こんにちは! 上杉さくらです。いま、中高年にBCLがひそかに流行っているって知っていましたか? BCL(ビーシーエル:BroadCasting Listner)とは、遠い異国や近隣諸国、あるいは国内のラジオ放送を楽しむ高尚な趣味なのです。中高年になってお金や時間にちょっぴり余裕が出てくると、少年・少女のときに楽しんだ、あるいは、望んでいた趣味をもう一度やってみたくなるもの。そういうわけで、BCLを再び始める方が増えているのだろうと思います。

中央人民広播電台のQSLカード。25年前に比べて、楽しい番組内容になった。もう「敬愛する毛主席」というアナウンスは聞こえません

アフリカの国際局、TWR-SwazilandのQSLフォルダ。今なら22時55分すぎ15360KHzにダイヤルを合わせよう。きれいなIS(インターバルシグナル)に感動することだろう

振り返ってみると、1970年代後半、ベリカードブームが起こりました。放送局に受信レポートを送ると、受信を確認したというベリカードが郵送されてくるのです。モスクワ放送に、台湾の自由中国の声や南米のHCJBから返信があったな……、そうそうサンフランシスコのKGEIはコンピュータでプリントアウトされたベリカード(QSLカード)も送られてきたっけ。そこからBCLにはいった人もたくさんいらっしゃることでしょう。でも、まだベリカードってあるのでしょうか?

ラジオ・プラハ85周年記QSLカード(2008年)。日本時間朝5時からの英語放送、11600KHzはよく聞こえる

放送局からの返信には素敵なプレゼントも。これはロシア・サハリン局のカレンダー

今どきのBCLに必要なもの

さて、今BCLを再開するとしたら、なにが必要なのでしょうか。まずは、ラジオ。BCLといえば、短波(SW)を聞くのが王道。BCLブームが去って短波ラジオの数は減ったといえども、まださまざまな機種発売されています。おすすめは、ソニーのICF-SW7600GRです。実勢価格は3万円後半と、ちょっと値が張りますが、アフリカの放送局も聞いてみたい方は、この程度は投資しましょう。

ソニーのICF-SW7600GR

実際2002年から約6年間使っていますが、国際局だけでなく、アフリカの国内局や、太平洋をわたってくる北米中波局もキャッチでき、随分楽しませてもらいました。ちょっとロッドアンテナが強度的に弱いところもありますが、まずはおすすめできる短波ラジオです。現在、中国製の短波ラジオもありますが、今度使ってみようと思います。

次にアンテナです。ラジオについているロッドアンテナだけでは、近隣諸国の放送しか聞こえないぐらいに思ってください。ICF-SW7600GRには、3m程度の巻き取り式の簡易アンテナが付属しています。これは室内やマンションのベランダでは使いものにはなりません。河原や公園などで張ると、効果を発揮します。私は、ICF-SW7600GR+付属アンテナだけで、北米の短波放送や冬のロングパスで聞こえるアフリカ西海岸の放送を楽しみました。とはいえ、手軽に楽しむにはもうちょっと本格的なアンテナがほしいもの。でも、マンション住まいの方はなかなかロングワイヤーや長いアンテナを取り付けられませんよね。そこでおすすめなのが、ソニーのAN-LP1という、まるいループアンテナ。室内用ですが、マンションのベランダに簡易的に取り付けると、効果テキメン。折りたためて携帯性にもすぐれています。120mバンドや中波、長波には対応していないところが残念です。

ソニーのAN-LP1

あとは、録音機器。これはお手持ちのカセットテープレコーダーやMDでもかまいません。よくをいうと、MP3に対応したICレコーダがあればいうことありません。めずらしい局の場合、MP3データを局に確認してもらったりできますものね。

今のおすすめはEスポ

7月のおすすめはなんといってもEスポです。これはカンタンにいうと、初夏にスポラディックE層と呼ばれる電離層が突然発生し、通常聞こえない離れた地域や国のVHFやFMの放送が聞こえるというものです。これは、スポラディックE層がVHF帯の電波を反射するから起こるのですが、首都圏からでも、中国や台湾、ロシア極東地域、韓国、北海道などのVHF、FM放送が聞こえるという楽しいもの。Eスポを楽しむには、別に本格的なラジオは必要ありませんが、デジタル周波数表記のラジオはあったほうが便利です。

Eスポでは、中国局や台湾局などが聞こえる。ベリカード(QSLカード)はなかなか作っていないところが多いので、自分でPFCを作って放送局に記入してもらおう

今年のEスポですと……

  • 87.3MHz FM沖縄
  • 87.6MHz 北京人民広播電台文芸台
  • 87.9MHz 中国国際広播電台 (上海)
  • 88.0MHz 台州電台(浙江省)
  • 88.8MHz 温州人民広播電台経済台(浙江省)
  • 89.1MHz AFN-OKINAWA(沖縄)

などが聞こえて5月末以降から聞こえていました。ベリカードや自分で受信報告証を作って確認してもらうPFCカードも、放送局によっては送ってもらえるので、レポートを送るのもいいでしょう。