ご自分の夫やが不倫していたら、不倫相手に慰謝料を請求できます。
ただ自分の夫や妻が不倫していることを理由に、不倫相手に慰謝料を請求するときには、「どのような場合に慰謝料が発生するのか」「どのような証拠が必要か」「いつまで請求できるのか(時効)」などを知っておく必要があります。
今回は不倫相手に慰謝料を請求する前に押さえておきたい知識を弁護士の視点からご紹介していきます。
不倫で慰謝料が発生する条件 - 法律上の「不貞」とは
不倫を理由として慰謝料請求をするには、配偶者と不倫相手との間に「不貞行為」が必要です。不貞行為とは「配偶者のある人が配偶者以外の人と性行為をすること」です。
夫や妻に、たまに食事をしにいくような仲の良い異性がいても、その人と「性行為」をしていなければ不貞にはならず、不貞を理由とした離婚原因・慰謝料発生原因になりません。
まずは「性行為」があるのかどうか、明らかにする必要があります。
不倫が開始したときの夫婦関係
基本的に夫や妻があなた以外の異性と性行為をし、それにより夫婦関係が破綻したら、これによりあなたが受けた精神的苦痛について慰謝料が発生しますが、不倫が始まった時点で夫婦関係が破綻していた場合には、慰謝料が発生しない可能性があります。
ですので、不倫相手に慰謝料請求をした場合、不倫相手が、「二人の夫婦の関係はすでに破綻していた。だから、慰謝料を発生させる不法行為に該当しない」などと反論されることが非常に多いのです。
もっとも、裁判で不倫相手からそのような主張がなされた場合、裁判所は、必ず、慰謝料をゼロにするとか低額にするかというと、そのようなことはなく、不貞行為があった時点ですでに夫婦関係が破綻していたといえるかどうか、という評価がされるためのハードルは高いという印象です。
しかも、そのような主張を不倫相手のほうがするとなると、不倫相手が夫婦の生活を直接見聞きしているわけではなく、通常、不倫中の一方の配偶者から、「夫婦関係は最悪で、口も利かないし、顔も合わせることもない」などと聞かされる話をもとにした主張がなされることが多いといえます。
しかし、不倫相手に対し、夫婦の関係の実態をありのままいう場合ことはあまりないと考えられ、不倫関係継続のために、自分の配偶者の悪口を言ったり、あたかも夫婦関係が悪化していると思わせることを言ったりするのはむしろ自然でしょう。
仮に本当のことを言っていたとして、夫婦間で言い争いになったり、価値観が違ったりということはよくあることです。夫婦の在り方もいろいろで、どういう夫婦が円満で、どういう夫婦が破綻しているか、とひとくくりに評価できない側面もあります。
ですので、破綻していたといえるかどうかを判断するためには、どうしても、ある程度客観的な基準を用いざるを得ず、たとえば、夫婦が、単なる単身赴任などというものではなく夫婦関係の悪化を原因として別居しており、その期間が相当経っているような状態、そして、その間、夫婦間でやりとりがほとんどないという状態であれば破綻しているという評価がされることがあります。
不倫慰謝料の時効について
不倫慰謝料の請求権には「消滅時効」があるので要注意です。
不倫相手に対する慰謝料の時効期間は不倫の事実を知ってから3年です。配偶者の不倫を知ることは大きな精神的苦痛を伴います。相手女性に慰謝料を請求するかどうかという結論を出すのも、夫婦関係をどうするか、ということともかかわってくるともいえ、そう簡単ではないと思います。
しかし、あまりに長く検討に時間を要してしまうと、気づいたら相手から消滅時効を主張されてしまう時期になっていた、となってしまうおそれがあります。請求するかどうか、結論が出せないときには、早めに弁護士に相談し、請求したらどうなるかを詳しく聞いたうえで選択するのがよいと思います。
不倫慰謝料の金額
慰謝料の金額は、個別の事情によってかなり幅があるため、「一般的にこれくらい」という数字をあげることは非常に難しいです。
不貞により離婚することになったのか、結婚を維持することになったのか、不貞の期間がどの程度かなど、さまざまな要素で変わります。
一般的には、慰謝料として300万円から500万円を請求することが多い印象ですが、裁判になって認められる金額は裁判で主張、立証される事実関係により幅があります。
具体的な見込みを知ったうえで請求するかどうかを決めたいなどというときには、まず、弁護士に相談されると過去の裁判例などに照らし、おおよその見込みをお伝えすることが可能です。
十分な証拠を集める
不倫で慰謝料請求をするには、十分な証拠が必要です。相手女性とあなたの配偶者との間の肉体関係を証明できなかったら「不倫していない」と言い逃れされて慰謝料を払ってもらえない可能性が高くなるからです。
一方で、通常密室で行われる性行為に関し、その証拠を集めるのはいうほど簡単ではありません。調査会社に依頼して、いわゆるラブホテルに入って数時間後に出てくる場面を写真に撮る、などというのはもっともわかりやすい証拠ですが、これには一般的に費用がかかります。
まず簡単にできることとしては、LINE、メール、そこに保存されている写真、動画のチェックをしたり、確認することのできるクレジットカード利用明細にともに宿泊や旅行をした形跡がないか確認したり、などから始めてみるとよいでしょう。
具体的に手元にある証拠で十分といえるかについては、弁護士に相談してみることをおすすめします。
当事務所では不倫や離婚問題に力を入れており、親身になって相談に対応させていただいております。配偶者の不倫にお悩みの方は、ぜひとも一度ご相談下さい。
