連載第3回は、日本HPの「Pavilion Notebook PC dv7/CT」。これまでの2モデルと比べると光学ドライブがBD-ROMとなるためBlu-rayディスクの書き込みはできない。だが、そのぶん直販価格が130,000円程度ながらCPUにIntel Core 2 Duo P8400を採用するなど高性能になっており、コストパフォーマンスは非常に良好だ。

高性能と美しいデザインが凝縮されたフラッグシップモデル

同社のノートPCであるPavilion Notebook PCシリーズのフラッグシップマシン。CPUにはIntel Core 2 Duo P8400を搭載するハイスペックモデルで、1,680×1,050解像度の17型ワイドディスプレイやBD-ROMドライブを採用しながらも、スタンダード仕様ではおよそ130,000円という価格も大きな魅力と言える。天面のブランドロゴはLEDで発光するほか、曲線を採り入れたデザインなど、美しいフォルムも特徴的だ。

Pavilion Notebook PC dv7/CT

操作性 : タッチパネルのAV専用ボタンを装備

白色LEDで点灯するAV操作ボタン。ソフトなどの再生時以外は自動で消灯する

評価★★★★☆
BD-ROMドライブ搭載の本機は、BDやDVDソフト、楽曲データなどの再生が主体のAV機能となる。AVノートではほぼ標準的となっているAV系操作ボタンはタッチパネル式になっており、見た目にも美しい。ユニークなのはボリューム調整部で、バー表示になっているため音量がひと目でわかる。これらのソフト再生を統合的に行うのが、専用ソフトの「QuickPlay」。その名のとおりワンボタン操作主体で簡単に使えるソフトだ。反面、画質や音質の設定機能は非搭載。使いやすさを優先した割り切りだと思われるが、画質や音質を調整する場合は、コントロールパネルからグラフィック/サウンドの機能を呼び出す必要があり、少々面倒に感じた。

レスポンス : 操作の反応がよく、快適に使える

「QuickPlay」での再生画面。操作ボタンも最小限に抑えられており、わかりやすさを優先したデザインとなっている

評価★★★★☆
BDソフトの再生はディスク読み込みが速めで、「QuickPlay」によるワンボタン操作により手軽に行える。メニューの呼び出しなどでの反応はよく、操作はとても快適だ。少々気になったのは、早送り/早戻しが4倍速のみとなっているところ。一般的な視聴ではあまり必要ではない機能だが、特定のシーンを探す場合などで、少々面倒に感じてしまう。また、再生ソフトでの音声や字幕切り替えがないので、それらの操作はメニュー画面から行うことになるが、ポップアップメニューの表示は素早く、操作時に映像や音の乱れはなかった。なお、これらの操作は付属のカード型リモコンでも行える。このリモコンが普段はExpressCardスロットに収納されているのが面白い。

画質 : 精細感のある映像だが、色再現がややおとなしい

忠実感を重視した解像感の高い映像。少々おとなしい

評価★★★☆☆
WXGA+解像度の液晶ディスプレイは、ウルトラクリアビューカラー液晶で、BDソフトの高精細な映像も細かいディテールまですっきりと再現する。動画の残像は、素早い動きでは多少目立つものの、残像を抑えるために輪郭が不自然になることもなく、見づらさは感じない。少し気になったのは、色再現がややおとなしいことだ。モニター志向の忠実な色なのだが、AV機器として見た場合は赤や緑の原色がもう少し鮮やかに再現してほしいと感じた。これは画面全体の明るさがやや控えめなせいもあるかもしれない。色の細かな変化はかなり細かいので、部屋の灯りを落として視聴する方がこのモデルの良さを引き出せるだろう。こうしたモニターライクな映像再現は、映画などの動画よりも静止画の表示に適していると感じた。テレビ的な華やかな映像を求める人には物足りないかもしれない。

音質 : クリアで歯切れの良いサウンド。映画も迫力満点

音に芯があり、声の生き生きとした再現が絶品のスピーカー

評価★★★★★
内蔵するスピーカーは、ALTEC LANSING製。年配のオーディオマニアなら「Voice of Theater」の愛称を持つ、映画館用のスピーカーなどを思い出すだろう。その音はクリアでヌケがよく、しかも力強い。映画を見ていても、台詞が明瞭に再現され、BGMや効果音は自然に広がる。目の前にステージが再現されるような立体的なサウンドが楽しめる。声のニュアンスの表現のうまさは絶品で、映画だけでなく音楽再生でも魅力的な音を楽しめるだろう。この音の良さはAVノートのスピーカーとしてはかなりの出来だ。底面にはサブウーファーも装備しており、低音の再現も十分。サラウンドの再現は、ちょっと広がり感が増したかな? という程度だが、ステレオ再生で十分な臨場感が再現できるので不満はない。

拡張性 : HDMI端子を使って大画面に出力できる

HDMI出力を備えるため、BDソフトの映像と音声をケーブル1本でテレビなどに出力できる

評価★★★☆☆
ライバルと比較すると安価なモデルながら、本機もHDMI出力端子を備えているので、薄型テレビなどにBD/DVDソフトの映像を出力できる。画質傾向も液晶ディスプレイと同じモニター的な映像だ。このほかヘッドホン出力も備える。こちらの音質もなかなかのもので、サラウンド再生時の包囲感や音の移動感はヘッドホンの方が明瞭に感じた。

総評 : 機能などはシンプルだが、AVプレーヤーとしての実力は十分

評価★★★☆☆
ライバル機と比べると、テレビ録画やBDディスクへの動画保存といった機能がないが、この価格でBDソフトの再生が楽しめるというのは大きな魅力。130,000円程度でこの機能というコストパフォーマンスを考えたら4点に限りなく近い3点だと言える。特に音質の良さはすばらしく、音楽再生などでも威力を発揮するだろう。置き場所に困らないノートPCで多彩なコンテンツを手軽に楽しめるプレーヤー的に使って楽しむモデルだ。

日本HP
Pavilion Notebook PC dv7/CT
操作性 ★★★★☆
レスポンス ★★★★☆
画質 ★★★☆☆
音質 ★★★★★
拡張性 ★★★☆☆
総合評価 ★★★☆☆
■最小構成仕様
型番 Pavilion Notebook PC dv7/CT
CPU Intel Core 2 Duo P8400(2.26GHz)
チップセット Mobile Intel PM45 Express
メモリ 2GB(最大4GB)
HDD 160GB
光学ドライブ BD-ROM
グラフィックス NVIDA GeForce 9600M GT
ディスプレイ 17型ワイド液晶(1,680×1,050ドット)
テレビチューナー なし
オーディオ Inte High Definition Audio
ネットワーク IEEE802.11n Draft2.0、IEEE802.11a/b/g、Bluetooth、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T
インタフェース USB2.0×4(うち1基はeSATA共用)、ミニD-Sub15ピン×1、HDMI出力端子×1、IEEE1394a×1、Webカメラ、指紋認証、5in1メディアスロットほか
バッテリ駆動時間 約3時間30分
サイズ/重量 400(W)×33.5~43.9(H)×290(D)mm/約3.7kg
OS Windows Vista Home Premium
直販価格 132,300円
ライタープロフィール
鳥居一豊 : モノ雑誌やWeb媒体で活躍するAV系フリーライター。発売されるありとあらゆるAV機器に触れており、その機能を熟知している。この連載ではAVという観点からノートPCをレビューする。