クリエイターが「ストックフォト」を活用して、自身のクリエイティブ素材を売り利益を得る方法を紹介していく本連載。前回までは自分の写真が売れる「ストックフォトサービスの概要」を紹介してきました。今回は「自分の写真を売るための準備」を紹介していきます。

写真を売るために必要な環境とは

写真を売るうえで必要な環境から紹介しましょう。それは「デジタルカメラ」「パソコン」「インターネット」。これだけです。おそらく読者の方は全て揃っているのではないでしょうか? そうです、ストックフォトを始めるうえで特別なものは何もありません。カメラで写真を撮って、自分のパソコンに画像を取り込み、インターネットで写真を投稿(出品)する。これが基本の流れです。もちろん撮影の際には三脚やストロボなどの機材も必要となる場合もありますが、まずは自分が持っているカメラや機材ではじめてみましょう。もし、フィルムカメラで撮った写真を売りたい場合は、必ず写真をデジタルデータにする必要がありますので、スキャナーなどを用意する必要があります。

出品する作品の種類(イラスト、音楽、動画)によって必要な機材は変わってきますが、インターネットで作品を売ることには変わりはありません。作品の種類にかかわらず「デジタルデータ」にすることが作品を売るための条件のひとつです。(作品を売るための条件については次回にご紹介します)
画像:書籍「イラストで稼ごう」より

写真を売るために必要なもの1:「カメラ」

まずは手持ちのデジカメのことを知りましょう。画素数(画像サイズ)ですが、400万画素以上の写真が撮れるデジカメであることを確認しましょう。ストックフォトサービスによって出品可能な最低画像サイズは違いますが、すべてのストックフォトサービスでは、撮影した時の画像サイズを引き伸ばした(画像サイズを大きくした)写真は受け付けません(画像サイズを小さくすることは可能)。トリミングなどの加工や修正のことを考えてもカメラの画素数は大きいほど良いでしょう。(画素数の計算式:横のピクセル数 × 縦のピクセル数)

各ストックサービスの出品可能な画像サイズ

フォトライブラリー 縦+横で1,500ピクセル以上
PIXTA 縦+横が1,300ピクセル以上20,000ピクセル以内
TAGSTOCK 長辺2,000ピクセル~長辺5,000ピクセル
fotolia 2,400ピクセル × 1,600ピクセル(4MP、または400万画素)以上
iStockphoto 1,600ピクセル × 1,200ピクセル以上
Paylessimages 長辺2,950ピクセル以上

では、画素数を満たしている写真であればすべて売れるのか? といえば答えは「NO」です。写真を出品する際には、どのストックフォトサービスでも必ず審査があることを忘れてはいけません。画素数だけでいえば携帯電話のカメラでも1,000万画素を超えるものがありますが、画像サイズはあくまでも出品条件のひとつであり、最も重要視されるのは写真のクオリティです。いくら条件を満たしていても携帯電話やスマートフォンで撮った写真では審査は通りにくいでしょう(サービスによっては携帯電話で撮影した写真は受け付けません)。そう考えると、最低でもコンパクトデジカメ、出来る事なら一眼レフデジカメの方がストックフォトで写真を売るには適していると言えます。

フォトライブラリーの尾崎氏は書籍「写真で稼ごう【撮り方編】」内のインタビューにおいて「今、持っているカメラで、とりあえず撮った方がいいということですか?」という質問に対し、こう答えていらっしゃいます。
尾崎「いや、違うんです。早く稼ごうと思うならば逆なんですよ。うちの場合は自由市場なので、どうせ撮るならいいカメラで撮った方が、値段を高く付けられるんですよ。素人であればあるほど、いいカメラで撮った方が元が取れます。それは僕自身がやっててそうなんです。たぶん、3万円のカメラで撮って、3万円の元を取ろうと思うより、10万円のカメラを買って、10万円の元を取るほうが早いです」

写真を売るために必要なもの2:「パソコン」

パソコンが必要な理由は3つあります。まずは撮影した写真をパソコンに取り込むため。次にインターネットで写真をアップロードするため。基本的にはこの2点ですが、重要なのは最後のひとつである加工や修正、そしてファイルの書き出し作業を行うためです。例えば撮影をRAWデータで撮影したデータはパソコン上で現像しなければなりません。RAWデータで撮影していない場合でも、各ストックフォトサービスの出品要件に合わせたデータを書き出す必要があります。データの書き出しについてはデジカメの付属ソフトや「Adobe Lightroom」、「Apple ApertureやiPhoto」などの現像ソフト、「Adobe Photoshop」などの画像編集ソフトで行ないます(ストックフォトでは出品できるファイル形式はJPEGが基本となります)。また、出品する写真は必ずある一定のクオリティを満たしていなければなりません。取り込んだ写真をそのままアップするのではなく、明るさやコントラストなどを修正したりトリミングやレタッチなどの加工をしたうえで投稿した方が良いでしょう。

写真を売るために必要なもの3:「インターネット環境」

ストックフォトサービスへ会員登録をしたり写真をアップロードするためには必ずインターネットに接続出来る環境でなければなりません。そして、写真をアップするうえで重要なのは回線のスピードです。ファイルサイズの大きな写真を一度に何枚もアップロードするためには高速で大容量のファイルを扱える環境が必要です。

以上で、写真を売るためのに必要な環境は揃います。あとは写真を撮ってみましょう。次回は会員登録から販売までの流れと作品を売るための条件について紹介致します。

LOCUS.AND WONDERS.


2006年に発足。デザイナーであり、アートディレクター、クリエイティブディレクターの黒田智之を中心にしたクリエイティブグループ。著書としてこれまでに書籍『写真で稼ごう』、『写真で稼ごう【撮り方編】』(共に弊社刊)などを執筆している。