出産直後からママが悩むことといえば、授乳。厚生労働省発表のデータによると、ママたちは96.0%が妊娠中から「母乳で育てたい」と考えていることわかるが(厚生労働省「平成17年度乳幼児栄養調査」)、母乳の出がいい人もいれば、量が少ない人もいる。そんなときに頭をよぎるのが「母乳育児に勝るものはない」という言葉。さて、専門家はどう考えるのだろうか。小児科医の田村幸子先生に聞いた。

お母さんの不安

「母乳育児に勝るものはない」って本当?

田村先生の回答

母乳育児できない場合は?

母乳には、多くの利点があります。まず大きいのは、赤ちゃんの発育に必要な栄養素がバランスよく含まれている点。特に出産後すぐに出る黄色みが強い「初乳」は、ママの免疫を赤ちゃんに受け渡すために重要な免疫物質がたくさん含まれているので、ぜひ飲ませてあげましょう。

他にも、消化しやすい、顎の発達に良い、スキンシップになるなど、母乳育児が赤ちゃんにとって良い点はたくさんあります。さらに、授乳が簡単、お金がかからないなど、ママにとってのメリットも。ただ「母乳育児に勝るものはない」かと言うと、必ずしもそうとは言えないと思います。

最初から母乳がたっぷり出るママもいれば、努力してもなかなか出ないママ、持病のために母乳を与えられないママもいます。赤ちゃんにとっては必要な栄養がしっかりとれることが最も重要なので、母乳を与えるのが難しい場合は育児用ミルク(粉ミルク)を上手に利用しましょう。初乳をあげたあとであれば、どちらでも栄養的には遜色ありません。ミルクならパパにも授乳ができますし、授乳間隔が定まりやすいなどのメリットもあります。無理せず、楽しく育児ができるといいですね。

回答者プロフィール

田村幸子(ゆきこ)先生

小児科学会専門医、医学博士。
1992年群馬大学医学部卒業。東京大学病院分院小児科、都立府中病院(現都立小児総合医療センター)、国立感染症研究所などを経て、現在、東京都練馬区の田村内科小児科医院で小児科を担当。二児の母。