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ヒトの肥満度を示す数値として広く認知されているBMI。一般的に高い数字ほど肥満状態にあるとされており、WHOではBMI30以上を「肥満」と定義している。だが、最近の研究ではBMIが高い方が、様々な病気を防げるとされている。最新のBMIにまつわる情報を紹介する。

肥満は心臓病のリスクを高めるが、慢性疾患予防にもつながる

体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算できるBMI(Body mass index)は、ヒトの肥満度を示す数値として、一般的に浸透している。例えば、身長173cmで体重62kgならば、62÷1.73÷1.73で、BMIは20.7となる。

WHOは18・5~24・9のBMIは「通常」、25以上を「標準以上(overweight)」、30以上を「肥満(obese)」としている。だが、肥満は糖尿病や心臓病のリスクを高める反面、慢性疾患による生存率の改善につながることも明らかになっている。

ペンシルバニア大学のドクターがBMIに物申す

ペンシルバニア大学のドクターRexford氏はこのほど、「live science」に論文を投稿。「多くの研究はBMIを基準にしているが、我々はそれが正確な指標ではないことを知っている」とし、「BMI信仰」に一石を投じた。

30を超えるBMIは心臓病や糖尿病、がんなどの疾病で死亡するリスクが高くなることを多くの研究が示唆しているが、最近の複数の研究では高BMIが心不全や腎不全、他の慢性疾患による死を遠ざけていることを示唆するデータも得られているという。

「問題は、BMIが健康の度合いを示す指標として不正確によって引き起こされる」と同氏は述べている。

「複雑な疾患」である肥満は、簡略なBMIでは測定できない

同氏の指摘の一つとして、BMIは脂肪のことを考慮しておらず、その脂肪が内臓脂肪なのか皮下脂肪なのかも示せていないことがある。また、BMIは人種や性別、年齢面も全く考慮していない。

脂肪よりも重い筋肉が隆々のアスリートも、背が縮んでしまった老人も一様に、同じ計算式で肥満か否かと判断されてしまう。そういった危うさをはらんでいるも関わらず、BMIが広く用いられているのは、「計算が簡単だから」(Rexford氏)につきるいう。

同氏は、「健康的な体重」を表すための単一な計算式はないと説明。なぜならそれは、体重や遺伝、性別や他の様々要因が絡んでくるからだという。

「肥満は、単に脂肪が多いというだけではない、複雑な疾患なのです。脂肪と筋肉量の関係を知ることが重要なのです。肥満は人を健康にするのか、不健康にするのか―。その解明のためには、私たち科学者は分子メカニズムを知る必要があります」と同氏は締めくくった。

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諸説入り乱れるBMIだが……

BMIという概念は、最近では学校教育でも用いられているようになっている。だが、実のところは今回の論文にもあったように、BMIが実際のところ何を意味するのかは不明な点が多い。すなわち、BMIが高い方がいいのか低い方がいいのかに関しては、様々な研究があり、一概に何が正しいのかはわからないのが現状。教育には不向きかもしれない。

一つだけ確実なのは、「BMIは心不全や腎不全を予防するから」と、暴飲暴食を繰り返すのは、ボディマス指数(BMI)はさておき、エンゲル係数の観点からすれば、賢い選択ではないことだろう。