前回に引き続き、AppleのLogic Pro X、GarageBand 10で、オーディオ・インタフェースにRolandのQUAD-CAPTURE、MIDIキーボード・コントローラーA-PROシリーズを使用した場合を例に、DAWで起こりがちなトラブルとその解決方法をご紹介します。

今回のテーマは「再生時のトラブル」。曲を再生すると、ノイズが出たり、再生がストップしてしまう現象について考えてみましょう。まずは楽器のレコーディング時に音が遅れて聞こえてしまう、といったトラブルを解決してみます。快適に曲作りを楽しむための非常に重要な設定なので、トラブルが起こったことのない人も、設定を今回紹介するポイントで見直せば、さらに快適なレコーディングができるかもしれませんよ! なお、今回紹介している設定はLogicのみで可能な設定です。

曲を再生するとノイズが発生したり、再生が止まってしまう

ソフトウェア・シンセサイザーを使い、どんどん曲が完成に近づいてくると、再生中に音にノイズが発生したり、エラーが出て再生が止まってしまう。そんな経験はありませんか?

こういったトラブルの原因は、パソコンの処理能力が追いついていないことが考えられます。ソフトウェア・シンセサイザーやプラグイン・エフェクトをたくさん使うと、それだけCPUパワーが必要になり、正常に再生できなくなってしまうのです。Logicの場合、CPUの使用状況をメーターで確認することができます。まずは、どのくらいパソコンに負荷がかかっているのかをチェックしてみましょう。

このような状態だと、再生音にノイズが発生したり、再生が止まったりします

これでは快適に作業できません。パソコンを高速なものに買い換える……前に、オーディオ・インタフェースの設定で解決できるかもしれませんよ!

「Logic Pro X」メニュー -「環境設定」-「オーディオ」の画面を開き、「I/Oバッファ・サイズ」の項目に注目してみましょう。この数字を大きくすることで、パソコンのCPU負荷を抑え、正常に再生できるようになります。

I/Oバッファ・サイズを大きくすることで、CPU負荷を抑えることができます

I/Oバッファ・サイズを最大にしても足りない場合は、編集が終わったソフトウェア・シンセサイザーのトラックを「フリーズ」してしまいましょう。パソコンに負荷がかかるのは、リアルタイムにシンセサイザーやエフェクトを使っているからです。フリーズ機能を使うことで、ソフトウェア・シンセサイザーやエフェクトのかかった状態のオーディオ・ファイルに置き換えて再生してくれるので、CPU負荷をグッと抑えることができます。

また、DAWソフトで作業しているときは、ほかのソフトを終了するようにする、といった工夫も有効です。

録音時に音が遅れて聞こえる

楽器をオーディオ・レコーディングする場合や、MIDIキーボードでソフトウェア・シンセサイザーを演奏するとき、実際に演奏してから音が聞こえるまでにタイムラグが生じるケースもあります。この遅れのことを「レイテンシー」と呼ぶのですが、これも設定で解決できます。

先ほどの設定と同じように「Logic Pro X」メニュー -「環境設定」-「オーディオ」の画面を開き、「I/Oバッファ・サイズ」を開き、今度は数値を小さく設定しましょう。これでレイテンシーが小さくなります。

どのくらいの遅れが出ているかは「結果のレイテンシー」で確認することができます

では、I/Oバッファ・サイズとは何を設定する項目なのでしょうか? 簡単にいうと、パソコンにどのくらいの頻度でオーディオ信号の処理をさせるかを決めるパラメーターです。処理の頻度を小さくすれば、音の遅れは小さくなりますが、それだけCPUが忙しくなるので安定性も損なわれていく、という訳です。

実際にどの位の遅れが出ているのかは、「結果のレイテンシー」という項目で確認できます。単位は「ミリ秒」という単位なので、"ラウンドトリップ:6.8ミリ秒"の場合は0.068秒遅れている、ということを表しています。どのくらいの遅れが「遅い」と感じるかは人それぞれですし、バッファ・サイズを下げるほどCPU負荷は大きくなるので、作業内容に応じて調整していくことが大切です。

なお、Roland QUAD-CAPTURE / OCTA-CAPTURE / STUDIO-CAPTUREには、ローランド独自の「VS STREAMING」という技術が使われており、低レイテンシー設定時にも安定したパフォーマンスを得ることができるので、生演奏を重視した楽曲制作をしたい人にもオススメです!

今回のポイントは、作業によってI/Oバッファ・サイズを調節する! ということ。オーディオ・インタフェースを上手に設定して、快適な音楽制作を楽しんでくださいね!