コロナ禍では“密を防げる移動手段”としてバイクの人気が高まりました。新たに免許を取って乗る人だけでなく、若い頃に乗っていた中高年のリターンライダーもずいぶん増えたようです。
2022年のゴールデンウィークは3年ぶりに行動制限のない大型連休となり、行楽地は多くの観光客で賑わいましたが、気兼ねすることなく遠距離のツーリングを楽しんだ方も多かったのではないでしょうか。感染状況によっては再び行動制限が求められる可能性もありますので、感染予防を心がけつつ、ツーリングを楽しみたいものですね。
今回から、マイナビ会員の1,000人のライダーがおすすめする各地のツーリングスポット5選を連載でご紹介。今回は北海道編です。
【1】日本海オロロンライン
「日本海オロロンライン」は、小樽市と最北端の稚内市を結ぶルート。途中には高さ約100mの風車が約3kmに渡って立ち並ぶ「オトンルイ風力発電所」など、いくつかの見どころスポットがあるものの、いかにも観光目的で作られたような豪華な施設はありません。日本海の絶景を望みながら、約300kmに及ぶ湾岸線をひたすら走り続けるのですが、この北海道でしか味わえないクルージング感覚が多くのライダーを魅了しています。
「日本海オロロンライン」の最終地点「稚内」からは「利尻島」や「礼文島」に渡れるフェリーも出ています。北海道のスケールに圧倒されますが、この二島は「大島」や「三宅島」よりも面積が大きく、上陸すれば最北の秘境を十分に満喫できるでしょう。「稚内」から少し東に進めば日本最北端の「宗谷岬」。ここは記念撮影のスポットとしてもおなじみですね。
【2】函館山
北海道の主要都市のひとつである函館市街では、この地特有の和洋折衷建築をいくつも見ることができます。函館を代表する歴史的な建造物といえば「五稜郭」。その横にあるのは高さ107mの「五稜郭タワー」で、この日本では珍しい星型要塞を一望できるスポットです。外せないのは、やはり「函館山」。ロープウェイで登った高さ334mの展望台から見下ろす景色は、日本三大夜景のひとつにふさわしい美しさを誇ります。
函館は有名な観光地で人通りも多いため、市街地を荷物満載のバイクで回るのは適していません。ここから北上したところにある「大沼公園」のキャンプ場を拠点にして、函館本線で向かうのもいいでしょう。函館市街の名所や函館山からの夜景を堪能したあと、函館本線の車窓から見る幻想的な景色や、満天に広がる星空もすばらしい思い出になるはずです。
【3】知床
オホーツク海に伸びた知床半島は、北海道の中でも太古の自然をたくさん残している場所です。ヒグマや鹿、キタキツネも多く生息しており、「知床国立公園」や海洋も含むその周囲は世界自然遺産に登録されています。半島の中腹を横切る「知床横断道路」は爽快なワインディングで、「知床峠」の展望台からは7月でも残雪が見えることも。天候が良好なら国後島も望めるそうです。
「知床五湖」は原生林の中にある神秘的な湖で、ヒグマの生息地として知られています。高架木道や地上遊歩道から知床の雄大な自然を実感できるでしょう。そこから北上すれば「カムイワッカ湯の滝」という、川自体が知床硫黄山から涌き出た温泉という秘境にたどり着きます。ここに行くにはシャトルバスか約10kmのダートでバイクを走り、軽装に着替えて沢登りをする必要があります。
【4】阿寒湖
特別天然記念物のマリモで有名な「阿寒湖」は、ニジマスやイワナなども生息している美しい淡水湖。道東を代表する観光地として、湖を一周する遊覧船のほか、釣りやカヌーといったレジャー施設が充実しています。アイヌの文化を余すところなく紹介する「阿寒湖アイヌコタン」も見どころのひとつ。南側の湖畔には温泉街もあり、長い道内のツーリングで疲れた身体を休めるのにもおすすめです。
「阿寒湖」の周辺には、日本で最も透明度が高いといわれる「摩周湖」や、カルデラ湖としては国内最大の大きさを持つ「屈斜路湖」があります。こういった有名な湖のほかにも、北海道三大秘湖のひとつといわれ、ひっそりとした森の中で、5色に変化する水を湛えた「オンネトー」もライダーに人気のスポットです。
【5】猿払村道エサヌカ線
最北端の「宗谷岬」から南下したところ猿払村があり、ここから国道238号線よりオホーツク海沿いに並走する村道が全長約16キロに及ぶ「猿払村道エサヌカ線」です。広い国土を持つ北海道は長い直線が多いですが、ここの道は別格。途中、2つのクランク状カーブがあるものの、電柱や看板、ガードレールもない広大な牧草地帯の中、気の遠くなりそうな直線が地平線に溶け込む景色は圧巻です。
「猿払村道エサヌカ線」への行き方は、北側からは看板があるので比較的分かりやすいのですが、南側からだと分かりにくいこともあるようです。しかし、この近くまで来たら絶対に見つけて行くべきポイントであることは間違いありません。
そのほか、おすすめのツーリングスポット
北海道には街をつなぐ直線主体の道だけでなく、あらゆる道が存在します。オンロードのワインディングも多数存在し、本州などではなかなか見られないようなダイナミックな景観に圧倒されるはず。道東では「美幌峠」や「三国峠」、道央の「オロフレ峠」や「ニセコパノラマライン」などが有名です。
オフロードライダーにとってもうれしいのが、「美深歌登スーパー林道」や「加須美峠函岳林道」といった30km以上も続く長大なダートコース。未舗装路といっても比較的走りやすく、大パノラマの原野を楽しむことができるでしょう。こういった林道では、ほかの観光客や動物にも注意する必要があります。
まとめ
ライダーなら誰でも一度は行きたいと思っているツーリングの聖地、それが北海道。広大なだけに見どころも星の数ほどあり、ほとんどの人がキャンプや宿などで数日間の連泊ツーリングを企画します。一週間走り続けてもすべてのスポットを回りきることはできませんが、どこに行ってもハズレがないのが北海道の素晴らしいところ。中にはついに北海道に移住してしまう人や、冬のツーリングに挑戦する猛者もいるようです。
北海道ツーリングで気をつけるべきことのひとつとして、しっかりとしたバイクのメンテナンスがあげられます。一日に何百kmも走るためタイヤの摩耗は早く、ドライブチェーンのオイルが抜けてしまうこともあります。街から街への長い区間ではガソリンスタンドもないのでガス欠にも注意。バイクの状態を把握しながら走破しなければなりませんが、これを走り切るとツーリング・ライダーとして一皮むけた気分にもなるはずです。
調査時期: 2022年4月7日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1,000人
調査方法: インターネットログイン式アンケート