おはようございます。上杉さくらです。お元気ですか? ラジオのスイッチ入れていますか? この連載の読者は働き盛りの世代が多いと、担当編集者が教えてくれました。働き盛りというと、お仕事と家庭サービスの日々で、「そんなラジオばっかり聴いている時間はないよ」と思っていらっしゃる方も多いかもしれません。あるいは、「マンション住まいで長いアンテナや金属製のループアンテナを張れないよ」と悩んでいる方もいらっしゃると思います。

そんな時に、どうラジオとお付き合いをしていけばいいのでしょうか? 今回はこれがテーマです。

自宅では国内中波でリラックス

自宅にいる時は、気分転換で国内中波を聞くという手もあります。子どもの時まず聞いたのは中波だという方、多いのではないでしょうか? そういう方は、子供時代を思い出しながら、中波の番組を聴きながら家族と一緒に楽しむ、あるいはお皿を洗いながらリスニングしてみてはいかがでしょう。私は、"体のラジオ体質"が呼び戻され、いい気分転換になりました。また家族と一緒に聞くことで、ラジオに対する理解度を深めてもらえるというメリットもあります。

夕方以降にラジオを聴くならば、ちょっと遠い中波局を聴いてみましょう。夜になると、遠いラジオ局が聞こえるようになることを実感できますし、お子さんに話すと科学に興味を持ってもらうきっかけにもなりえます。

中波局のおすすめは、ちょっと遠いNHK第1のローカル局。19時の時報の前に、ローカル局の局名告知が行われますので、ID確認もカンタンです。また、19時前にはその地域地域の天気予報や交通情報が、19時の全国ニュースにひきつづいてローカルニュースも放送されますので、自宅にいながら各地の情報を楽しめることができます。そうですね、首都圏の方だったら、NHKの東北~北海道の各局もキャッチしやすいです。

70年代、NHKローカル局はめったなことではQSLカードを発行してくれなかった。しかし、近年QSLカードや受信カードを発行してくれることも多い。写真はNHK旭川放送局(第一:621kHz)。神奈川県からは混信がひどくてなかなか確認がしにくい局。QSLは昔の同局のポスターを使用したレトロな素敵なデザインだ

また民放に関しても遠い局の番組をぜひ聴いてみましょう。意外な番組に出会うこともできるし、認識を改めることもできます。上杉も、多くの局で声優の番組を流しているのにはびっくりし、普段聴かない演歌にも詳しくなりました。そう、林原めぐみの語りを聴き、南かなこの歌を楽しむ、こんな出会いも楽しいものです。

ループアンテナを使えば、遠い局の番組もはっきり聞こえる。写真はミズホ通信のUZ-77s。コンパクトで使いやすい。筆者の経験だと、ソニーのICF-SW7600GRとの組み合わせで、神奈川県横浜市の住宅街から日本国内の放送局はもちろん、フィリピンやオーストラリア、米国西海岸の放送局まで聞こえた

それから、1600kHz以上の中波を聴けるラジオを持っている方は、1670.5kHzにダイヤルを合わせてみましょう。ここでは日本各地の「船舶気象通報」を聴くことができます。「船舶気象通報」は、海上保安庁が提供する各地の灯台における気象情報のこと。首都圏からは、「野島埼無線方位信号所(千葉県白浜町)「金華山無線方位信号所(宮崎県石巻市)」「襟裳岬無線方位信号所(北海道えりも町)」などの放送がよく聞こえます。各局から放送される時間は1~2分で、毎時放送時間が決まっています。QSLカードも多くの局で発行してくれますし、60cm×60cmぐらいのループアンテナを使えば、首都圏からも日本全国の「船舶気象通報」をキャッチ可能ですので、全国の「船舶気象通報」めぐりを楽しんでみるのはいかがでしょうか。

なお、遠い局を聴くときは窓際にラジオを置いてみましょう。それから、予算が合えばループアンテナを購入して、ラジオにつけてみてもいいでしょう。ループアンテナを使えば、遠い国内局が明瞭に聞こえるだけではなく、海外の放送局もキャッチすることが可能になります。海外中波の楽しみについては、いずれ執筆するつもりです。

こちらはNHK高知のQSLカード。19時の時報前にNHK各局のコールサインがアナウンスされるので、チェックしてみよう

国内局だけではなく、中国や韓国の放送局を聞けるのもおもしろいところ。1188kHzでは韓国の宗教局HLKXの放送を聞ける。英語放送もあり

船舶気象通報は各局わずか1~2分の放送。波の高さや風の強さなどが放送される。とどヶ埼灯台は、岩手県宮古にある

船舶気象通報局は海上保安庁の組織改革によって、統括する部署がここ数年で替わった場合が多い。舳倉(へぐら)島は能登半島の輪島北方50Kmに浮かぶ島。バードウォッチングのメッカだそうだ

出張や旅行のときは地元局を聴いてみる

旅先や出張先で地元のFM局を聴くのも楽しいものだ。写真は、FM愛知のQSLカード

家族旅行や出張のとき、上杉がお薦めするのは小型ラジオを携行することです。自宅からはキャッチしにくい中波局を楽しめますし、地元FM局やコミュニティ局で思わぬ情報を得ることができます。「コミュニティ局とはなんですか?」と、よく疑問に思う方がいらっしゃるようですが、昔からあるFM局が圏域レベルの放送局なのに対し、コミュニティ局は、市町村レベルの小出力のFM局のこと。そのためコミュニティ局では、より地域に密着した話を聴けることが多いと思います。旅をしているとき、車窓にそっとラジオを置いて聴いてみてください。思わぬ話にめぐり合うかもしれません。

そんなこんなで海外放送局を聴くだけがラジオの楽しみではありません。もっと身近なラジオの楽しみ方もあってもいいのでは? と上杉は思います。

コミュニティ局は出力が小さいので、同じ県内でも聞こえない場合が多い。写真は、富山県のラジオミュー(新川コミュニティ放送)QSLカード。黒部に遊びに行ったときに電車の中で聴いた

エフエム石川、ふくしまFMのQSLカード。ふくしまFMは山形新幹線の中で聴いたもの。旅の模様は「猫街鉄道放浪記」を読んでください