。2013年からアナリスト業務に従事。2017年8月より現職。現在は「日本株銘柄フォーカス」レポートや日々の国内市況の執筆、各種ウェブコンテンツの作成に携わりながら、オンラインセミナーにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員。
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