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人ならば誰しも「幸せになりたい」と思っているだろう。「もっとお金があれば…」「もっと人から好かれれば…」「憧れのあの仕事で働ければ…」。人によって「幸福」の定義はそれぞれだが、コロンビア大学地球研究所がこのほどまとめた報告書によると、世界150か国以上の国の中で最も「幸せな国」と「不幸せな国」が明らかになったという。
北欧は「幸福」の宝庫。日本は43位に沈む
今回の研究において、研究者たちは2005年からの「幸福」に関する世界150か国以上のデータを集めた。そして、国民の幸福度を10段階の数値で示した。幸福度の大半は、「一人当たりGDP」「健康寿命」「信頼できる存在の有無」「人生選択の自由」などの6基準に帰属している。
上位10位までの結果は、以下の通り。
1位デンマーク(7.693)
2位ノルウェー(7.655)
3位スイス(7.650)
4位オランダ(7.512)
5位スウェーデン(7.480)
6位カナダ(7.477)
7位フィンランド(7.389)
8位オーストリア(7.369)
9位アイスランド(7.355)
10位オーストラリア(7.350)
トップ10のうち、北欧系の国が大半を占める結果となった。
GDP世界第1位の米国は17位(7.082)、同2位の中国は93位(4.978)、そして同3位の日本は43位(6.064)に沈んだ。他の主要国では、イギリスが22位(6.883)、フランスが25位(6.764)、ドイツが26位(6.672)となっている。
また、最下位の156位は、トーゴ(2.936)。ワースト5か国は他にルワンダ、ブルンジ、中央アフリカ、ベナンとサハラ砂漠以南に集中している。
平均幸福度は5・1で、過去5年に比べ微増
報告書によると、156か国の平均幸福度は5.1。幸福度の世界平均は過去5年間でわずかに上昇したものの、経済的、政治的問題を抱える国で下落が目立った。ここ数年で61か国の幸福度が改善された一方、41か国が下がっているという。
国民が不幸を感じる要因としては、「失業」「家庭崩壊」「身体疾患」などがある。今回の報告書によって、うつ病や不安は人々の幸福に多大な影響を与えるが、これらのメンタルヘルス問題は政治家にしばしば無視されていることが明らかになった。
今回の研究に携わった、コロンビア大学地球研究所のJeffery Sachs氏は「(各国の)政策はもっと人々が『自分たちが幸せだ』と特徴付けることができる、真に重要なものと結びついたものでないといけない。そして、そういう要求は世界中で起こっている」と話す。
我々が目指す、普遍的な「幸福」とは?
ヒマラヤにある小国ブータンは近年、「GDP(国民総生産)のような単一の基準は、人々にとって本当に意味があることを把握するのに不適切ではないか」とかねてより疑問視しており、GDPに代わるGNH(国民総幸福量)という概念を提唱している。
昨年の調査では、裕福な人々は貧しい人々よりも平均的に幸福ではあるものの、国のGDPの増加は人々の幸福量を後押ししていないことが明らかになったという。例えば、アメリカのGDPは1960年代に比べて3倍になっているが、「幸福」は3倍にはならずに停滞しているという。
確かに富や名声は、人々に「幸福」を感じさせてくれるかもしれない。だが、有り余るほどの富と名声は、時として人を狂わせる。ハリウッドスターなどのセレブリティがドラッグに身を染め、自ら命を絶ってしまうこともその一例かもしれない。それは果たして、本当に「幸福」なのだろうか。
普遍的な「幸福」というものは存在しない。だとすれば、何をもって「私の幸福」とするのか。その揺るぎない自分だけの指標を、我々は持っておくべきなのかもしれない。