前回は、需要が急増している「三平男子」について書きました。今回は、その2回目。なぜ三平男子がモテるようになったのか、その理由をもう少し掘り下げてみたいと思います。
まずは、マイナビが20~40代の未婚女性を対象にしたアンケート調査(有効回答数650件)の結果を紹介します。
「相手に求める職業は?」の問いに対して、「気にしない(62.2%)」という回答が圧倒的に多く、以前のアンケートなら多くの支持を得たであろう「自営業/医師/弁護士」を選択したのはごくわずか(2.5%)となっています。
次に、「相手に求める預金額は?」の問いに対しては、「~500万円未満」以下の3つの回答数の合算が57.5%、「気にしない」の回答数・21.1%を合わせると、実に78.6%の女性が「500万円未満でよい」と回答しています。
いずれの回答結果を見ても、以前と比べると結婚相手に望む条件が若干下向きになってきていると言わざるを得ません。
三平男子需要の急増には、経済状況の変化や、雇用体制の変化などが一因であると前回書きましたが、どうも他にも理由がありそうです。心理学や経済学の力を借りて、需要の理由にアプローチしてみましょう。
例えば、モノの価格がいくつかにランク分けされているときに、最高でもなく、最低でもない、つい真ん中を選んでしまうというのを経験したことがあると思います。最高ランクを選ぶのは分不相応で気が引ける、かといって最低ランクを選ぶのは嫌だと感じ、真ん中のランク(中庸)を選んでしまいます。真ん中のランクを選ぶ割合は6割以上になるという研究結果もあります。これを行動経済学や社会心理学では「極端回避」または「極端性の回避傾向」と呼んでいます。
モノの選択心理を人間に置き換えて考えるのは少し乱暴ですが、三高でもなく、三低でもなく、「平均的な年収・平凡な外見・平穏な性格」の中庸な「三平男子」を好む傾向には、多少なりともこの「極端回避」という心理が関係しているかもしれません。
人生は経済学に例えられることが多くあります。恋愛も例外ではありません。恋愛は人生という市場経済の中で、自分という商品を販売しているのだとします。販売している以上、その商品をいかにして購入してもらえるかを考えなければなりません。
もちろん、商品には魅力がないと売れませんし、その魅力や価値に対価を払ってくれる客を探して、その客に対してさまざまな方法で商品をアピールをする必要があります。そうして、客と販売者の双方が納得すれば、「売買成立」または「取引成立」になります。
"イマドキ女子"たちは自分で気づくと気づかないとに関わらず、自分の商品価格を適正値へと是正して、その価値に見合う対価を払ってくれる客=男子を求め始めたのだと言えなくもありません。
坂田陽子
1977年、福岡県生まれ。20代の半ばから恋愛に関するカウンセリングを開始する。数多くの相談案件を解決した経験から、独自の恋愛論を展開し、各メディアで人気に。現在では、日本国内のみならず海外からも恋愛相談を受け、その相談件数は年間1万件以上にも上る。2010年にNPO法人・日本結婚紹介業協会との連携で認定資格「恋愛アナリスト」を制定し、恋愛に起因する悩みを持つ人を救済するための後進の育成も手掛ける。
坂田陽子の恋愛力アップ相談教室
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