法律で義務付けられたヘルメット以外にも、任意で身につけるグローブなどの安全装備品がありますが、それ以前に、事故を未然に回避するためのノウハウもあるはずです。今回は、マイナビニュース会員のライダー達に聞いた「独自の安全運転テクニック」を紹介します。
■ヘルメット以外で必ず身につけるものは?
Q.ヘルメット以外に、乗車時には必ずつける安全装備を教えてください(複数回答可)
1位:グローブ ―――77.0%
2位:長袖 ―――61.9%
3位:ブーツ、ライディングシューズ ―――43.3%
4位:腕、足、腰のプロテクター付のウェア ―――19.3%
5位:ライディング用パンツ ―――16.1%
6位:胸部プロテクター ―――12.5%
7位:脊椎パッド ―――11.2%
8位:その他 ―――4.9%
ヘルメット以外の安全装備として着用率がもっとも多かったのは「グローブ」でした。バイクで走行中に転倒した場合、路面に手のひらを強く打ちつけたり、車体に挟まれることもあります。手は骨折すると日常生活に支障をきたし、完治までに長い時間を要することもあるため、やはりつけておいた方が安心でしょう。その次は「長袖」が約6割、ブーツやライディングシューズは約4割でした。近年は胸部や腹部の損傷も多いため「胸部プロテクター」の装着も推奨されています。
■ABSや前後連動ブレーキは必要?
Q.ABSや前後連動ブレーキは必要だと思いますか?
必要 ―――74.3%
不必要 ―――7.1%
どちらともいえない ―――18.6%
バイクのブレーキはライダーのスキルによって大きな差が出ますが、初心者はもちろん、一般のライダーでもパニック時にはロックさせずに強いブレーキをかけることは難しいものです。こういった状況では「ABS」や「前後連動ブレーキ」は有効な安全装備になるはずです。ただし、確実に衝突せずに止まれる仕組みではないため油断は禁物。また、ベテランの中にはリアを意図的にロックさせられないことを嫌う方もいるようです。
■意外に高い? ドラレコの装備や任意保険の加入率
Q.ドライブレコーダーは付けていますか?
つけている ―――45.0%
つけていない ―――55.0%
Q.任意保険には入っていますか?
はい ―――89.0%
いいえ ―――11.0%
クルマでは急速に普及が進んでいる「ドライブレコーダー」ですが、バイクも半数近くの方が装備していました。ドラレコが付いている場合、事故の過失割合に関するトラブルも少なくなるほか、あおり運転被害の抑止にもつながるといわれています。任意保険は相手に対する賠償のほか、自分や同乗者に対する補償もカバーできるというメリットがあります。現在は賠償額も高額化して自賠責保険だけでは補えないことも多いため、休日しかバイクに乗らない人でも加入しておいた方がよいでしょう。
■「独自の安全運転テクニック」を紹介
Q.あなたが経験で学んだり、ほかの人から教わった「独自の安全運転テクニック」を教えてください(自由回答)
【やはりブレーキが大事】
男性/51歳
常にブレーキをかけられるようにレバーに指をかけている女性/30歳
指をブレーキレバーから離さない男性/50歳
カーブの手前では十分に減速する男性/52歳
ブレーキ使用時に、前輪ロックさせないように気をつけている女性/42歳
急制動を恐れすぎないこと
危険を感じたら、まずは一刻も早く速度を落とすことが大事です。教習所では必要以外の時はブレーキレバーに指をかけないように教わりますが、公道では歩行者や車両が飛び出してくる可能性も高いため、指をレバーにかけて乗っている方は多いようでした。また、ブレーキをミスしないように細心の注意を払ったり、急制動のテクニックに関心を持っている方もいます。
【スピードを出し過ぎない】
男性/59歳
スピードを出さない。男性/55歳
見晴らしの良い場所でもスピードは出さない男性/41歳
スピードを出しすぎない。家族のことを考える男性/57歳
ゆっくり走ること、周りと同じ速さで走ること男性/40歳
最近はそんなにスピードを出さなくなった
バイクは風を切って走る乗物なので、飛ばせばちょっとしたスリルも味わえます。しかし、速度が高いほど停止できるまでの距離は長くなり、何かにぶつかったときの衝撃も急激に高くなります。また、ただゆっくり走ればよいのではなく、周囲の車両にあわせた速度で走る、という意見も少なくありませんでした。
【適切な車間距離をとる】
男性/53歳
前方にタクシーや軽トラが走っていたら車間距離をとる男性/54歳
車間距離を十分にとって走行する男性/38歳
常にスペースをとるように意識している男性/32歳
下りでは車間距離を多めに開ける男性/40歳
とにかく巻き込まれないように車から離れて走行している
断続的な渋滞や朝夕のラッシュ時は車間距離が短くなりがちです。追突などのリスクも高まりますが、前車との距離を大きく空けすぎていると、急な割り込みや後ろから煽られることもあるため、適切な車間距離の取り方はとても難しいものです。クルマよりも小さなバイクを煩わしく思っているドライバーもいるので、十分に注意が必要です。
【滑りやすい場所は走らない】
男性/52歳
できるだけマンホールの蓋の上を走らない男性/49歳
マンホールは通らない男性/46歳
冬はマンホールの蓋など、滑りやすいものを避けて停車する男性/41歳
雨の日にはなるべく白線の上を通らないようにする
金属製のマンホールはとても滑りやすいため、バイク乗りにとってはイヤなものです。車線の左側に多く、行儀よくキープレフトで走っていると不快そのものですが、車体が傾く交差点やカーブの途中にもあるのが厄介ですね。雨や気温の低い日は路面ペイントも含めてかなり滑りやすくなるため、走行中はもちろん、停車時して足をつくときにも注意を払っている方もいました。
【悪天候の日は控える】
男性/41歳
天候が悪くなりそうなときに無理に乗るようなことはしない男性/38歳
風が強い日は海沿いはなるべく避ける男性/53歳
夜はなるべく乗らない女性/48歳
天気が良い日にしか乗らないようにしています。混雑しているときは、乗らない
雨の日の走行はタイヤが滑りやすくなるだけでなく、身体も濡れて不快になり、シールド越しの視界も悪くなります。こういったことが不注意や見落としにつながるため、よほどの事情がない限りは乗らない方がよさそうです。また、風の強い日も周囲が開けたバイパスや陸橋の上などでは突風にあおられることもあり、海からはサビの原因になる潮風も吹きつけます。
【心身のコンディションも大事】
男性/46歳
ストレスの多い日は運転を控える男性/44歳
眠気がある時は乗らない男性/50歳
常に慌てる必要はないと心がける男性/42歳
体調に少しでも不安があるときには乗らない
バイクは身体を使って運転するため、心身の不調はライディングにも大きく影響します。ちょっとしたミスや判断の遅れが大きなケガや命を落とす事故の原因にもなるため、心身のコンディションが悪い時には運転を控えるという意見も数多く寄せられました。
【そのほか】
男性/29歳
すり抜け走行は「どうしても必要」というとき以外は行わないよう心掛ける女性/35歳
目視で確認女性/40歳
青信号だからといって、安心しない。必ず左右確認する癖がつきました男性/53歳
意思表示はしっかりする
「すり抜け」の可否はバイク乗りの中でも意見が分かれます。違法ではないものの、やはり車両の近くを通るために事故のリスクは高まることを認識しておいた方がよいでしょう。また、バックミラーや信号だけに頼らず、目視で交通状況の確認をしたり、ウィンカーやブレーキなどで周囲に意思表示をするなど、しっかりと安全運転を心がけている方もたくさんいました。
■多くの方がセーフティ・ライディングを実践
2020年のコロナ禍以降、「密を防げる移動手段」としてバイクの人気は高まり、通勤や通学といった利用のほか、ツーリングなどのレジャーで利用する方もずいぶん増えました。この中には若者のほか、中高年になって免許を取得したり、若い頃に乗っていたリターン組の方も数多くいます。
コロナの終息がいつになるかも分からず、在宅ワークで閉塞感が強まる中、バイクはストレス発散や運動不足の解消に持ってこいの趣味ですが、世間一般的には「危険な乗物」と見られています。これはバイク乗りであるアンケート回答者も認識しており、ほとんどの方が安全運転を心がけているようです。若い頃に腕をならした中高年の方々からも『身体も心も昔とは違うので無理はしない』というベテランらしい回答も数多く寄せられました。
また、周囲のクルマやトラックなどのドライバーも高齢化が進んでいるため、運転ミスや判断の遅れによる事故も多発しています。こういった事故に巻き込まれないよう、バイク乗りはより一層の注意が必要な時代かもしれません。
調査時期: 2022年11月10日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1010人
調査方法: インターネットログイン式アンケート