Qosmio G50/98Hは、フルHD解像度の18.4型ディスプレイを採用したAVノートの最上級モデル。それだけに機能や装備は十分。映像処理のためにCell技術を使った「SpursEngine」に加え、同社の薄型テレビでも採用された「超解像技術〈レゾリューションプラス〉」も盛り込み、DVD再生やテレビ録画・再生の高画質化を実現している。
操作性:専用ソフトでレコーダーに匹敵する多機能を実現
評価★★★★★
最大のポイントは、テレビ録画・再生を一括して操作できる「Cosmio AV Center」。番組表の表示をはじめ、録画予約操作、録画ずみ番組の再生などのインタフェースは本格的で、機能的にもHDD/DVDレコーダーに匹敵する。これらの操作はマウスによる操作だけでなく、付属のリモコンでも行える。
さらには独自の機能として、録画した番組の出演者の顔を認識してサムネイル表示する「顔deナビ」というユニークな機能も備える。また、DVD再生時などでは、マウスの右クリックで操作メニューを呼び出せるのも便利だ。ダブル録画の使い勝手の良さもふくめ、HDD/DVDレコーダー替わりに使ってもまったく不満のない高機能を備えている。
レスポンス:操作の快適性は不満なし。ダビングも高速だ。
評価★★★★★
操作は反応がよくとても快適。テレビのチャンネル切り替えも快速というほどではないが、一般的な薄型テレビと同等。待たされている感じはほとんどない。録画済みの番組リストを表示する「見るナビ」から番組表を表示する「番組ナビ」への切り替えもスムーズだ。使い勝手も良いため、AVノートで本格的なテレビ録画をしたいという人には最適と言ってもいい。
もうひとつのポイントは高速ダビング。DVDへの番組保存はSD画質に変換されるのだが、「SpursEngine」のおかげで、従来比で約10倍もの高速ダビングが可能。この高速な映像処理を生かし、ビデオカメラで録った動画の編集も快適に行える。
画質:地デジに加えて、DVDも画質向上!
評価★★★★★
テレビ録画では、TS(無変換)/XP(約10Mbps)/SP(約8Mbps)/LP(約5.5Mbps)/EP(約2.0Mbps)の録画モードが選べる。XP/SP/LPはH.264エンコードによるハイビジョン画質だが、最長のEPを選ぶとSD画質となるので注意が必要だ。録画画質はXPではほぼノイズや映像の破綻はみられない。SPやLPになると早い動きでMPEGノイズが目立つが、見づらくなるというほどではない。
画質は基本的に明るく精細感のある映像になっており、残像感などもほとんど感じない。「超解像技術」の効果もよく出ており、地デジもよりクリアな画質となっている。このあたり薄型テレビも発売するメーカーの強みだろう。大画面テレビで見ていてもほとんど不満を感じることはない。
従来モデルでは、やや難のあったDVD再生だが、本機では大幅な画質向上を果たした。フルHD液晶で全画面表示しても映像が甘くならず、かなり高精細。高解像度を意識したのか、若干、輪郭や細部のディテールに強調感はあるが、見づらいというほどではない。DVDソフトはもちろん、テレビ番組をDVDにダビングした映像も、十分な高画質で楽しめるのはありがたい。いままでは、DVDへのダビングはSD画質となるのが残念なところだったが、SD画質の再生が実用的となることで、編集やダビングの機会も増えるだろう。
音質:中域に厚みがあり、聴き心地のよいサウンド
評価 ★★★★☆
スピーカーはハーマン/カードン製のスピーカーで、底面にサブウーファーも内蔵する。全体的なバランスとしては中~低音域が充実したサウンドで、全体にふっくらとした柔らかな聴き心地になっている。ソフトで聴きやすくまとまった音はなかなか好印象。映画では重低音たっぷりと出てくる。低音はもう少し量感を抑えたほうが好ましいのだが、音質調整も詳細に行えるので、自分好みのサウンドにチューニングすることもできる。
サラウンド再生もなかなか優秀で、左右の広がり感だけでなく移動感などもうまく再現できている。音楽ソフトを再生しても微妙なニュアンスの表現が巧みでなかなか魅力的な音が楽しめる。
拡張性:接続端子はかなり充実。さまざまな用途に使える
評価★★★★★
接続端子はかなり充実しており、HDMI端子をはじめ、i.LINK端子なども備える。アンテナ端子は一般的なF型接栓を採用しており、一般的に発売されているアンテナケーブルをそのまま接続できるのも便利だ。このほか、光デジタル音声出力やUSB端子/eSATA端子も装備している。欲を言えば、同社の薄型テレビのようにeSATA端子に接続したHDDなどにも録画番組のムーブができると良かった。
総評:画質・音質、機能性すべて充実。使い勝手に不満なし
評価★★★★★
テレビ録画の高機能や使い勝手の良さが本機の最大の特徴と言える。テレビ/レコーダー機能の充実度、使いやすさは随一と言っていい。液晶ディスプレイもくっきりとした映像で、AV視聴にも不満はない。
BDドライブの非搭載が唯一の残念なところだが、番組のディスク保存はDVDで十分という人や、あまりディスク保存をしない人ならば問題はない。テレビやレコーダーをパソコンでひとまとめにしてしまいたい人にはかなり魅力のあるモデルと言えそうだ。
東芝 Qosmio G50/98H |
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操作性 | ★★★★★ | |
レスポンス | ★★★★★ | |
画質 | ★★★★★ | |
音質 | ★★★★☆ | |
拡張性 | ★★★★★ | |
総合評価 | ★★★★★ |
■仕様 | |
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型番 | Qosmio G50/98H |
CPU | Intel Core 2 Duo T9550(2.66GHz) |
Mobile Intel PM45 Express | |
4GB(最大4GB) | |
570GB | |
DVDスーパーマルチ | |
NVIDA GeForce 9600M GT | |
18.4型ワイド液晶(1,920×1,080ドット) | |
地上デジタル×2 | |
Inte High Definition Audio | |
IEEE802.11b/g/n、10/100/1000BASE-T | |
USB2.0×4(うち1基はeSATA共用)、ミニD-Sub15ピン×1、HDMI出力端子×1、IEEE1394×1、133万画素Webカメラ、FeliCaポートほか | |
約4時間 | |
約W452.3×D311.0×H38.2~48.3mm/約4.9kg | |
Windows Vista Home Premium | |
289,800円 |
ライタープロフィール
鳥居一豊 : モノ雑誌やWeb媒体で活躍するAV系フリーライター。発売されるありとあらゆるAV機器に触れており、その機能を熟知している。この連載ではAVという観点からノートPCをレビューする。