永遠に若いままでいられたら―。誰もが一度は不老不死にあこがれたことはないだろうか。現代科学ではその願いを実現させることはできないが、このほど「New England Journal of Medicine」に掲載された論文では、ある物を食べることが長寿にはつながることを示唆している。
栄養豊富なナッツのパワー
掲載された論文は「Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality」。ナッツの消費と死亡率についてまとめたものだ。
元来、ナッツは「カロリーが高い」というイメージが先行してしまいがちだが、それを補って余りあるほどの栄養に富んでいる。ビタミンやミネラル、血中の中性脂肪を減らすなどの働きがある不飽和脂肪酸を含み、たんぱく質も豊富だ。米国食品医薬品局(FDA)も、毎日一握りほどのナッツを食べることは心臓病のリスクを低減すると推奨しているほどだ。
約12万人の医療従事者の30年分のデータを調査
今回発表された研究は、アメリカのボストンにあるダナファーバーがん研究所のCharles Fuchs博士を中心とするチームによって行われた。研究チームは、7万6,000人以上の女性看護師と4万2,000人以上の男性医師の、1980年代から2010年までの約30年間にわたる食事情報を分析した。彼(女)らは2~4年ごとに、1オンス(約28g)のナッツをどれぐらいの頻度で食べているかを含め、ふだん摂取している食事などの質問を聞かれており、30年の追跡期間中に1万6,200人の女性と1万1,229人の男性が亡くなったという。
日常的なナッツの摂取は心臓病やがんのリスクを下げる
追跡調査のデータをまとめたところ、ナッツを週に2~4回食べていた人たちは死亡率が相対的に13%低かったという。また、日常的にナッツを摂取していた人は、心臓病で亡くなるリスクが29%、呼吸器官系の病気で亡くなるリスクが24%、がんで亡くなるリスクが11%、それぞれ低くなっていることも明らかになったという。Charles Fuchs博士は今回の結果を受けて「我々の研究結果は、健康促進と長寿実現におけるナッツの潜在的な有益性を示唆している」としている。
今回の調査と同様の結果は、アーモンドやピーナッツの消費でも得られており、食用の種実類の多くには、我々の健康に資するパワーが秘められていそうだ。とはいえ、それらを食べてさえいれば、不摂生な生活をしていいというわけでもない。健康な長寿でいたければ「適度な運動」「きちんとした食事」「規則正しい生活」などがそろった上で「一握りのナッツ」を摂る必要がありそうだ。